直流回路5【電験3種 理論】RLC回路でコンデンサ放電時に抵抗が消費するエネルギーは?令和7年度上期 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 令和7年度上期 A問題5 コンデンサが放電しきるまで!抵抗は何J消費する?

今回は令和7年度上期 理論科目 A問題5を解説します。電圧Vに充電されたコンデンサCをスイッチSで抵抗R・コイルLと直列接続し、十分時間が経過して完全に減衰するまでに抵抗Rで消費される電気エネルギーW [J]を求めます。

ポイントは、瞬時電流i(t)を解かずにエネルギー保存則を使うことです。理想的なC・L・Rと理想スイッチからなる回路では、CとLはエネルギーを一時的に蓄え、Rだけが不可逆に熱へ変えます。初期と十分後の全蓄積エネルギーの差が、Rの総消費エネルギーです。

目次

令和7年度上期 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題図では、左枝のCと、上側のS→R→Lが1つの直列閉回路を作ります。図示状態でSは開いており、Cは電圧Vに充電されています。

電験3種 理論科目 直流回路 令和7年度上期 A問題5 問題文
令和7年度上期 理論科目 A問題5 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和7年度上期 A問題5

 図に示すRLC回路において、静電容量C〔F〕のコンデンサが電圧V〔V〕に充電されている。この状態でスイッチSを閉じ、それから時間が十分に経過してコンデンサの端子電圧が最終的に零となった。この間に抵抗R〔Ω〕で消費された電気エネルギーW〔J〕を表す式として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)½C2V (2)½LV2 (3)½L2V (4)½・V2/R (5)½CV2

出題のポイント:微分方程式を解かずに「エネルギー保存」で片づける

RLC回路と聞くと、振動するのか単調に減衰するのかを場合分けして…と身構えてしまいますが、この問題は途中の電流波形を一切求める必要がありません。問われているのは「最終的に抵抗で消費されたエネルギー」だからです。

理想素子の役割分担を思い出してください。コンデンサとコイルはエネルギーを一時的に預かるだけで、消費はしません(Cは電界に、Lは磁界に蓄えます)。熱に変えて不可逆に捨てるのは抵抗Rだけです。したがって、$$W_R=\bigl(\text{初めの蓄積エネルギー}\bigr)-\bigl(\text{終わりの蓄積エネルギー}\bigr)$$という引き算1回で答えが出ます。RやLの値によって減衰の速さや振動の有無は変わりますが、最後まで減衰しきったときの総消費量は変わりません——ここが本問の面白いところです。

充電済みコンデンサCとスイッチS、抵抗R、コイルLの直列回路について、初期、過渡中、十分後の3状態とエネルギー移動を示す出題ポイント図
初期はvC=V、i=0。過渡中はC・L間でエネルギーが移動しながらRで消費され、十分後はvC=0、i=0になります。

問題の解説:初めの蓄積 − 終わりの蓄積

使う公式:C・Lが蓄えるエネルギー
$$U_C=\frac{1}{2}Cv_C^{\,2}\qquad U_L=\frac{1}{2}Li^{\,2}$$

※どちらも「½×(素子の値)×(その素子を特徴づける量)²」という同じ形。Cは電圧の2乗、Lは電流の2乗という対応を押さえておくと混同しません。

STEP1 スイッチを閉じる直前の蓄積エネルギー

コンデンサは電圧Vに充電済み、まだ回路は開いているので電流は0です。

$$U(0)=\frac{1}{2}CV^2+\frac{1}{2}L\cdot0^2=\frac{1}{2}CV^2$$
❶ 初期状態
Cだけがエネルギーを持つ

STEP2 十分に時間が経ったあとの蓄積エネルギー

問題文は「時間が十分に経過してコンデンサの端子電圧が最終的に零となった」と書いています。R>0 があるかぎり振動しても必ず減衰しきるので、最終状態では電圧も電流も0です。

$$U(\infty)=\frac{1}{2}C\cdot0^2+\frac{1}{2}L\cdot0^2=0$$
❷ 最終状態
CもLも空っぽ
コンデンサの電界エネルギーCvC二乗割る2、コイルの磁界エネルギーLi二乗割る2、抵抗の消費電力Ri二乗を分け、エネルギー収支からW=CV二乗割る2を導く図
理想C・Lはエネルギーを蓄え、RはRi²の電力で熱へ変換します。初期と十分後の全蓄積エネルギーの差が抵抗の総消費量です。

STEP3 差を取る

$$W=\int_0^{\infty}Ri^2\,dt=U(0)-U(\infty)=\frac{1}{2}CV^2\;[\mathrm{J}]$$
❸ エネルギー保存
積分を計算せずに値が確定する

