電験3種は4科目を一度にそろえる必要がありません。最初の受験から3年間・最大5回の受験機会があり、合格した科目は申請すれば免除されます。この制度を前提に計画を組むかどうかで、負担はまったく変わります。
ここでは制度の枠を確認したうえで、1年で終える計画と2年かける計画の2通りを、「なぜその順番か」という理由込みで組み立てます。
まず制度の枠を確認する
4科目中、一部の科目だけ合格した場合は、「科目合格」となり、最初に合格した試験以降、その申請により最大で連続して5回まで当該科目の試験が免除されます。
公式の問題作成方針にも「規定された期間(最初の受験から3年間)内に4科目(理論、電力、機械、法規)全てに合格したことをもって総合合格とし」と書かれています。
試験は年2回(上期・下期)。したがって1年で2回、3年間で最大5回の機会があります。1回の試験で4科目すべてを受ける必要はなく、受ける科目を自分で選べます。
| 回 | 時期 | 受けられる科目 |
| 1回目 | 1年目 上期 | 好きな科目を選んで受験 |
| 2回目 | 1年目 下期 | 残りの科目(合格済みは免除申請) |
| 3回目 | 2年目 上期 | 同上 |
| 4回目 | 2年目 下期 | 同上 |
| 5回目 | 3年目 上期 | ここまでに4科目そろえば総合合格 |
⚠️ よくある間違い
免除は自動では適用されません。受験申込みのときに免除の申請をする必要があります。申請を忘れると、合格済みの科目をもう一度受けることになります。
科目の順番には理由がある
順番を決める材料は2つです。どの科目が他の科目の土台になるかと、どの科目どうしが内容的に重なるか。
理論は最初に置く
理論で扱う直流回路・交流回路・ベクトル図・複素数は、機械の等価回路にも、電力の送電計算にも、法規の施設管理計算にも出てきます。理論が固まっていないまま機械に進むと、変圧器の等価回路も誘導機の等価回路も「暗記」になってしまいます。
機械は理論の直後が効率的
機械の主役である変圧器・誘導機・同期機は、いずれも交流回路のベクトル図で解きます。理論の交流をやった記憶が新しいうちに機械へ進むと、同じ道具を2度覚え直さずに済みます。
電力と法規は内容が重なる
法規の計算問題(施設管理計算)は、需要率・不等率・負荷率、電圧降下、力率改善といった電力の配電計算とほぼ同じ道具を使います。この2科目を近い時期にやると、計算の練習が二重にきいてきます。
相性のよい組み合わせ
・理論 + 機械 … 交流理論・ベクトル図・等価回路が共通
・電力 + 法規 … 需要率・電圧降下・力率改善など施設管理の計算が共通
1年計画(2回で終える)
| 時期 | 受験科目 | 重点 |
| 1年目 上期 | 理論・機械 | 理論の交流を固めてから機械の4機(直流機・変圧器・誘導機・同期機)へ |
| 1年目 下期 | 電力・法規 | 電力の発電・送配電を回しつつ、法規の計算を電力の道具で解く |
1回に2科目なら、試験当日の負担も現実的です(理論90分+機械90分、電力90分+法規65分)。CBT方式を選べば科目ごとに別日にもできます。
💡 覚え方
上期で2科目そろえば、下期は残り2科目に集中できます。仮に上期で1科目しか取れなくても、下期・2年目とあと4回残っています。1年計画は「うまくいけば1年」であって、失敗しても崩れません。
2年計画(1回1科目でじっくり)
| 時期 | 受験科目 | ねらい |
| 1年目 上期 | 理論 | 土台を確実に。ここを妥協しない |
| 1年目 下期 | 機械 | 理論の交流が新しいうちに4機を固める |
| 2年目 上期 | 電力 | 暗記量が多い科目に時間を割く |
| 2年目 下期 | 法規 | 電力の計算を法規の施設管理計算に転用する |
働きながら、あるいは電気の学習が初めてという方にはこちらが現実的です。1科目に半年かけられるので、分からないところを潰しながら進めます。3年間の枠に対して1回分の余裕を残せるのも利点です。
⚠️ よくある間違い
