電験3種(第三種電気主任技術者試験)は、受験資格がなく、誰でも受けられる国家試験です。合格すると、工場やビルの受電設備といった事業用電気工作物の保安監督に従事できます。
この記事では、受験を考えたときにまず知りたい「誰が受けられるのか」「何を、どれだけの時間で問われるのか」「何点取れば受かるのか」を、電気技術者試験センターの公表資料だけを根拠にまとめます。ネット上には古い制度のまま書かれた情報も多いので、数字はすべて出典付きで示します。
受験資格はありません
「受験資格はありません。年齢や国籍を問わず、どなたでも受験ができます。」
——電気技術者試験センター よくあるご質問より
学歴も実務経験も不要です。工業高校や大学で電気を学んでいなくても、文系出身でも、社会人でも学生でも受けられます。「電気科を出ていないと無理なのでは」という心配は不要です。
合格して免状の交付を受けると、第三種電気主任技術者として電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く。)の工事、維持及び運用の保安の監督を行うことができます。
身近なところでは、中小規模の工場、商業施設、ビル、太陽光発電所などの高圧受電設備がこの範囲に入ります。
試験は4科目。合計335分をどう配分するか
試験科目は理論・電力・機械・法規の4つです。解答方式は「マークシートに記入(筆記方式)又はパソコンで解答(CBT方式)する五肢択一方式」で、記述はありません。

| 科目 | 試験時間 | 問題数 | 科目の内容 |
| 理論 | 90分 | 18問(うち選択2) | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 |
| 電力 | 90分 | 17問 | 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 |
| 機械 | 90分 | 18問(うち選択2) | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 |
| 法規 | 65分 | 13問 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 |
注目したいのは法規だけ65分と短いことです。問題数も13問と少ないのですが、その中にB問題(配点の大きい計算問題)が含まれるため、1問あたりの重みは4科目でいちばん大きくなります。法規を「暗記科目」と侮ると時間が足りません。
💡 覚え方
問題作成方針では「問題の解答に必要な時間は、1問あたり概ね5分から10分程度以内」とされています。つまり1問に10分以上かける設計にはなっていないということ。本番で10分考えて糸口がつかめない問題は、飛ばすのが正解です。
それぞれの科目で何が問われるのか
理論(90分・18問)
公式の問題作成方針では、電気に関する基本物性や計測技術に関する理解と分析力を問う。とされています。
出題範囲は「電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測」です。
電力(90分・17問)
公式の問題作成方針では、電気エネルギーの生産から流通までの広範な技術的知識とその応用力を問う。とされています。
出題範囲は「発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料」です。
機械(90分・18問)
公式の問題作成方針では、電気エネルギーの利用、電気機器、通信や情報処理等に関する広範な技術的知識とその応用力を問う。とされています。
出題範囲は「電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理」です。
法規(65分・13問)
公式の問題作成方針では、重要社会インフラである電気工作物とその保安について、その計画・設計・建設・管理に必要な法令・技術基準等に関する知識とそれらに基づく的確な判断力を問う。とされています。
出題範囲は「電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理」です。
合格基準は60点。ただし下がることがあります
各科目の合格基準点は100点満点中60点以上とする。また、60点未満であっても、受験した問題の難易度を勘案して合格とする場合がある。
100点満点で60点、つまり6割取れば合格です。満点を狙う試験ではありません。そして重要なのは後半の一文で、問題が難しかった年は合格ラインが60点未満に調整されることがあります。実際、過去には50点台前半まで下がった科目もあります。
⚠️ よくある間違い
「60点ぴったりを狙う」勉強は危険です。調整は下がる方向にしか働かないので、期待して計算に入れるものではありません。目標は65〜70点に置き、難化した年の調整は「運が良ければ助かる保険」と考えるのが現実的です。
科目別合格制度——3年間で4科目そろえればいい
電験3種の最大の特徴が科目別合格制度です。
4科目中、一部の科目だけ合格した場合は、「科目合格」となり、最初に合格した試験以降、その申請により最大で連続して5回まで当該科目の試験が免除されます。
4科目を一度に取る必要はありません。公式の問題作成方針でも「規定された期間(最初の受験から3年間)内に4科目(理論、電力、機械、法規)全てに合格したことをもって総合合格とし」と明記されています。
さらに試験は年2回(上期・下期)実施されるため、最初の受験から3年間のあいだに最大5回の受験機会があります。1回目で理論と法規、2回目で電力、3回目で機械——という進め方が制度として想定されているわけです。
具体的な組み立て方は科目合格制度を使った合格プランで1年計画・2年計画に分けて説明しています。
受験手数料と申込み
| 申込み方法 | 受験手数料 |
| インターネットによる申込み | 7,700円(非課税) |
| 郵送による書面の申込み | 8,100円(非課税) |
インターネット申込みのほうが400円安く、原則こちらが推奨されています。申込み時にCBT方式か筆記方式かを選びます。違いはCBT方式と筆記方式の選び方にまとめました。
まとめ
| 項目 | 内容 |
| 受験資格 | なし(年齢・国籍・学歴・実務経験を問わない) |
| 科目 | 理論・電力・機械・法規の4科目 |
| 試験時間 | 理論90分/電力90分/機械90分/法規65分 |
| 解答方式 | 五肢択一(マークシート または CBT) |
| 合格基準 | 各科目100点満点中60点以上(難易度により調整あり) |
| 科目合格 | 最初の受験から3年間・最大5回まで免除申請できる |
| 実施回数 | 年2回(上期・下期) |
| 受験手数料 | インターネット7,700円/書面8,100円(非課税) |
受験資格がなく、6割で合格でき、3年かけて4科目そろえればよい——制度だけを見れば、電験3種は「腰を据えれば届く試験」です。あとは科目ごとにどう攻めるかだけ。当サイトでは4科目1,584問すべての過去問を1問1記事で解説しています。
▶ 理論科目の全問題一覧/電力科目の全問題一覧/機械科目の全問題一覧/法規科目の全問題一覧
数値・制度の記述は一般財団法人 電気技術者試験センターの公表資料に拠ります(2026年8月時点)。制度は変わることがあるため、受験の際は必ず最新の受験案内をご確認ください。

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