今回は令和4年度上期 理論科目 A問題6を解説します。C1=4 μFとC2=2 μFを直列に接続して6 Vで充電し、電源から切り離した後、同じ極性の端子同士を並列接続したときの共通端子電圧V [V]を求めます。
直列充電では両コンデンサの電荷の大きさは等しく、それぞれ8 μCです。同極性で並列接続すると、共通正極ノードの電荷+16 μCと共通負極ノードの電荷-16 μCが保存されます。したがってV=正極側の保存電荷÷並列合成容量で求められます。
令和4年度上期 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式図では、図1の各コンデンサは左極板が正、右極板が負です。図2では正極同士と負極同士を接続し、電源は回路から外されています。出典:令和4年度上期第三種電気主任技術者試験 理論科目。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和4年度上期 A問題6
図1に示すように、静電容量C1=4μFとC2=2μFの二つのコンデンサが直列に接続され、直流電圧6Vで充電されている。次に電荷が蓄積されたこの二つのコンデンサを直流電源から切り離し、電荷を保持したまま同じ極性の端子同士を図2に示すように並列に接続する。並列に接続後のコンデンサの端子間電圧の大きさV〔V〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)2/3 (2)4/3 (3)8/3 (4)16/3 (5)32/3

出題のポイント:つなぎ替えても「孤立したノードの電荷」は変わらない
電源から切り離したあとのコンデンサ回路は、電荷保存則だけで決まります。ポイントは「どの範囲が外界から孤立しているか」を見極めることです。
直列充電では、C₁とC₂の電荷の大きさは同じ(8 μC)。ただし電圧は容量の逆比で分かれ、C₁(4 μF)は2 V、C₂(2 μF)は4 V——容量が小さいほうが高い電圧を負担します。合計すると6 Vで電源電圧に一致します。
つなぎ替えて同じ極性同士を並列にすると、正極板2枚が1つの孤立ノードにまとまります。そこにある電荷は \(8+8=16\;\mu\mathrm{C}\)。この16 μCは外へ逃げようがないので保存されます。ここから電圧を割り出すのが本問の骨格です。なお接続後も各コンデンサが8 μCのまま、ではありません——電荷は2つのコンデンサの間で再分配されます。

問題の解説:直列充電 → 電荷を合計 → 並列容量で割る
STEP1 直列充電時の電荷と電圧を求める
小さいほうの2 μFよりさらに小さい
C₁もC₂も8 μC
2+4=6 Vで電源電圧と一致 ✓
STEP2 並列につなぎ替えたあとの総電荷と合成容量
正極板同士・負極板同士をつなぐので、正極側の孤立ノードには8 μCが2つ集まります。
正極側ノードの合計。外へは逃げられない
容量は足し算

STEP3 共通の端子電圧を求める
総電荷÷合成容量
検算:接続後の電荷は \(C_1V=4\times8/3=32/3\;\mu\mathrm{C}\)、\(C_2V=2\times8/3=16/3\;\mu\mathrm{C}\)。合計すると \(48/3=16\;\mu\mathrm{C}\) で保存されています ✓。C₁は8→32/3(増加)、C₂は8→16/3(減少)——電荷がC₂からC₁へ移動したことが分かります。

選択肢を電荷保存則に戻して検算する
並列合成容量は6 μFで確定しているので、各選択肢の電圧から総電荷 \(Q=6V\) を計算し、16 μCになるかを確かめます。
| 選択肢 | V [V] | 総電荷 6V [μC] | 判定 |
| (1) | 2/3 ≈ 0.67 | 4 | ×(電荷が1/4しかない) |
| (2) | 4/3 ≈ 1.33 | 8 | ×(片方分だけ) |
| (3) | 8/3 ≈ 2.67 | 16 | ○ |
| (4) | 16/3 ≈ 5.33 | 32 | ×(2倍) |
| (5) | 32/3 ≈ 10.67 | 64 | ×(4倍) |
誤答の作られ方も見えます。(2) 4/3 Vは「電荷を8 μCのまま」と考えた場合(\(8/6\))、(4) 16/3 Vは「合成容量を直列の4/3 μFのまま」使った場合(\(16/(4/3)\))。つなぎ替えで「電荷は足す・容量は並列で計算し直す」という2点を押さえていれば防げます。
なぜエネルギーは減るのか — つなぎ替えの隠れた論点
電荷は保存されますが、エネルギーは保存されません。つなぎ替え前の静電エネルギーは$$U_{\text{前}}=\frac{1}{2}C_1V_1^2+\frac{1}{2}C_2V_2^2=\frac{1}{2}(4)(2^2)+\frac{1}{2}(2)(4^2)=8+16=24\;[\mu\mathrm{J}]$$つなぎ替え後は$$U_{\text{後}}=\frac{1}{2}C_pV^2=\frac{1}{2}(6)\left(\frac{8}{3}\right)^2=\frac{1}{2}\times6\times\frac{64}{9}=\frac{64}{3}\approx21.3\;[\mu\mathrm{J}]$$約2.7 μJ減っています。
消えたエネルギーはどこへ行ったのか——導線の抵抗で熱になり、一部は電磁波として放射されます。つなぎ替えた瞬間、電圧の違う2つのコンデンサの間に大きな過渡電流が流れるためです。理想的に抵抗0の導線を仮定しても、電磁放射という形で必ず失われることが知られています。
「電荷は保存、エネルギーは保存しない」——コンデンサのつなぎ替え問題では、この非対称性が本質です。エネルギー保存を使って解こうとすると必ず間違えるので注意してください。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電源から切り離したら電荷保存則。孤立したノードを見つけて電荷を合計する
② 直列は電荷が共通・並列は電圧が共通。容量は並列で足す
③ つなぎ替え後は V=(保存された総電荷)÷(新しい合成容量) の割り算1回
④ 検算は接続後の各電荷を足して総電荷に戻るか。エネルギー保存は使わない
コンデンサのつなぎ替えの出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和4年度上期 A問題6 | 本問(直流回路25) | 直列充電後に並列へつなぎ替えたときの電圧 |
| 平成20年度 A問題5 | 直流回路61 | コンデンサの繋ぎ替えと電圧(同型) |
| 平成26年度 A問題5 | 直流回路45 | 定常状態の浮遊節点の電位(電荷保存) |
| 平成28年度 A問題7 | 直流回路41 | 各素子が耐圧を超えない最大電圧 |
| 令和4年度下期 A問題6 | 直流回路22 | コンデンサの直列・並列回路の比較 |
💡 覚え方
切り離したら電荷保存。直列は電荷共通(8 μCずつ)→ 並列につなぐと合計16 μC → 並列容量6 μFで割って8/3 V。容量は並列で足し算。
⚠️ よくある間違い
つなぎ替え後も各8 μCのままではありません(再分配されます)。合成容量は並列の6 μFで、直列の4/3 μFではありません。エネルギーは保存しないので、エネルギー式から解こうとしないこと。
まとめ
| 直列合成容量 | Cs=4×2÷(4+2)=4/3 μF |
| 初期電荷 | Q1=Q2=(4/3)×6=8 μC |
| 初期電圧 | V1=2 V、V2=4 V |
| 保存電荷 | 共通正極ノード:8+8=16 μC |
| 並列合成容量 | Cp=4+2=6 μF |
| 共通電圧 | V=16÷6=8/3 V |
| 最終電荷 | Q1f=32/3 μC、Q2f=16/3 μC |
| 正答 | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・コンデンサの電荷保存の関連問題:【理論】令和6年度上期B問題17

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