磁気・電磁力37【電験3種 理論】三角形ループがソレノイド磁界に侵入するときの誘導電圧の波形!平成27年 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 平成27年度 A問題5 三角ループが磁界に侵入!誘導電圧の波形はどの形?

今回は平成27年度 理論科目 A問題5を解説します。三角形ループがソレノイドの磁界(磁束密度B)に一定速度uで侵入するとき、抵抗器に加わる誘導電圧e(t)の波形を選ぶ問題です。

頂点Pから侵入するため、磁界内に入る面積は(t−T)2に比例します。したがってe=−dΦ/dtは−(t−T)に比例し、電圧の値は0から負方向へ直線的に減少します。絶対値は終端直前にBudへ近づき、ループ全体が入った直後に0へ戻ります。

目次

平成27年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

まずは、平成27年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 平成27年度 A問題5 問題文
平成27年度 理論科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題5

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 平成27年度 A問題5

 十分長いソレノイド及び小さい三角形のループがある。図1はソレノイドの横断面を示しており、三角形ループも同じ面内にある。図2はその破線部分の拡大図である。面x=0から右側の領域(x>0の領域)は直流電流を流したソレノイドの内側であり、そこには+z方向の平等磁界が存在するとする。その磁束密度をB〔T〕(B>0)とする。左側領域(x<0)はソレノイドの外側であり磁界は零であるとする。三角形PQRの抵抗器付き導体ループがxy平面内を等速度u〔m/s〕で+x方向に進み、ソレノイドの巻線の隙間から内側に侵入していく。その際、導体ループの辺QRはy軸と平行を保っている。頂点Pが面x=0を通過する時刻をT〔s〕とする。また、抵抗器の抵抗r〔Ω〕は十分大きいものとする。辺QRの中央の抵抗器に時刻t〔s〕に加わる誘導電圧をe(t)〔V〕とし、その符号は図中の矢印の向きを正と定義する。三角形ループがソレノイドの外側から内側に入り込むときのe(t)を示す図として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

三角形ループがソレノイドの外側から内側に入り込むときの誘導電圧e(t)を示す図として、最も近いものを図中の(1)〜(5)のうちから一つ選べ(e(t)の符号は図中の矢印の向きを正とする)。

図1 ソレノイドの横断面と三角形ループ/図2 拡大図(三角形PQR)(問題図)
図1 ソレノイドの横断面と三角形ループ/図2 拡大図(三角形PQR)(問題図)
誘導電圧e(t)の時間変化を表す図の選択肢(1)〜(5)
誘導電圧e(t)の時間変化を表す図の選択肢(1)〜(5)

出題のポイント:「頂点から入る」ので面積は時間の2乗で増える

三角形が頂点Pから磁界に侵入する——ここが本問のすべてです。侵入した部分は元の三角形と相似なので、面積は侵入距離の2乗に比例します。

磁束が \((t-T)^2\) に比例するなら、それを微分した誘導電圧は \((t-T)\) に比例——つまり直線的に変化する波形になります。「2乗を微分すると1乗」——この一手で波形が決まります。

ファラデーの法則と面積の関係
$$e=-\frac{d\varPhi}{dt}=-B\frac{dA}{dt}$$

磁束密度 \(B\) は一定なので、面積 \(A\) の増え方だけが波形を決めます

三角形ループが磁界領域へ頂点Pから侵入し高さxと底辺dx/wの相似三角形ができることを示す図
侵入部分は高さx=u(t−T)、底辺dx/wの相似三角形なので、面積はA=dx²/(2w)となり時間の2乗に比例します。

侵入面積を式にする

頂点Pが境界を通過した時刻を \(T\) とすると、時刻 \(t\) での侵入距離は \(x=u(t-T)\) です。磁界内にある部分は、元の三角形と相似な小三角形になります。

$$\text{高さ}=x,\qquad\text{底辺}=\frac{dx}{w}$$
❶ 相似比から
元の三角形の高さ \(w\)、底辺 \(d\)
$$A(t)=\frac12\cdot x\cdot\frac{dx}{w}=\frac{du^2}{2w}(t-T)^2$$
❷ 面積
時間の2乗に比例
$$e(t)=-B\frac{dA}{dt}=-\frac{Bdu^2}{w}(t-T)$$
❸ 微分する
時間の1乗=直線

符号が負になるのは、+z 方向の磁束が増えるのを妨げる向きに電流が流れるからです。問題で定義された正の向きとは逆になります。

波形の形を決める3点

時刻状態\(e(t)\)
\(t<T\)まだ磁界の外0
\(t=T\)頂点Pが境界に到達0(ここから始まる)
\(T<t<T+w/u\)侵入中直線的に負へ下がる
\(t=T+w/u\) 直前ほぼ全体が入った\(-Bud\)(最大の絶対値)
\(t>T+w/u\)全体が磁界内0(磁束が一定になる)

