「電験3種を受けたいが、数学が不安」——この悩みは非常に多く、実際、挫折の原因の多くは電気の知識ではなく数学の準備不足です。逆に言えば、必要な数学の範囲は決まっており、そこだけ先に固めれば怖くありません。この記事では、電験3種に必要な数学の「最低ライン」を項目別に整理し、どの順番で復習すべきかを解説します。
結論:中学数学+高校数学の入り口まで
電験3種で使う数学は、おおむね「中学数学の全部」と「高校数学の最初の部分(三角関数・ベクトル・複素数の基本)」です。微分積分はほぼ不要——これが電験2種との大きな違いで、3種は数学の壁が思われているより低い試験です。
必要な項目チェックリスト
| 項目 | 使う場面 | 必要レベル |
|---|---|---|
| 分数・比の計算 | 効率、分圧・分流、変圧比など全科目 | 自在に(最重要) |
| 平方根(√) | √2・√3の扱い、実効値、三相計算 | √の掛け算・割り算・有理化 |
| 指数と単位の接頭語 | 10のn乗、k・M・m・μの換算 | 10³×10⁻⁶などが暗算でできる |
| 一次方程式・連立方程式 | 回路方程式、キルヒホッフの法則 | 文字式のまま式変形できる |
| 三角関数 | 力率cosθ、交流波形、ベクトルの分解 | sin・cos・tanと30°45°60°の値 |
| ベクトル | 交流回路の電圧・電流の合成 | 足し算と直角三角形での分解 |
| 複素数 | 交流回路のインピーダンス計算 | 足す・掛ける・大きさを求める |
| 二次方程式・平方完成 | 一部の計算問題 | 解の公式が使えれば十分 |
つまずきやすい3項目の攻略法
① 単位の接頭語(k・M・m・μ)
電験の計算ミスの半分は単位換算と言っても過言ではありません。kは10³、Mは10⁶、mは10⁻³、μは10⁻⁶。すべて10のn乗に直してから計算し、最後に接頭語に戻す習慣をつけると、ミスが激減します。
② 三角関数は「直角三角形」だけでいい
電験3種で使う三角関数は、直角三角形の辺の比としてのsin・cos・tanと、30°・45°・60°の値、そして「力率cosθ=有効電力÷皮相電力」という使い方がほぼすべてです。単位円や加法定理の暗記から入る必要はありません。直角三角形を描いて辺の比を読む——これだけで戦えます。
③ 複素数は「計算のルール」として割り切る
交流回路で出てくる複素数(jωLや1/jωC)は、数学的な深い理解よりも「jを含む式の足し算・掛け算・大きさの求め方」という操作のルールとして覚えるのが近道です。j×j=−1、大きさは√(実部²+虚部²)。この2つで大半の計算が回ります。ベクトルとの対応はベクトル図の読み方・描き方で詳しく解説しています。
復習の順番と期間の目安
- 1週目:分数・比・指数・単位換算——ここが最優先。全科目の計算の土台
- 2週目:√の計算と三角関数(30°45°60°)
- 3〜4週目:理論の勉強を始めながら、ベクトルと複素数を「出てきたときに」補強
大切なのは、数学だけを何か月も先にやらないことです。数学は2〜4週間で切り上げて、理論の中で使いながら仕上げる——このほうが定着も速く、挫折もしません。
「数学が苦手」な人ほど有利になる勉強法
実は、電験3種の計算問題はパターンが決まっているため、数学的なひらめきはほとんど要求されません。解法の型を覚えて、電卓を正確に叩く——これは数学のセンスではなく練習量の世界です。数学が得意な人が油断してパターン練習を怠り、苦手な人が繰り返しで追い抜く光景は、この試験では珍しくありません。
まとめ
- 必要なのは中学数学+三角関数・ベクトル・複素数の入り口まで。微積は不要
- 最優先は分数・比・単位換算。計算ミスの大半はここで起きる
- 数学の先行学習は2〜4週間で切り上げ、理論の中で使いながら固める
- 計算はセンスではなくパターン練習。苦手意識があっても十分戦える

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