直流回路27【電験3種 理論】直流安定化電源の定電流・定電圧モード切換で電流波形を求める!令和3年度 A問題6 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 令和3年度 A問題6 定電流から定電圧へ切り換わる瞬間!電流波形はどの形?

今回は令和3年度 理論科目 A問題6を解説します。電流上限100 A・電圧上限20 Vの直流安定化電源に、R1=R2=0.1 Ω、R3=0.8 Ωと二つのバイパススイッチを接続し、SW1とSW2を順に開いたときの電流I [A]の波形を求めます。

理想化した出力電流は、負荷抵抗をRLとするとI=min(100 A, 20 V÷RL)です。境界抵抗は20÷100=0.2 Ωで、RL≤0.2 Ωでは100 Aを維持し、RL>0.2 Ωでは電圧20 Vに制限されます。

目次

令和3年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題図を確認します。SW1はR2と、SW2はR3と並列のバイパススイッチです。閉じると抵抗を短絡し、開くと抵抗が回路へ挿入されます。出典:令和3年度第三種電気主任技術者試験 理論科目。

電験3種 理論科目 直流回路 令和3年度 A問題6 問題文
令和3年度 理論科目 A問題6 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和3年度 A問題6

 直流の出力電流又は出力電圧が常に一定の値になるように制御された電源を直流安定化電源と呼ぶ。直流安定化電源の出力電流や出力電圧にはそれぞれ上限値があり、一定電流(定電流モード)又は一定電圧(定電圧モード)で制御されている際に負荷の変化によってどちらかの上限値を超えると、定電流モードと定電圧モードとの間で切り替わる。

 図のように、直流安定化電源(上限値:100A、20V)、三つの抵抗(R1=R2=0.1Ω、R3=0.8Ω)、二つのスイッチ(SW1、SW2)で構成されている回路がある。両スイッチを閉じ、回路を流れる電流I=100Aの定電流モードを維持している状態において、時刻t=t1〔s〕でSW1を開き、時刻t=t2〔s〕でSW2を開くとき、I〔A〕の波形として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

時刻t₁でSW₁を開き、時刻t₂でSW₂を開くときの電流I〔A〕の波形として、正しいものを下図の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

図 直流安定化電源・R₁・R₂・R₃とスイッチSW₁・SW₂の回路(問題図)
図 直流安定化電源・R₁・R₂・R₃とスイッチSW₁・SW₂の回路(問題図)
電流I〔A〕の波形の選択肢(1)〜(5)(問題図)
電流I〔A〕の波形の選択肢(1)〜(5)(問題図)

出題のポイント:安定化電源は「電流上限」と「電圧上限」の低いほうで頭打ちになる

直流安定化電源には電流の上限電圧の上限の2つがあり、先に当たったほうで制限がかかります。本問なら100 Aと20 V。理想化すると出力電流は$$I=\min\left(100,\;\frac{20}{R_L}\right)$$と1本の式で書けます。負荷が軽い(抵抗が小さい)うちは電流上限の100 Aで頭打ち(定電流モード=CC)、負荷が重くなると電圧が20 Vで頭打ちになり電流が下がる(定電圧モード=CV)——この切り替わりを追う問題です。

切り替わりの境界となる抵抗は、100 Aと20 Vが同時に成立する点。$$R_{\text{境界}}=\frac{20\;\mathrm{V}}{100\;\mathrm{A}}=0.2\;[\Omega]$$0.2 Ω以下ならCC(100 A一定)、0.2 Ωを超えるとCV(I=20/RL。この0.2 Ωを最初に計算しておくのが攻略の鍵です。

そしてスイッチの読み方。SW₁はR₂と、SW₂はR₃と並列に入っています。閉じている間はその抵抗を短絡(=無効化)し、開くと抵抗が回路に現れます。「スイッチを開く=抵抗が増える」という向きに注意してください。

閉スイッチが抵抗を短絡し、SW1とSW2を順に開くと有効負荷が0.1オーム、0.2オーム、1.0オームへ増えることを示すGPT Image 2の出題ポイント図
両スイッチ閉ではR₁だけ、SW₁を開くとR₁+R₂、SW₂も開くとR₁+R₂+R₃が有効になります。

問題の解説:3つの区間で負荷抵抗と出力を追う

使う公式:安定化電源の出力とオームの法則
$$I=\min\left(I_{\max},\;\frac{V_{\max}}{R_L}\right),\qquad R_{\text{境界}}=\frac{V_{\max}}{I_{\max}}$$

※必要電圧 \(V_{\text{req}}=I_{\max}R_L\) を \(V_{\max}\) と比べる、と考えても同じです。\(V_{\text{req}}\le V_{\max}\) ならCC、超えたらCV。

STEP1 両スイッチ閉(t < t₁):負荷は R₁ のみ

SW₁がR₂を、SW₂がR₃を短絡しているので、有効な負荷はR₁だけです。

$$R_L=R_1=0.1\;[\Omega]$$
❶ 有効負荷
R₂・R₃は短絡されている
$$V_{\text{req}}=100\times0.1=10\;[\mathrm{V}]\le20\;[\mathrm{V}]$$
❷ 判定
電圧に余裕あり→CCモード
$$I=100\;[\mathrm{A}]$$
❸ 出力
電流上限で頭打ち

