電気及び電子計測12【電験3種 理論】偏位法と零位法の違いを理解する(測定方法の空欄補充)!令和4年度上期 A問題14 完全解説

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 令和4年度上期 A問題14 偏位法と零位法!どちらが精密に測れる?

今回は令和4年度上期 理論科目 A問題14を解説します。電気計測の代表的な測定方法「偏位法」と「零位法」の違いに関する記述の空欄(ア)〜(ウ)を埋める問題です。

偏位法は指示計器のように指針の振れで測定量を読む方法、零位法は既知量を測定量に平衡させて読む精密測定法です。零位法の代表例がホイートストンブリッジであることを押さえましょう。

目次

令和4年度上期 理論科目 A問題14:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 令和4年度上期 A問題14 問題文
令和4年度上期 理論科目 A問題14 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題14

電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 令和4年度上期 A問題14

 次の文章は、電気計測に関する記述である。

 電気に関する物理量の測定に用いる方法には各種あるが、指示計器のように測定量を指針の振れの大きさに変えて、その指示から測定量を知る方法を(ア)法という。これに比較して精密な測定を行う場合に用いられている(イ)法は、測定量と同種類で大きさを調整できる既知量を別に用意し、既知量を測定量に平衡させて、そのときの既知量の大きさから測定量を知る方法である。(イ)法を用いた測定器の例としては、(ウ)がある。

上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)偏位零位ホイートストンブリッジ
(2)間接差動誘導形電力量計
(3)間接零位ホイートストンブリッジ
(4)偏位差動誘導形電力量計
(5)偏位零位誘導形電力量計

出題のポイント:偏位法と零位法、そして例をセットで

指針の振れの大きさで測るのが偏位法既知量と釣り合わせてゼロを探すのが零位法です。零位法の代表例がホイートストンブリッジ——この3点セットが答えです

誘導形電力量計は「円板の回転数」で測る偏位法の仲間です。零位法の例にはならないので、(5)は誤りだと判断できます。

偏位法と零位法
$$\text{偏位法:測定量}\ \rightarrow\ \text{指針の振れ}\ \rightarrow\ \text{目盛りを読む}$$$$\text{零位法:測定量}\ =\ \text{既知量となるように調整}\ \rightarrow\ \text{既知量を読む}$$

零位法は「検出器はゼロかどうかだけを見る」ので、検出器の目盛り精度が結果に影響しません

解説:3つの空欄を順に埋める

(ア) 指針の振れの大きさから測定量を知る → 偏位法

電流計・電圧計・電力計など、目盛りを読む計器はすべて偏位法です。測定量がそのまま指針を動かす力になり、その振れ幅を読みます

長所は「速い・簡単」短所は「精度がばね定数や目盛りの精度に左右される」——測定対象からエネルギーを取ってしまうのも欠点です。

(イ) 既知量を測定量に平衡させる → 零位法

測定量と同種の既知量を用意し、両者が等しくなるように既知量を調整します。釣り合ったとき、検出器の指示はゼロ——だから「零位」法です。

読むのは「調整した既知量」のほうです。検出器はゼロかどうかを判定するだけなので、検出器の目盛りが不正確でも結果は正確になります。

(ウ) 零位法を用いた測定器の例 → ホイートストンブリッジ

ホイートストンブリッジは、可変抵抗を調整して検流計の指示をゼロにする装置です。まさに零位法の代表例——電位差計(ポテンショメータ)も同じ仲間です。

答え(ア)偏位 (イ)零位 (ウ)ホイートストンブリッジ → 選択肢(1)

誤答の正体:「間接法」と「誘導形電力量計」

選択肢(ア)(イ)(ウ)判定
(1)偏位零位ホイートストンブリッジ◎ 正解
(2)間接差動誘導形電力量計3つとも誤り
(3)間接零位ホイートストンブリッジ(ア)が誤り
(4)偏位差動誘導形電力量計(イ)(ウ)が誤り
(5)偏位零位誘導形電力量計★(ウ)だけが誤り

(5)がいちばん危険です。(ア)(イ)が正しいので安心してしまいますが、(ウ)の「誘導形電力量計」は偏位法の測定器——最後まで確認が必要です。

「間接法」は別の分類軸です。測定量を直接測るのが直接測定、他の量から計算で求めるのが間接測定——偏位法・零位法とは違う切り口の言葉です。

☝️ ひっかけの作り方:組合せ問題では「2つ正しくて1つだけ違う」肢が必ず用意されます(ア)(イ)が合っているからといって飛びつかず、(ウ)まで確かめる——全部の空欄をチェックする習慣が失点を防ぎます。