単位の確認:\(\mathrm{F}\cdot\mathrm{V}^2=(\mathrm{C/V})\cdot\mathrm{V}^2=\mathrm{C}\cdot\mathrm{V}=\mathrm{J}\)。きちんとエネルギーの単位になっています。

答え\(W=\dfrac{1}{2}CV^2\;[\mathrm{J}]\) → 選択肢(5)
初期vC=Vとi=0、十分後vC=0とi=0から、抵抗の消費エネルギーW=CV二乗割る2ジュールと正答5を求め、単位も確認する問題解説図
U初=CV²/2、U終=0なので、W=U初−U終=CV²/2 J。正答は(5)です。V²/(2R)は電力の単位であり、エネルギーではありません。

選択肢を単位(次元)で振り分ける

文字式の選択肢は単位を見るだけで4つ落とせます。エネルギーの単位はJ(=V·C=V²·F)です。

選択肢単位を追うと判定
(1)½C²VF²·V — 静電容量の2乗にVを掛けてもJにならない×
(2)½LV²H·V² — Lに掛けるのは電流の2乗(Li²)×
(3)½L²VH²·V — 同じくJにならない×
(4)½·V²/RV²/Ω = W(電力)。時間を掛けないとJにならない×
(5)½CV²F·V² = C·V = J ○

特に(4)は要注意です。\(V^2/R\) は見慣れた形なので選びたくなりますが、これは電力(W=J/s)であって、エネルギー(J)ではありません。「1秒あたり」なのか「合計」なのかを問題文で確認する癖をつけましょう。

なぜ R や L の値が答えに入らないのか

Rが小さければ電流が大きく流れて速く減衰し、Rが大きければゆっくり減衰します。Lが大きければ振動しやすく、電圧が一度マイナス側に振れることもあります。途中経過は R と L で大きく変わるのに、答えには現れません。

理由は単純で、行き先が1か所しかないからです。最初にコンデンサが持っていた \(CV^2/2\) というエネルギーは、最終的に「Cに残る」「Lに残る」「Rで熱になる」のいずれかにしかなりません。最終状態でCもLも空なのだから、全部Rで熱になったと決まります。RとLはどういう経路でどれだけの時間をかけて熱に変わるかを決めるだけで、総量には関与しないのです。

なお、途中でコンデンサ電圧が0になる瞬間は(振動する条件なら)存在しますが、その瞬間はコイルに電流が流れていてエネルギーはLの中にあります。「電圧が0=エネルギーが0」ではない点に注意してください。問題文がわざわざ「十分に時間が経過して」「最終的に」と書いているのはこのためです。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 「十分に時間が経過したあとのエネルギー」と問われたらエネルギー保存。波形を追わない
② 蓄積は C は電圧の2乗・L は電流の2乗。½CV² と ½Li² を取り違えない
③ 文字式の選択肢は単位で振るい落とす。W(電力)とJ(エネルギー)の混同が定番の罠
④ 「初期はどこにエネルギーがあるか」「最終はどこに残るか」の2点だけ図に書き込めば式は1行

エネルギー保存を使う問題の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
令和7年度上期 A問題5本問(直流回路5)RLC回路でRが消費する総エネルギー
平成19年度 A問題7直流回路66RLC回路でRが消費するエネルギー(同型)
平成29年度 A問題6直流回路37定常状態のコイル・コンデンサの蓄積エネルギー総和
令和4年度上期 A問題6直流回路25直列充電したコンデンサを並列に繋ぎ直したときの電圧
平成20年度 A問題5直流回路61コンデンサの繋ぎ替えと電圧

💡 覚え方
C・Lは預かるだけ、Rだけが消費する。総消費エネルギー=初めの蓄積−終わりの蓄積。蓄積は \(\frac12CV^2\)(Cは電圧)と \(\frac12Li^2\)(Lは電流)。

⚠️ よくある間違い
\(V^2/(2R)\) は電力(W)でありエネルギー(J)ではありません。また「途中で電圧が0になる瞬間」と「十分時間後の最終状態」は別物で、前者ではコイルにエネルギーが残っています。\(\frac12LV^2\) のようにLに電圧の2乗を掛けないように。

まとめ

理想C電界エネルギーCvC2/2を蓄積
理想L磁界エネルギーLi2/2を蓄積
R瞬時電力Ri2で熱として消費
初期vC=V、i=0 → U(0)=CV2/2
十分後vC=0、i=0 → U(∞)=0
答えW=CV2/2 [J] …(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・コンデンサ・コイルのエネルギーの関連問題:【理論】平成19年度A問題7

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