今回は平成26年度 理論科目 A問題4を解説します。x軸に沿う導体A(電流Ix)とy軸に沿う導体B(電流Iy)が置かれたとき、xy平面上で両者のつくる磁界が零となる点(x,y)の条件を求める問題です。
十分に長い直線電流が距離rにつくる磁界の大きさはH=I/(2πr)です。ただし本問はxy平面全体が対象なので、向きを含むz成分で扱います。導体AとBからの距離はそれぞれ|y|、|x|、符号付き成分はHA,z=Ix/(2πy)、HB,z=−Iy/(2πx)です。合成を零とするとy=(Ix/Iy)xが得られ、Ix, Iy>0より零磁界点は第1・第3象限にあります。
平成26年度 理論科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、平成26年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4
電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 平成26年度 A問題4
図のように、十分に長い直線状導体A、Bがあり、AとBはそれぞれ直角座標系のx軸とy軸に沿って置かれている。Aには+x方向の電流Ix〔A〕が、Bには+y方向の電流Iy〔A〕が、それぞれ流れている。Ix>0、Iy>0とする。このとき、xy平面上でIxとIyのつくる磁界が零となる点(x〔m〕,y〔m〕)の満たす条件として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、x≠0、y≠0とする。
IxとIyのつくる磁界が零となる点(x,y)の満たす条件として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ(x≠0、y≠0)。
(1)y=(Ix/Iy)x (2)y=(Iy/Ix)x (3)y=−(Ix/Iy)x (4)y=−(Iy/Ix)x (5)y=±x

出題のポイント:xy平面上では、どちらの磁界も z 方向を向く
導体Aは x 軸、導体Bは y 軸に沿っています。xy平面上の点では、どちらの導体がつくる磁界も z 方向(紙面に垂直)——だから符号をつけて足すだけで済みます。ベクトルの合成を考える必要はありません。
この単純化に気づけば、あとは大きさを等しく置くだけです。2つの磁界が逆符号になる領域を探す——それが零磁界点の条件になります。

2つの磁界の z 成分を書き出す
右ねじの法則で向きを決めます。導体Aの電流は +x 方向——右ねじを +x 方向へ進めるとき、y 軸の正の側では磁界が +z 方向を向きます。
\(y\) の符号がそのまま磁界の符号になる
A とは逆符号(\(\hat y\times\hat x=-\hat z\))
符号が逆になるのは、電流の向きが90°回っているからです。右ねじを +x に進めるのと +y に進めるのでは、同じ側の点での磁界の向きが反対になります。この符号の違いが、零点が存在する理由です。
合成をゼロにする
\(2\pi\) は約分される
原点を通る直線
\(I_x>0\)、\(I_y>0\) なので、傾き \(I_x/I_y\) は正です。したがって零磁界点は第1象限と第3象限を通る直線上に並びます。
数値で確かめてみます。\(I_x=2\)、\(I_y=1\) とすると \(y=2x\)。点\((1,2)\)で \(H_{Az}=2/(2\pi\times2)=1/(2\pi)\)、\(H_{Bz}=-1/(2\pi\times1)=-1/(2\pi)\)——確かに打ち消し合います ✓


誤答の正体:比を逆にすると(2)に着地する
| 選択肢 | 判定 | 理由 | |
| (1) | \(y=(I_x/I_y)x\) | ◎ | 正解 |
| (2) | \(y=(I_y/I_x)x\) | × | 比が逆。最も引っかかりやすい |
| (3) | \(y=-(I_x/I_y)x\) | × | 符号が逆(第2・第4象限になる) |
| (4) | \(y=-(I_y/I_x)x\) | × | 比も符号も逆 |
| (5) | \(y=\pm x\) | × | \(I_x=I_y\) のときだけの特別な場合 |
(2)との区別が本問の急所です。意味で考えると迷いません——電流が大きい導体ほど強い磁界を作るので、その導体からは遠くないと釣り合いません。
\(I_x\) が大きいなら、導体A(x 軸)から遠い点でなければならない——x 軸から遠いとは \(|y|\) が大きいということです。したがって \(y\) は \(I_x\) に比例する——\(y=(I_x/I_y)x\) で正しいと確認できます。
⚠️ よくある間違い
「距離は電流に比例する」を「電流に反比例する」と取り違えるのが(2)の正体です。磁界が距離に反比例するので、電流が大きいぶんは距離を大きくして薄める——「大きい電流からは遠く」と覚えてください。
💡 覚え方
「\(I/r\) が等しくなる点」と考えると一発です。\(I_x/|y|=I_y/|x|\)——分母の \(|y|\) が \(I_x\) とセットになっているので、\(y\propto I_x\) です。
⏱️ 本番での進め方
❶ どちらの磁界も z 方向と気づく。ベクトル合成は不要。
❷ 右ねじで符号を決める。A と B で符号が逆になる。
❸ \(I/r\) を等しく置く。距離は A なら \(|y|\)、B なら \(|x|\)。
❹ 「大きい電流からは遠く」で比の向きを確認する。
この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。
まとめ
| Aの符号付きz成分 | HA,z=Ix/(2πy) |
| Bの符号付きz成分 | HB,z=−Iy/(2πx) |
| 零条件 | Ix/y−Iy/x=0 |
| 解の範囲 | 第1・第3象限(x≠0、y≠0) |
| 答え | y=(Ix/Iy)x …(1) |
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