深掘り①:偏位法と零位法を比べる

偏位法零位法
読むもの指針の振れ調整した既知量
検出器の役割目盛りを読むゼロかどうか判定するだけ
精度低い〜中高い
測定時間速い調整に時間がかかる
測定対象への影響エネルギーを取る平衡時はゼロ
電流計・電圧計・誘導形電力量計ホイートストンブリッジ・電位差計

零位法が高精度なのは、平衡時に検出器へ電流が流れないからです。測定回路からエネルギーを奪わないので、測定行為そのものが対象を乱しません

代わりに時間がかかります可変抵抗を少しずつ動かしてゼロを探す作業が必要——速さと精度のトレードオフです。

深掘り②:測定法のいろいろな分類

分類軸種類説明
読み方偏位法/零位法振れを読むか、釣り合わせるか
求め方直接測定/間接測定そのまま測るか、計算で出すか
比較の仕方差動法/置換法差を測るか、置き換えて測るか

差動法は「測定量と既知量の差を偏位法で読む」方法です。零位法ほど手間をかけずに、偏位法より高い精度が得られます——両者の中間です。

置換法は「測定量を既知量に置き換えて同じ指示になる既知量を探す」方法です。計器の誤差が打ち消されるのが利点です。

選択肢の「間接」「差動」も実在する用語です。だから紛らわしい——それぞれの定義をきちんと区別しておく必要があります。

深掘り③:零位法の代表例をもう少し

測定器何を測る平衡させるもの
ホイートストンブリッジ中〜高抵抗可変抵抗で検流計をゼロに
ケルビンダブルブリッジ低抵抗接触抵抗の影響を除く工夫つき
電位差計電圧・起電力既知の電圧と釣り合わせる
交流ブリッジインダクタンス・静電容量実部と虚部の両方をゼロに

電位差計は、電池の起電力を「電流を流さずに」測れるのが強みです。電流を流すと内部抵抗で電圧が下がってしまう——零位法ならその影響がありません

交流ブリッジでは、抵抗分とリアクタンス分の両方を同時にゼロにする必要があります。だから調整するつまみが2つ——直流ブリッジより手間がかかります

💡 覚え方
偏位法=振れを読む(速いが精度は中)零位法=釣り合わせて既知量を読む(遅いが高精度)ブリッジと電位差計は零位法、指示計器は全部偏位法——この対応で十分です。

⏱️ 本番での進め方
❶ 「指針の振れ」とあれば偏位法「平衡させて」とあれば零位法
❷ 例に「ブリッジ」が出てきたら零位法
❸ 誘導形電力量計は偏位法——円板の回転を読む計器。
❹ (ア)(イ)が合っていても(ウ)まで確認する。

深掘り④:指示計器の種類と記号

偏位法の計器=指示計器には、動作原理によっていくつもの種類があります。計器の目盛り板に記号で書かれているので、見分けられるようにしておきましょう。

種類動作原理使える電源指示する値主な用途
可動コイル形永久磁石と電流の力直流のみ平均値直流電流計・電圧計
可動鉄片形磁界による鉄片の吸引交流・直流実効値交流電流計・電圧計
電流力計形2つのコイルの電流の積交流・直流実効値電力計
誘導形回転磁界による渦電流交流のみ実効値電力量計
静電形電極間の静電力交流・直流実効値高電圧計
整流形整流して可動コイル形へ交流平均値×波形率安価な交流計

可動コイル形が直流専用なのは、交流を流すと力の向きが交互に変わり、指針が追従できずに振れないからです。交流を測るには整流器を前に入れます(整流形)

整流形は「平均値を測って実効値の目盛りを打つ」ため、正弦波でない波形では誤差が出ますひずんだ波形を正確に測るには可動鉄片形や熱電形を使います。

問題文にあった誘導形電力量計は、家庭の電力メーターです。円板の回転数を積算して電力量(kW·h)を出します——指針の振れではありませんが、これも偏位法の仲間です。

出題履歴:測定法の分類は計測の入口

偏位法と零位法の区別は、計測分野の最も基本的な知識です。語句問題として繰り返し出題され、ブリッジの計算問題とセットで問われることも多いテーマです。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(ア)偏位法指針の振れの大きさで読む
(イ)零位法既知量を平衡させて読む精密測定
(ウ)ホイートストンブリッジ(零位法の例)
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・内部抵抗の異なる2電流計の並列(電気及び電子計測11):【理論】令和4年度下期 B問題16

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次