磁気・電磁力38【電験3種 理論】磁気回路(磁気抵抗)の記述で誤りはどれ?起磁力は起電力に対応!平成26年 A問題3 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 平成26年度 A問題3 磁気回路は電気回路とそっくり!誤りの対応はどれ?

今回は平成26年度 理論科目 A問題3を解説します。環状鉄心で作った磁気回路(磁気抵抗)に関する記述(1)〜(5)のうち、誤っているものを1つ選ぶ問題です。

ポイントは、ホプキンソンの法則F=ℜΦとオームの法則V=RIを同じ形で対応させることです。起磁力F=NI↔起電力V、磁束Φ↔電流I、磁気抵抗ℜ↔電気抵抗Rとなります。選択肢(5)は起磁力を電流へ対応させているため誤りです。

目次

平成26年度 理論科目 A問題3:問題文と選択肢

まずは、平成26年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 平成26年度 A問題3 問題文
平成26年度 理論科目 A問題3 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題3

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 平成26年度 A問題3

 環状鉄心に絶縁電線を巻いて作った磁気回路に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 磁気抵抗は、磁束の通りにくさを表している。毎ヘンリー〔H-1〕は、磁気抵抗の単位である。
(2) 電気抵抗が導体断面積に反比例するように、磁気抵抗は、鉄心断面積に反比例する。
(3) 鉄心の透磁率が大きいほど、磁気抵抗は小さくなる。
(4) 起磁力が同じ場合、鉄心の磁気抵抗が大きいほど、鉄心を通る磁束は小さくなる。
(5) 磁気回路における起磁力と磁気抵抗は、電気回路におけるオームの法則の電流と電気抵抗にそれぞれ対応する。

出題のポイント:対応表を1度書けば、5つの記述が一瞬で判定できる

この問題は磁気回路と電気回路の対応関係を問うています。対応表さえ頭に入っていれば、5つの記述はどれも読んだ瞬間に正誤が分かります。逆に、対応をあいまいに覚えていると、もっともらしい(5)に引っかかります。

磁気回路という考え方は、「磁束の流れを、電流の流れになぞらえて計算する」という発想です。まったく別の現象に見えますが、式の形が完全に同じなので、電気回路で身につけた計算テクニックがそのまま使えます。直列なら足し算、並列なら和分の積——これも共通です。

ホプキンソンの法則(磁気回路のオームの法則)
$$NI=R_m\varPhi\qquad\Longleftrightarrow\qquad V=RI$$$$R_m=\frac{l}{\mu A}\qquad\Longleftrightarrow\qquad R=\frac{\rho l}{A}$$

左辺どうし、右辺どうしが対応します。起磁力 \(NI\) ↔ 起電力 \(V\)磁束 \(\varPhi\) ↔ 電流 \(I\)磁気抵抗 \(R_m\) ↔ 電気抵抗 \(R\) です。

電圧源と抵抗の電気回路およびコイルを巻いた環状鉄心の磁気回路を並べ起磁力・磁束・磁気抵抗の対応を示す図
F=ℜΦとV=RIを対応させると、起磁力Fは電圧V、磁束Φは電流I、磁気抵抗ℜは抵抗Rに対応します。

対応表:この3組を確実に覚える

電気回路磁気回路対応の理由
起電力 \(V\)〔V〕起磁力 \(NI\)〔A〕どちらも「流れを生み出す原動力」
電流 \(I\)〔A〕磁束 \(\varPhi\)〔Wb〕どちらも「流れるもの」
電気抵抗 \(R\)〔Ω〕磁気抵抗 \(R_m\)〔H⁻¹〕どちらも「流れにくさ」
導電率 \(\sigma=1/\rho\)透磁率 \(\mu\)どちらも「通しやすさ」を表す物性値

並べ方さえ間違えなければ迷いません起磁力は「力」なので原動力の側、磁束は「流れるもの」なので電流の側——日本語の意味からも対応が読み取れます。

本問の誤りは、この対応を1組だけずらしてある点にあります。もっともらしく見えるのは、「起磁力」と「電流」がどちらも単位に〔A〕を含むからです。しかし単位が似ていることと、回路での役割が同じことは別です。

