磁気・電磁力33【電験3種 理論】半円形の導線が中心につくる磁界をビオ・サバールの法則で求める!平成28年 A問題3 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 平成28年度 A問題3 半円の導線が中心につくる磁界!円の半分で何A/m?

今回は平成28年度 理論科目 A問題3を解説します。長い線状導体の一部が点Pを中心とする半径rの半円形になっているとき、電流Iを流したときに点Pに生じる磁界の大きさH〔A/m〕をビオ・サバールの法則で求める問題です。

点Pを通る直線部分は、電流要素dℓと点Pへの位置ベクトルRが平行でdℓ×R=0となるため寄与しません。半円部分は中心角θ=π radなので、円弧の公式H=Iθ/(4πr)からH=I/(4r)となります。

目次

平成28年度 理論科目 A問題3:問題文と選択肢

まずは、平成28年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 平成28年度 A問題3 問題文
平成28年度 理論科目 A問題3 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題3

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 平成28年度 A問題3

 図のように、長い線状導体の一部が点Pを中心とする半径r〔m〕の半円形になっている。この導体に電流I〔A〕を流すとき、点Pに生じる磁界の大きさH〔A/m〕はビオ・サバールの法則より求めることができる。Hを表す式として正しいものを、次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

点Pに生じる磁界の大きさHを表す式として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)I/(2πr) (2)I/(4r) (3)I/(πr) (4)I/(2r) (5)I/r

図 点Pを中心とする半径rの半円形部分を含む長い線状導体(問題図)
図 点Pを中心とする半径rの半円形部分を含む長い線状導体(問題図)

出題のポイント:直線部分は「寄与ゼロ」、残るのは半円だけ

一見すると直線と半円の合成で面倒に見えますが、直線部分の寄与はきれいにゼロになります。実質は「半円だけの問題」です。

ビオ・サバールの法則
$$d\boldsymbol{H}=\frac{I\,d\boldsymbol{l}\times\boldsymbol{R}}{4\pi R^{3}}$$

外積 \(d\boldsymbol{l}\times\boldsymbol{R}\) がポイント。電流の向きと、その点へ向かうベクトルが平行なら外積はゼロ——つまり磁界に寄与しません。

点Pを通る直線部分と半円形導線について磁界の寄与とI毎4rを示す図
直線部分の寄与は0、中心角πの半円部分はH=I/(4r)で、正答は(2)です。

なぜ直線部分は寄与しないのか

直線部分は点Pを通る同一直線上にあります。したがって電流要素 \(d\boldsymbol{l}\) の向きと、そこから点Pへ向かうベクトル \(\boldsymbol{R}\) が平行(または反平行)です。

$$d\boldsymbol{l}\parallel\boldsymbol{R}\;\Longrightarrow\;d\boldsymbol{l}\times\boldsymbol{R}=0$$
❶ 外積がゼロ
平行なベクトルの外積は必ず0
$$\therefore\;d\boldsymbol{H}=0$$
❷ 磁界への寄与もゼロ
直線部分は何本あっても関係ない

「導体が長い」と書いてあっても惑わされないでください。長さがいくらであっても、点Pから見て真横(同一直線上)にある電流は磁界を作りません

💡 覚え方
右ねじで考えても同じ結論になります。直線電流のまわりの磁界は電流を軸とする同心円なので、軸上(=電流の延長線上)では磁界がゼロです。点Pはまさにその軸上にあります。

半円部分の磁界:円弧の公式を使う

半径 \(r\)、中心角 \(\theta\)〔rad〕の円弧が中心につくる磁界は次の式で表せます。

円弧が中心につくる磁界
$$H=\frac{I\theta}{4\pi r}\qquad\left(=\frac{I}{2r}\times\frac{\theta}{2\pi}\right)$$

「全円 \(I/2r\) の \(\theta/2\pi\) 倍」と読むと覚えやすいです。全円の何割ぶんの弧か、という素直な比例配分です。

$$\theta=\pi\;\mathrm{rad}$$
❶ 半円の中心角
180°=\(\pi\) rad
$$H=\frac{I\pi}{4\pi r}=\frac{I}{4r}$$
❷ 代入して \(\pi\) が約分
\(\pi\) が消えるのが半円の特徴

円形コイル1周なら \(I/2r\)、その半分だから \(I/4r\)——この理解で十分です。答えに \(\pi\) が残らないことも、選択肢を絞るヒントになります。

直線部と半円部の磁界を別々に求めて重ね合わせる3段階の解説図
ビオ・サバールの法則で直線部0、半円部I/(4r)となります。
答え\(H=\dfrac{I}{4r}\)〔A/m〕 → 選択肢(2)
平成28年度理論問3のビオサバール積分と選択肢2を示す解答図
積分範囲0からπよりH=I/(4r) A/mとなり、公式正答は(2)です。

誤答の正体:3つの公式のどれを使うか

公式どんな配置か選択肢
無限長直線\(H=\dfrac{I}{2\pi r}\)まっすぐな電流から距離 \(r\) の点(1)
半円(本問)\(H=\dfrac{I}{4r}\)中心角 \(\pi\) の円弧の中心(2) ◎正解
\(2/\pi\) 倍の誤り\(H=\dfrac{I}{\pi r}\)(3)
円形コイル1周\(H=\dfrac{I}{2r}\)円の中心(4)
\(H=\dfrac{I}{r}\)(5)

(1)と(4)が主要な罠です。(1)は「直線が長いから」と無限長直線の公式を使ってしまう誤り、(4)は「半分」を忘れて円形コイルの公式をそのまま使う誤りです。

⚠️ よくある間違い
\(\pi\) が残るかどうかで公式が見分けられます直線の公式には \(\pi\) が残り(\(2\pi r\))、円弧・円の公式では \(\pi\) が約分されて消えます。答えの形を見た瞬間に、どちらの公式を使ったかが分かります。

3つの公式を1つの発想でつなぐ

すべてビオ・サバールの法則から出てきます。円のときだけ計算が簡単になる理由も、外積で説明できます。

\(d\boldsymbol{l}\) と \(\boldsymbol{R}\) の関係結果
円弧の中心常に垂直(半径と接線)\(\sin\theta=1\) で計算が最も簡単
直線の延長上常に平行寄与ゼロ
直線の側方場所により角度が変わる積分が必要 → \(I/2\pi r\)

本問は「常に垂直(半円)」と「常に平行(直線)」という、両極端だけで構成されています。だから積分せずに答えが出るのです。出題者が計算しやすいように配置を選んでいると気づけば、方針で迷いません。

⏱️ 本番での進め方
❶ まず直線部分を切り捨てる。点Pと同一直線上なら寄与ゼロ。図を見た瞬間に消す。
❷ 円弧は「全円の何割か」で考える。半円なら \(I/2r\) の半分で \(I/4r\)。
❸ \(\pi\) の有無で検算する。円弧なら \(\pi\) は消える。残っていたら直線の公式を使っている。
❹ 1/4円なら \(I/8r\)。中心角に比例するので、どんな角度でも同じ考え方で出せる。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

直線部同一直線上→磁界0
円全体I/(2r)
半円その半分
答えI/(4r) …(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・円弧電流の磁界の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題4

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成30年度A問題14(磁気・電磁力29)
【理論】平成27年度A問題5(磁気・電磁力37)
【理論】平成25年度A問題3(磁気・電磁力40)
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