磁気・電磁力41【電験3種 理論】直線導体と正方形ループ導体の間に働く電磁力を求める!平成25年 A問題4 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 平成25年度 A問題4 直線電流とループが引き合う!合力は何Nか?

今回は平成25年度 理論科目 A問題4を解説します。無限長直線導体Aと、距離d離れた1辺aの正方形ループ導体Bに電流を流したとき、Bに加わる電磁力の大きさと向きを求める問題です。

ループBの4辺すべてに働く力を考えます。近い縦辺(距離d)は+x方向の反発、遠い縦辺(距離d+a)は−x方向の引力で、近い辺の方が強いため差は+x方向です。上辺と下辺にもそれぞれ−z、+z方向の力が働きますが、辺に沿って積分すると等大・逆向きとなり相殺します。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【理論】令和5年度下期A問題4 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

平成25年度 理論科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、平成25年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 平成25年度 A問題4 問題文
平成25年度 理論科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 平成25年度 A問題4

 図のように、透磁率μ0〔H/m〕の真空中に無限に長い直線状導体Aと1辺a〔m〕の正方形のループ状導体Bが距離d〔m〕を隔てて置かれている。AとBはxz平面上にあり、Aはz軸と平行、Bの各辺はx軸又はz軸と平行である。A、Bには直流電流IA〔A〕、IB〔A〕が、それぞれ図示する方向に流れている。このとき、Bに加わる電磁力として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。なお、xyz座標の定義は、破線の枠内の図で示したとおりとする。

(1) 0N つまり電磁力は生じない
(2) μ0IAIBa2/{2πd(a+d)} 〔N〕の+x方向の力
(3) μ0IAIBa2/{2πd(a+d)} 〔N〕の−x方向の力
(4) μ0IAIBa(a+2d)/{2πd(a+d)} 〔N〕の+x方向の力
(5) μ0IAIBa(a+2d)/{2πd(a+d)} 〔N〕の−x方向の力

図 無限長直線導体Aと1辺aの正方形ループ導体B、距離d(問題図)
図 無限長直線導体Aと1辺aの正方形ループ導体B、距離d(問題図)

出題のポイント:近い辺と遠い辺の「差」が残る

正方形ループの4辺のうち、力が残るのは直線導体Aと平行な2辺だけです。この2辺は電流の向きが逆なので受ける力も逆向き——ところが距離が違うので大きさが釣り合わず、差が残ります

「対称だから打ち消し合う」と考えると選択肢(1)に着地します。しかし直線導体がつくる磁界は距離に反比例して弱くなるので、近い辺のほうが強い力を受けます。ここが本問の核心です。

直線電流がつくる磁界と、そこに置かれた導体が受ける力
$$B=\frac{\mu_0 I_A}{2\pi r}\qquad F=B I_B a=\frac{\mu_0 I_A I_B a}{2\pi r}$$

\(r\) は直線導体からの距離です。近い辺は \(r=d\)、遠い辺は \(r=d+a\)——この違いが答えを生みます。

下向き電流の直線導体と正方形電流ループの四辺に働く力を座標方向と距離付きで示す図
近い縦辺の+x反発力が遠い縦辺の−x引力より強く、上下辺の±z方向力は積分すると相殺します。

4辺を1つずつ調べる

Aとの関係距離受ける力向き
近い鉛直辺平行\(d\)\(\dfrac{\mu_0I_AI_Ba}{2\pi d}\)+x(大きい)
遠い鉛直辺平行\(d+a\)\(\dfrac{\mu_0I_AI_Ba}{2\pi(d+a)}\)−x(小さい)
上辺直交場所により変化z 方向下辺と打ち消す
下辺直交場所により変化z 方向上辺と打ち消す

上辺と下辺は直線導体Aと直交しています。この2辺には z 方向の力が働きますが、ループを一周する電流の向きの関係で、上下がちょうど逆向きになります。辺に沿って積分しても大きさが等しいので、完全に相殺します。

残るのは鉛直2辺の差だけです。近い辺のほうが距離が小さいぶん力が大きいので、合力は近い辺が受ける向き(+x方向)になります。

差を計算する

$$F=\frac{\mu_0I_AI_Ba}{2\pi}\left(\frac{1}{d}-\frac{1}{d+a}\right)$$
❶ 差を取る
近い辺 − 遠い辺
$$\frac{1}{d}-\frac{1}{d+a}=\frac{(d+a)-d}{d(d+a)}=\frac{a}{d(d+a)}$$
❷ 通分する
分子に \(a\) が出てくる
$$F=\frac{\mu_0I_AI_Ba^2}{2\pi d(d+a)}\;\;(\text{+x 方向})$$
❸ まとめる
\(a\) が2乗になる

