電験3種【電力】の攻略法|過去24回1,584問を分野別に数えて分かった優先順位

電験3種【電力】の攻略法|過去24回1,584問を分野別に数えて分かった優先順位

電力は4科目のなかで最も暗記が効く科目です。計算問題もありますが、パターンが限られています。範囲が広いぶん、分野を区切って回すやり方が向いています。

この記事では、当サイトが平成18年度〜令和7年度の24回分・電力科目408問すべてを分野別に分類した実データをもとに、どこから手をつけるべきかを整理します。

目次

電力科目はどんな試験か

項目内容
試験時間90分
問題数17問(A問題14問+B問題3問)
1問あたり約5.3分
合格基準100点満点中60点以上(難易度により調整あり)
出題範囲発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料

公式の問題作成方針では、電力科目は電気エネルギーの生産から流通までの広範な技術的知識とその応用力を問う。とされています。

分野別の出題数——ここに偏りがある

電力科目 分野別の出題数(24回分・408問を分類)
電力科目 分野別の出題数(24回分・408問を分類)
分野問題数割合
火力61問15.0%
変電48問11.8%
配電45問11.0%
配電計算45問11.0%
水力40問9.8%
架空送電40問9.8%
送電の計算33問8.1%
地中送電27問6.6%
電気材料25問6.1%
原子力24問5.9%
新エネ20問4.9%
合計408問100%

上位5分野で239問/408問=59%
発電(火力・水力・原子力・新エネ)と送配電(架空送電・地中送電・送電の計算・配電・配電計算)で全体の8割を超えます。

この順番で手をつける

1. 火力(61問・15.0%)

全分野で最多の61問。熱効率の計算とボイラ・タービンの構造。計算は熱サイクルの効率だけ押さえれば型が決まる。

火力の頻出公式と論点まとめ

2. 水力(40問・9.8%)

出力 P=9.8QHη の一本槍。計算問題は形が決まっているので、確実な得点源になる。

水力の頻出公式と論点まとめ

3. 配電計算(45問・11.0%)

電圧降下・力率改善・需要率/不等率/負荷率。法規の施設管理計算とまるごと重なるので、ここをやると法規も進む。

配電計算の頻出公式と論点まとめ

4. 変電(48問・11.8%)

変圧器・遮断器・避雷器・保護継電器。機器の名前と役割を対応づける暗記が中心。

変電の頻出公式と論点まとめ

5. 架空送電(40問・9.8%)

たるみ・実長・コロナ・振動対策。たるみ D=wS²/(8T) は繰り返し出る。

架空送電の頻出公式と論点まとめ

残りの分野は、この4〜5分野が固まってから広げれば十分です。60点で合格できる試験なので、薄い分野を完璧にするより、厚い分野を落とさないほうが得点に直結します。

つまずきやすいところ

機器の名前が覚えられない

「何から何を守るか」で整理します。避雷器は雷から機器を、遮断器は事故電流から系統を、断路器は無負荷で回路を切る——役割で括ると名前が混ざりません。

計算問題が多すぎて手が回らない

電力の計算は実質4種類しかありません。水力の出力、火力の熱効率、送電の電圧降下・電力損失、配電の需要率まわり。この4つを型として覚えます。

新エネ・原子力が捨てにくい

合わせて44問(10.8%)。原子力は構造と用語、新エネは各方式の特徴だけで半分は取れます。深追いは不要です。

本番の時間配分

⏱️ 本番での進め方
A問題14問を1問4分半で63分、B問題3問に25分。論述の空欄補充が多いので、分からない語句で悩まず、消去法で埋めて次へ進むこと。

電力科目は90分で17問。1問あたり約5.3分です。公式の問題作成方針でも「1問あたり概ね5分から10分程度以内」で解ける設計だと明記されています。詰まった問題は必ず飛ばす——これだけで数点変わります。