STEP2 t₁ でSW₁を開く:負荷は R₁+R₂

R₂が回路に現れて負荷が2倍になります。ここがちょうど境界です。

$$R_L=0.1+0.1=0.2\;[\Omega]$$
❹ 有効負荷
境界抵抗と一致
$$V_{\text{req}}=100\times0.2=20\;[\mathrm{V}]=V_{\max}$$
❺ 判定
ぎりぎり20 Vで足りる
$$I=100\;[\mathrm{A}]\;(\text{変化なし})$$
❻ 出力
t₁では電流は下がらない

ここが本問最大のひっかけです。「スイッチを開いたのだから電流が下がるはず」と考えると、t₁で段差ができる波形を選んでしまいます。しかし0.2 Ωはちょうど境界で、20 Vで100 Aを流しきれるので電流は100 Aのまま——t₁では何も起きません。

電流上限100アンペアと電圧上限20ボルトから境界抵抗0.2オームを求め、定電流領域と定電圧領域を示すGPT Image 2のポイント解説図
境界抵抗は20÷100=0.2 Ωです。0.2 Ω以下では100 A、0.2 Ωを超えると20 V÷負荷抵抗で電流が決まります。

STEP3 t₂ でSW₂を開く:負荷は R₁+R₂+R₃

$$R_L=0.1+0.1+0.8=1.0\;[\Omega]$$
❼ 有効負荷
R₃が0.8 Ωと大きい
$$V_{\text{req}}=100\times1.0=100\;[\mathrm{V}]>20\;[\mathrm{V}]$$
❽ 判定
電圧が足りない→CVモードへ
$$I=\frac{20}{1.0}=20\;[\mathrm{A}]$$
❾ 出力
20 Vで割った値まで低下
答えt₁では変化せず100 Aのまま、t₂で100 A→20 Aへ段差状に低下 → 選択肢(2)
t1では電流100アンペアを維持し、t2で20アンペアへ段差低下する電流波形と10ボルトから20ボルトへ変化する電圧波形を示すGPT Image 2の問題解説図
t₁は20 V・100 AのCC/CV境界なので電流は変化しません。t₂で定電圧20 Vとなり、電流は100 Aから20 Aへ段差状に低下します。正答は(2)です。

3つの区間をまとめて確認する

各区間の負荷抵抗・必要電圧・モード・出力を一覧にすると、波形の形がそのまま見えます。

区間スイッチ有効な負荷 RL [Ω]100 Aに必要な電圧 [V]モード出力電流 I [A]出力電圧 [V]
t < t₁両方閉0.1(R₁のみ)10CC(定電流)10010
t₁ 〜 t₂SW₁開0.2(R₁+R₂)20CC/CV境界10020
t₂ <両方開1.0(R₁+R₂+R₃)100CV(定電圧)2020

波形は「100 Aが2区間続いて、t₂で20 Aへ落ちる」という形。t₁に段差がないことが決め手になります。もし境界抵抗が0.2 Ωでなければt₁でも段差ができたはずで、出題者はわざわざR₁=R₂=0.1 Ωとして境界ちょうどになるよう設計しています

なぜCC/CVの切り替えが必要なのか

実験用の直流安定化電源には、必ず電圧設定つまみと電流制限(リミット)つまみが付いています。電流制限は回路を守るための保険です。もし配線を誤って負荷を短絡してしまったとき、電圧一定のまま制御し続ければ理論上は無限大の電流が流れ、電源も被試験回路も焼損します。

そこで電流が設定値に達したら自動的に電圧を下げて電流を一定に保つ——これがCCモードです。逆に負荷が軽ければ電流は上限に届かないので、設定電圧を保つCVモードで動きます。2つの上限の低いほうが働くという本問の設定は、実機の動作そのものです。

なお本問では回路を理想化しているため電流は段差状に変化しますが、実際の電源では制御回路の応答時間があるため、切り替わりには数十μs〜数msの過渡があります。試験では理想化して考えて構いません。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 安定化電源の問題は境界抵抗 \(R=V_{\max}/I_{\max}\) を最初に計算する(本問は0.2 Ω)
② スイッチは並列の抵抗を短絡する開く=抵抗が増える
③ 各区間で「100 Aを流すのに何V要るか」を計算し、上限電圧と比べるだけ
④ 波形選択は段差の位置と本数で選ぶ。本問はt₂の1か所だけ

直流電源・スイッチ切換の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
令和3年度 A問題6本問(直流回路27)安定化電源のCC/CV切換と電流波形
令和7年度上期 A問題7直流回路7スイッチで全電流が3倍になる抵抗R
令和5年度下期 A問題7直流回路16スイッチ切換の電流計指示から抵抗r
平成30年度 A問題5直流回路34抵抗器の許容電力から許容電流と最大電圧
平成26年度 A問題11過渡現象16スイッチ切換で電圧が反転する波形を選ぶ

💡 覚え方
境界抵抗 \(=V_{\max}/I_{\max}\)(本問0.2 Ω)を最初に出す。それ以下ならCCで100 A一定、超えたらCVで \(I=20/R_L\)。スイッチを開くと並列の抵抗が有効になる

⚠️ よくある間違い
t₁で電流が下がると思い込まないこと(0.2 Ωはちょうど境界なので100 Aのまま)。スイッチが閉じている間は抵抗が短絡されている点、R₃が0.8 Ωと大きく効く点も確認しましょう。

まとめ

区間負荷RL必要電圧実出力動作
t<t10.1 Ω10 V10 V・100 A定電流
t1≤t<t20.2 Ω20 V20 V・100 ACC/CV境界
t≥t21.0 Ω100 V20 V・20 A定電圧
正答t2で100 Aから20 Aへ段差低下:(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・直流電源・回路計算の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題6

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