答えの分子が \(a^2\) になるのがポイントです。もとの式の \(a\)(辺の長さ)と、通分で出てきた \(a\)(距離の差)が掛かるからです。

正方形ループの縦辺二本の力の差と上下辺の位置依存磁界の積分による相殺を式で示す解説図
縦辺の力はdとd+aで異なり、差は+x方向です。上下辺はそれぞれ対数形の非零の力を受けますが、等大・逆向きで相殺します。
答え\(F=\dfrac{\mu_0I_AI_Ba^2}{2\pi d(a+d)}\)〔N〕の+x方向の力 → 選択肢(2)
平成25年度理論科目A問題4の合力を通分し五つの選択肢を大きさと向きで判定して正答2を示す表
合力はμ₀I_AI_Ba²/{2πd(d+a)} Nの+x方向となり、公式正答は(2)です。

誤答の正体:分子の形で「差」か「和」かが見分けられる

分子この式が意味すること判定
(1)0力は生じない× 距離が違うので差が残る
(2)\(a^2\)\(\dfrac1d-\dfrac1{d+a}\)(差)◎ 正解(+x)
(3)\(a^2\)同じ式だが向きが逆× 向きが誤り
(4)\(a(a+2d)\)\(\dfrac1d+\dfrac1{d+a}\)(和)× 足し算してしまった
(5)\(a(a+2d)\)同じく和、向きも逆×

\(\dfrac1d+\dfrac1{d+a}=\dfrac{(d+a)+d}{d(d+a)}=\dfrac{a+2d}{d(d+a)}\)——(4)(5)の分子 \(a(a+2d)\) は、まさに和を取った形です。分子を見るだけで、差か和かが判別できます

この見分け方は本番で有効です。途中計算に自信がなくても、\(a^2\) なら差、\(a+2d\) なら和——2辺の力は逆向きだから引き算と分かっていれば、\(a^2\) の肢に絞れます。

⚠️ よくある間違い
選択肢(1)の「電磁力は生じない」を選ぶ誤解は、「正方形なので対称」という思い込みから来ます。対称なのはループの形であって、磁界は対称ではありません直線導体に近いほど磁界が強いので、必ず差が残ります。

💡 覚え方
「近いほうが勝つ」——これだけ覚えておけば向きは決まります。近い辺が受ける向きが合力の向きです。電流の向きによって引力か斥力かは変わりますが、「近いほうが勝つ」という関係は常に成り立ちます

★この問題は過去問とまったく同じ内容で再出題されています

本問は【理論】令和5年度下期A問題4完全に同一の問題です。問題文・図・選択肢の並びまですべて同じで、答えもどちらも(2)です。

この問題は「計算はやや面倒だが、考え方は一本道」という良問です。だからこそそのまま再出題されました一度解いておけば、次に出たときは確実に得点できます

ただし選択肢の番号で覚えるのは危険です。同じ内容でも並び順が変わる例を、当サイトでは複数確認しています。「分子が \(a^2\) なら差、+x 方向」という中身で覚えてください

あわせて解いておきたい記事:【理論】令和5年度下期A問題4

⏱️ 本番での進め方
❶ 4辺を分類する。平行な2辺だけが x 方向の力を受ける。直交する2辺は相殺。
❷ 差を取る。近い辺 − 遠い辺。距離が違うので釣り合わない。
❸ 分子の形で確認。\(a^2\) なら差、\(a+2d\) なら和。
❹ 向きは「近いほうが勝つ」。近い辺が受ける向きが合力の向き。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

近い縦辺 x=d反発・+x、μ0IAIBa/(2πd)
遠い縦辺 x=d+a引力・−x、μ0IAIBa/{2π(d+a)}
上辺・下辺非零の±z方向力が積分後に相殺
合力μ0IAIBa2/{2πd(a+d)}、+x
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・平行導体・ループの力の関連問題:【理論】令和5年度下期A問題4

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成25年度A問題3(磁気・電磁力40)
【理論】平成24年度A問題4(磁気・電磁力43)
【理論】平成26年度A問題4(磁気・電磁力39)
◀ 磁気・電磁力40:【理論】平成25年度A問題3磁気・電磁力42:【理論】平成24年度A問題3
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次