捨ててよい分野の考え方

電気材料(25問・6.1%)は絶縁材料・磁性材料・導電材料の3分類と代表例だけで十分です。深い物性まで追う必要はありません。

⚠️ よくある間違い
「捨てる」は手をつけないではなく後回しにするという意味です。本番で出たら消去法で拾いにいけるよう、用語だけは眺めておくと期待値が上がります。

再出題が多いことを利用する

当サイトで電力科目408問を突き合わせたところ、78問(19%)に過去の類題・同一問題がありました。公式の問題作成方針にも「必要に応じ、過去の出題からの試験問題構成を行う」と書かれています。

つまり過去問は傾向をつかむ道具ではなく、そのまま本番に出る可能性のある問題です。回し方は過去問は何年分を何周する?にまとめました。

電力でよく使う式

この科目の計算問題は、次の式でほぼ足ります。分野を横断して繰り返し使うものだけを挙げました。

用途
水力発電の出力\( P = 9.8\,Q H \eta \) [kW]
火力の熱効率\( \eta = \dfrac{3600 W}{B H} \times 100 \) [%](\(W\)[kW·h]、\(B\)[kg]、\(H\)[kJ/kg])
三相の電圧降下\( v = \sqrt{3}\,I(R\cos\theta + X\sin\theta) \)
線路損失\( P_l = 3I^{2}R \)(三相3線式)
たるみ\( D = \dfrac{wS^{2}}{8T} \)
電線の実長\( L = S + \dfrac{8D^{2}}{3S} \)
需要率最大需要電力 ÷ 設備容量
不等率個々の最大需要電力の和 ÷ 合成最大需要電力
負荷率平均需要電力 ÷ 最大需要電力
力率改善\( Q_C = P(\tan\theta_1 – \tan\theta_2) \)
%インピーダンス\( \%Z = \dfrac{P_b Z}{V_b^{2}} \times 100 \)
短絡電流\( I_s = I_n \times \dfrac{100}{\%Z} \)

計算問題の型は多くありません。水力の出力、火力の熱効率、送電の電圧降下・損失、配電の需要率まわり——この4つで大半が解けます。

💡 覚え方
式を覚えるときは、単位で検算する癖をつけると取り違えが減ります。たとえば水力の \(P = 9.8QH\eta\) は[m³/s]×[m] に 9.8[m/s²] を掛けて [kW] になる、と単位で追えば係数の位置を間違えません。

本番で「捨てる」判断のしかた

60点で合格できる試験なので、解けない問題を抱え込まないことが得点につながります。判断は次の順でします。

⏱️ 本番での進め方
1. 問題文を読んで30秒で方針が立つか判断する
2. 立たなければ印を付けて飛ばす(考え込まない)
3. 全問に目を通し終えてから、飛ばした問題に戻る
4. 戻っても方針が立たない問題は、消去法で選択肢を2つに絞って決め打つ
5. 空欄では出さない(五肢択一なので期待値がある)

五肢択一なので、まったく分からなくても20%の期待値があります。選択肢を2つに絞れれば50%です。捨てる=空欄にする、ではありません

⚠️ よくある間違い
いちばん多い失点が時間切れで最後の数問を読めなかったというものです。
前半の難問に10分使うと、後半の解けるはずの問題が2問消えます。難問を1問取るより、易しい問題を2問確実に取るほうが点になります。

まとめ

・電力科目は90分17問。1問あたり約5.3分
・上位5分野で全体の59%を占める
・その5分野を固めれば合格基準の60点が見えてくる
・408問中78問に類題・同一問題がある
・詰まった問題は飛ばす。60点で合格できる試験である

電力科目の全408問を分野別に見る

理論科目の攻略/電力科目の攻略/機械科目の攻略法規科目の攻略

科目合格制度を使った合格プランの立て方

この記事の数字について

分野別の問題数は、当サイトが平成18年度〜令和7年度の24回分・全1,584問を分野別に分類して数えたものです。試験時間・問題数・合格基準は問題作成方針、制度は試験概要(いずれも一般財団法人 電気技術者試験センター)に拠ります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次