終端の値 \(-Bud\) は、\(e=-\dfrac{Bdu^2}{w}\times\dfrac{w}{u}=-Bud\) と求まります。これは辺QR(長さ \(d\))が速度 \(u\) で磁界を横切るときの起電力 \(Bud\) そのもの——物理的にも辻褄が合います。

全体が入った直後に0に戻るのは、磁束が一定になって変化しなくなるからです。理想的な境界を仮定しているので、不連続に0へ跳ね返ります

侵入面積Aから鎖交磁束Φと誘導電圧eを導き面積の放物線と電圧の負の直線を比較する図
AとΦは(t−T)²に比例しますが、微分したeは−(t−T)に比例し、値は直線的に減少します。
答え0 から直線的に \(-Bud\) まで下がり、その後0に戻る波形 → 選択肢(5)
平成27年度理論科目A問題5の誘導電圧が時刻Tから負の直線で−Budへ下がり全体侵入後0へ戻る波形
e(t)は侵入前0、侵入中は−Bdu²(t−T)/w、全体侵入後は0となるため、正解は(5)です。

誤答の正体:どちらから入るかで波形が変わる

波形どんなときの形か判定
長方形(一定値)辺QRから先に入る場合× 面積が1乗で増える形
いきなり最大から減少× 頂点から入るので最初は0
0から直線降下→0頂点から入る場合◎ 正解
放物線状の曲線× 面積が2乗=電圧は1乗=直線

もし辺QRから先に磁界に入っていたら、波形はまったく違いますその場合は磁界内の面積が \(d\times x\) で1乗に比例し、誘導電圧は一定値 \(-Bud\) の長方形波になります。

「どちらから入るか」で波形が根本的に変わる——これが本問の設計意図です。図で頂点Pがどこにあるかを必ず確認してください。

⚠️ よくある間違い
「面積が2乗で増えるから、電圧も曲線になるはず」と考えるのが典型的な誤りです。電圧は磁束の微分なので、2乗を微分して1乗=直線になります。グラフの形は、微分してから判断してください。

💡 覚え方
「面積の次数 − 1 が電圧の次数」と覚えてください。面積が1乗(長方形が入る)なら電圧は0乗=一定、面積が2乗(三角形が頂点から入る)なら電圧は1乗=直線です。

⏱️ 本番での進め方
❶ どこから入るかを図で確認する。頂点からか、辺からかで波形が変わる。
❷ 面積を時間の式で書く。相似なら2乗、平行辺なら1乗。
❸ 微分して次数を1つ下げる。2乗→直線、1乗→一定。
❹ 全体が入ったら0。磁束が変化しなくなる。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

深掘り:もし辺QRから先に入っていたら

本問は頂点Pから侵入する設定でしたが、向きを反転させて辺QRから先に入る場合を考えてみましょう波形がまったく違うものになります

入り方磁界内の面積誘導電圧 \(e\)波形
頂点Pから(本問)\((t-T)^2\) に比例\((t-T)\) に比例0から直線的に降下
辺QRから台形状に増加(減速)最大から0へ直線的に減少いきなり最大、その後直線で0へ

辺QRから入る場合、最初は幅 \(d\) の辺が丸ごと磁界を横切りますこのとき面積の増え方が最も速く、電圧の絶対値も最大です。その後、三角形が細くなるにつれて増え方が鈍り、電圧も減っていきます

つまり「どちらから入るか」で、波形が左右反転したような形になります問題図で頂点がどちら向きかを必ず確認してください。

終端の値 \(-Bud\) の意味

侵入直前の電圧 \(-Bud\) には、明快な物理的意味があります

$$e=-\frac{Bdu^2}{w}\times\frac{w}{u}=-Bud$$
終端で代入
\(t-T=w/u\) のとき
$$|e|=B\,u\,d=B\,(\text{速度})\,(\text{辺QRの長さ})$$
運動起電力の形
\(e=Blv\) そのもの

これは「辺QRが速度 \(u\) で磁界を横切るときの起電力」そのものです。ループ全体が入る直前は、境界にあるのが辺QRだけ——だから通常の \(e=Blv\) と同じ値になります

この確認ができると、答えの妥当性が裏付けられます波形の最大値が \(Bud\) になっていない選択肢は、その時点で除外できます。

⚠️ よくある間違い
電圧が「一定」になる区間があると思い込むのもよくある誤りです。頂点から入るかぎり、磁界を横切る辺の長さが常に変化し続けるので、電圧が一定になる瞬間はありません

まとめ

侵入面積∝(t−T)2
誘導電圧e∝(t−T)(直線)
最大t=T+w/uで−Bud
波形/答0→−Bud→0、答(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・誘導起電力の関連問題:【理論】令和4年度上期A問題4

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成26年度A問題4(磁気・電磁力39)
【理論】平成28年度A問題3(磁気・電磁力33)
【理論】平成25年度A問題3(磁気・電磁力40)
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