2年計画で気をつけたいのが3年の期限です。1年目上期に理論を取ったなら、その合格の効力は5回目まで。最後の法規で落とすと理論が切れる可能性があります。後半になるほど「落とせない」ので、得意科目を後ろに残すより、苦手を先に片づけるほうが安全です。
どちらの計画でも共通してやること
・過去問を先に見る。参考書を1冊読み切ってから過去問、という順番だと、何が問われるか分からないまま読むことになります
・分野ごとに横断で解く。年度順ではなく、「変圧器だけ50問」のように分野でまとめて解くほうが定着します
・6割で合格だと忘れない。出題の少ない分野を完璧にするより、頻出分野を確実にするほうが得点になります
具体的な回し方は過去問は何年分を何周する?にまとめました。
科目ごとの攻略
分野別の出題数を実データで示しながら、どこから手をつけるかを科目ごとにまとめています。
▶ 理論科目の攻略/電力科目の攻略/機械科目の攻略/法規科目の攻略
1科目にどれくらいの期間を見るか
必要な時間は前提知識で変わりますが、試験の側から逆算することはできます。
| 科目 | 問題数 | 過去24回分の総数 | 1日1問なら |
| 理論 | 18問 | 432問 | 約14か月 |
| 電力 | 17問 | 408問 | 約13か月 |
| 機械 | 18問 | 432問 | 約14か月 |
| 法規 | 13問 | 312問 | 約10か月 |
24回分を全部やろうとすると、1日1問でもこの日数がかかります。現実的には1日3〜5問のペースで、1科目あたり3〜4か月というのが目安になります。
ただしこれは1周目の話です。2周目以降は解ける問題を外していくので、かかる時間は半分以下に落ちます。
💡 覚え方
上位4分野に絞れば量は半分以下になります。理論なら静電界・直流回路・単相交流・磁気電磁力で251問。1日5問なら約2か月です。全部やらないと決めることも計画のうちです。
崩れたときのリカバリー
計画どおりに進まないのが普通です。科目合格制度は、そのための仕組みでもあります。
| 起きたこと | どうするか |
| 2科目受けるつもりが1科目しか仕上がらない | 仕上がった1科目だけ受ける。欠席は最ももったいない |
| 受けたが不合格だった | 次の回で再挑戦。合格済み科目の効力は続いている |
| 1年目で1科目しか取れなかった | 2年目に3科目。残り3回あるので1回1科目でも間に合う |
| 3年の期限が近い | 残り科目のうち配点を取りやすい分野が多い科目に集中する |
⚠️ よくある間違い
「今回は仕上がっていないから受けない」が最悪手です。申込者の4人に1人以上が実際に欠席しています。受ければ、その回の問題傾向を体験できますし、運がよければ受かります。受けなければ、3年間の受験機会を1回捨てるだけです。
免除申請の実務的な注意
| 注意点 | 内容 |
| 自動では免除されない | 受験申込みのときに自分で申請する |
| 申請しないと受験扱い | 合格済みの科目をもう一度受けることになる |
| 期限は最初の受験から3年間 | 回数でいうと最大5回。年2回実施のため |
| 4科目そろった時点で総合合格 | そろえた順番は問われない |
公式の問題作成方針では「規定された期間(最初の受験から3年間)内に4科目(理論、電力、機械、法規)全てに合格したことをもって総合合格とし」と記されています。
なお、免除の対象になるのは合格した科目です。「あと少しで合格だった」は免除になりません。60点に届かなかった科目は、次回また受けることになります。
まとめ
・3年間・最大5回。4科目を一度にそろえる必要はない
・免除は申込み時に自分で申請する
・理論は最初。機械は理論の直後。電力と法規は計算が重なる
・1年計画は「理論+機械」→「電力+法規」
・2年計画は理論→機械→電力→法規。苦手を先に置く
・どちらでも、過去問を分野横断で回すのは同じ

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