磁気・電磁力43【電験3種 理論】平行導体間に働く力から相手の電流を逆算する!平成24年 A問題4 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 平成24年度 A問題4 働く力から逆算する!もう一方の電流は何A?

今回は平成24年度 理論科目 A問題4を解説します。20cm間隔の2本の無限長直線導体で、一方に10Aを流したとき1m当たり1×10-6Nの力が働いたときの、他方の導体の電流Iを求める問題です。

単位長さ当たりの力をf=F/ℓ〔N/m〕とすると、平行導体間ではf=μ0I1I2/(2πd)です。20 cmを0.20 mに直し、この式を未知電流Iについて解きます。μ0=4π×10-7 H/mのπは分母の2πと約分できます。

目次

平成24年度 理論科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、平成24年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 平成24年度 A問題4 問題文
平成24年度 理論科目 A問題4 問題文

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 平成24年度 A問題4

 真空中に、2本の無限長直線状導体が20〔cm〕の間隔で平行に置かれている。一方の導体に10〔A〕の直流電流を流しているとき、その導体には1〔m〕当たり1×10-6〔N〕の力が働いた。他方の導体に流れている直流電流I〔A〕の大きさとして、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、真空の透磁率はμ0=4π×10-7〔H/m〕である。

問題文は力の大きさだけを示しているため、電流が同方向か逆方向かは特定できません。ただし、求めるのも電流の大きさなので、引力・斥力の別は計算に不要です。

(1)0.1 (2)1 (3)2 (4)5 (5)10

出題のポイント:\(\mu_0/(2\pi)=2\times10^{-7}\) を覚えておく

平行導体間の力の式は、\(\pi\) が約分されてきれいな形になります\(\mu_0=4\pi\times10^{-7}\) を \(2\pi\) で割ると \(2\times10^{-7}\)——この値を覚えておけば、\(\pi\) を書く必要すらありません

本問で唯一の落とし穴は単位換算です。間隔が20 cm と書かれています0.20 m に直さないと、答えが10倍ずれて選択肢(2)に着地します。

平行導体間に働く力(単位長さ当たり)
$$f=\frac{\mu_0 I_1I_2}{2\pi d}=2\times10^{-7}\times\frac{I_1I_2}{d}\;\mathrm{[N/m]}$$

\(\dfrac{\mu_0}{2\pi}=\dfrac{4\pi\times10^{-7}}{2\pi}=2\times10^{-7}\)\(\pi\) が消えるのがこの式の特徴です。

間隔0.20メートルの平行導体と単位長さ当たりの力を示し、未知電流を平行導体間力の式で逆算する図
1 m当たりの力をf〔N/m〕として扱い、d=0.20 m、I₁=10 Aを公式へ代入します。電流方向は問題文から特定できません。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4

解説:式を \(I\) について解く

$$1\times10^{-6}=2\times10^{-7}\times\frac{10\times I}{0.20}$$
❶ 数値を代入
20 cm → 0.20 m
$$1\times10^{-6}=1\times10^{-5}\times I$$
❷ 係数をまとめる
\(2\times10^{-7}\times10\div0.20=1\times10^{-5}\)
$$I=\frac{1\times10^{-6}}{1\times10^{-5}}=0.1\;\mathrm{A}$$
❸ 割る

検算:\(2\times10^{-7}\times10\times0.1\div0.20=1\times10^{-6}\;\mathrm{N/m}\) ✓ 与えられた値と一致します。

問題文は「その導体には」と、力を受けた側を特定して書いていますが、作用反作用の法則により、2本の導体が受ける力は同じ大きさです。どちらの導体について考えても、式は同じになります。

直線導体が作る磁束密度から単位長さ当たりの力を導き、数値代入と指数計算で0.1アンペアを求める図
B₁=μ₀I₁/(2πd)=1.0×10⁻⁵ T、f=I₂B₁の二段階でもI=0.1 Aを確認できます。
答え\(I=0.1\;\mathrm{A}\) → 選択肢(1)
平成24年度理論科目A問題4を単位換算、公式変形、数値代入の三段階で解き、選択肢1を示す図
20 cmを0.20 mに直してI=2πdf/(μ₀I₁)へ代入すると0.1 Aとなり、公式正答は(1)です。

誤答の正体:単位換算を忘れると(2)に着地する

誤り方使った距離得られる \(I\)選択肢
20 cm を 2 m と誤る2 m1 A(2)
20 cm を 20 m と誤る20 m10 A(5)
正しい計算0.20 m0.1 A(1) ◎

選択肢が0.1・1・2・5・10 と1桁刻みで並んでいるのは、単位換算のミスをそのまま拾うためです。cm を m に直す一手を、計算の最初に済ませておくのが確実な対策になります。

⚠️ よくある間違い
\(\mu_0=4\pi\times10^{-7}\) をそのまま式に入れて \(2\pi\) で割り忘れると、答えが \(2\pi\) 倍ずれます。最初から \(2\times10^{-7}\) という形で覚えておくのが安全です。

深掘り:この式がアンペアの定義だった

2019年まで、アンペアはこの力によって定義されていました「1 m 離した2本の無限長平行導線に等しい電流を流し、1 m あたり \(2\times10^{-7}\;\mathrm{N}\) の力が働くときの電流が1 A」という定義です。

$$f=2\times10^{-7}\times\frac{1\times1}{1}=2\times10^{-7}\;\mathrm{N/m}$$
定義の確認
\(I_1=I_2=1\;\mathrm{A}\)、\(d=1\;\mathrm{m}\)

\(\mu_0=4\pi\times10^{-7}\) という「不思議な値」の正体がここにありますアンペアをこう定義した結果として、\(\mu_0\) がこの値に決まったのです。\(4\pi\) が付いているのは、球の表面積 \(4\pi r^2\) との整合を取るためです。

現在の定義は変わり、電気素量を基準とする方式になりました。そのため\(\mu_0\) は厳密には \(4\pi\times10^{-7}\) ではなくなりましたが、差は \(10^{-10}\) 程度で、電験の計算では従来どおり使って問題ありません。

実務では短絡電磁力として重要です。力は電流の2乗に比例するので、短絡時に数十kAが流れると、母線には1 m あたり数百Nの力がかかります。支持がいしや金具の強度は、この計算に基づいて決められます

⏱️ 本番での進め方
❶ 単位を最初に直す。20 cm → 0.20 m。ここで10倍ずれる人が多い。
❷ \(2\times10^{-7}\) を使う。\(\mu_0\) と \(2\pi\) を別々に書かない。
❸ 検算する。求めた \(I\) を代入して \(1\times10^{-6}\) に戻るか。
❹ 力の向きは不要。大きさを聞かれているので引力・斥力の別は無関係。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

既知量f=1×10-6 N/m、I1=10 A、d=0.20 m
公式f=μ0I1I/(2πd)
磁界による検算B1=1×10-5 T、f=IB1
逆算I=10-6/10-5=0.1 A
答え(1)

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