各記述の判定

記述判定根拠
(1)磁気抵抗は磁束の通りにくさ。単位は〔H⁻¹〕◎ 正しい\(R_m=NI/\varPhi\) は A/Wb、\(\mathrm{H}=\mathrm{Wb/A}\) なので H⁻¹
(2)磁気抵抗は鉄心断面積に反比例する◎ 正しい\(R_m=l/(\mu A)\) の \(A\) は分母
(3)透磁率が大きいほど磁気抵抗は小さい◎ 正しい\(\mu\) は分母
(4)起磁力が同じなら、磁気抵抗が大きいほど磁束は小さい◎ 正しい\(\varPhi=NI/R_m\)。\(I=V/R\) と同じ
(5)起磁力と磁気抵抗は、電流と電気抵抗に対応する× 誤り起磁力に対応するのは起電力

(5)以外は「\(R_m=l/(\mu A)\) のどこを見るか」だけで判定できます。分子にあれば比例、分母にあれば反比例——それだけです。(4)だけはホプキンソンの法則を \(\varPhi\) について解いた形ですが、これも \(I=V/R\) と見比べれば一目で分かります。

環状鉄心の磁路長・断面積・透磁率と磁気抵抗の関係および単位Hの逆数を示す解説図
磁気抵抗ℜ=ℓ/(μS)なので、磁路長に比例し、透磁率と断面積に反比例します。単位はA/Wb=H⁻¹です。
答え誤っているのは 選択肢(5) (起磁力に対応するのは起電力、電流に対応するのは磁束
平成26年度理論科目A問題3の五つの記述を磁気抵抗の式と電気回路対応で判定し誤り5を示す表
(1)〜(4)は正しく、起磁力を電流へ対応させた(5)が誤りです。公式正答は(5)です。

深掘り:磁気回路の考え方が本当に役立つ場面

磁気回路が威力を発揮するのは、エアギャップのある鉄心を扱うときです。電動機や電磁石は、必ずどこかに空隙があります。この空隙の磁気抵抗を計算できないと、必要な起磁力(=コイルの巻数と電流)が決められません。

鉄の比透磁率を1 000とすると、同じ長さあたりの磁気抵抗は空気の1 000分の1です。裏を返せば、1 mm の空隙が、1 m の鉄心と同じだけ磁束を妨げるということになります。

$$R_{m,\text{全体}}=R_{m,\text{鉄}}+R_{m,\text{空隙}}$$
❶ 直列なので足す
電気回路の直列抵抗とまったく同じ
$$\frac{R_{m,\text{空隙}}}{R_{m,\text{鉄}}}=\mu_r\times\frac{l_g}{l_{\text{鉄}}}$$
❷ 比を取る
\(\mu_r=1\,000\)、\(l_g/l_{\text{鉄}}=1/1\,000\) なら比は1

だから電動機の設計では、空隙の長さが厳しく管理されます。空隙が広がれば磁気抵抗が増え、同じ磁束を得るのに大きな電流が必要になり、効率が落ちるからです。

⚠️ よくある間違い
磁気回路の対応は完璧ではありません電流は絶縁体でほぼ完全に閉じ込められますが、磁束には「磁気の絶縁体」がなく、必ず漏れ磁束が生じます。また透磁率は磁束密度によって変わる(磁気飽和)ため、\(R_m\) は一定値ではありません。磁気回路はあくまで便利な近似だと理解しておいてください。

⏱️ 本番での進め方
❶ 対応表を余白に書く:起磁力↔起電力、磁束↔電流、磁気抵抗↔電気抵抗。これで(5)が即座に浮く。
❷ \(R_m=l/(\mu A)\) を書く。分子か分母かで(2)(3)が判定できる。
❸ 単位で確認。\(R_m\) は A/Wb = H⁻¹。
❹ 「誤っているもの」を選ぶ問題。正しい肢に印をつけて消していく。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(1)(2)(3)H-1・断面積反比例・透磁率反比例→正
(4)Φ=起磁力/Rm→正
(5)対応起磁力↔起電力(電流は誤り)
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・磁気回路の関連問題:【理論】令和5年度上期A問題3

📚 次に解くべき関連問題
【理論】平成27年度A問題3(磁気・電磁力36)
【理論】平成28年度A問題4(磁気・電磁力34)
【理論】平成28年度A問題8(磁気・電磁力35)
◀ 磁気・電磁力37:【理論】平成27年度A問題5磁気・電磁力39:【理論】平成26年度A問題4
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次