今回は平成30年度 理論科目 A問題5を解説します。許容電力1/4 W・100 Ωの抵抗器Aと、許容電力1/8 W・200 Ωの抵抗器Bについて、直列接続で安全に流せる許容電流(ア)と、直列時と並列時の最大印加電圧の比(イ)を求めます。許容電力だけを比べるのではなく、抵抗値と組み合わせて各上限を計算することが要点です。
抵抗器の消費電力は$$P=I^2R=\frac{V^2}{R}$$です。したがって、許容電力を超えない電流は$$I_{\max}=\sqrt{\frac{P}{R}}$$、電圧は$$V_{\max}=\sqrt{PR}$$で求められます。直列は電流が共通、並列は電圧が共通という違いを先に整理すると、上限を決める抵抗器を取り違えません。
平成30年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問5)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題画像と選択肢は保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成30年度 A問題5
次の文章は、抵抗器の許容電力に関する記述である。許容電力¼W、抵抗値100Ωの抵抗器A、及び許容電力⅛W、抵抗値200Ωの抵抗器Bがある。抵抗器Aと抵抗器Bとを直列に接続したとき、この直列抵抗に流すことのできる許容電流の値は(ア)mAである。また、直列抵抗全体に加えることのできる電圧の最大値は、抵抗器Aと抵抗器Bとを並列に接続したときに加えることのできる電圧の最大値の(イ)倍である。
上記の記述中の空白箇所(ア)及び(イ)に当てはまる数値の組合せとして、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア)〔mA〕 (イ)〔倍〕 (1) 25.0 1.5 (2) 25.0 2.0 (3) 37.5 1.5 (4) 50.0 0.5 (5) 50.0 2.0
出題のポイント:許容電力は「電流の上限」にも「電圧の上限」にも翻訳できる
抵抗器のカタログに書かれているのは許容電力(定格電力)です。これは「この電力を超えると発熱で壊れる」という上限。ところが回路で直接扱うのは電流や電圧なので、許容電力を電流の上限・電圧の上限に翻訳する必要があります。
翻訳は \(P=I^2R=V^2/R\) を解くだけです。$$I_{\max}=\sqrt{\frac{P}{R}},\qquad V_{\max}=\sqrt{PR}$$注目したいのは、抵抗値Rが分母に来るか分子に来るかで逆になること。抵抗が大きいほど流せる電流は小さく、かけられる電圧は大きくなります。
そして直列は電流が共通・並列は電圧が共通。だから直列では許容電流の小さいほう、並列では許容電圧の小さいほうが全体の上限を決めます。どちらを見るかを間違えないことが本問の核心です。

問題の解説:2つの上限を別々に計算してから比べる
STEP1 A・Bそれぞれの上限を計算する
| 抵抗器 | 許容電力 [W] | 抵抗 [Ω] | 許容電流 √(P/R) | 許容電圧 √(PR) |
| A | 1/4 = 0.25 | 100 | 50 mA | 5 V |
| B | 1/8 = 0.125 | 200 | 25 mA | 5 V |
許容電圧はどちらも5 Vで同じ、許容電流はBがAの半分——この非対称が問題の仕掛けです。Bは許容電力が半分なのに抵抗が2倍なので、電流上限は \(\sqrt{(1/2)/2}=1/2\) 倍になります。
STEP2 直列接続の上限を求める(ア)
直列では同じ電流が両方を流れるので、先に限界に達するBの25 mAが全体の上限です。
(ア)の答え
合成抵抗300 Ωに25 mA
このときAの消費電力は \(0.025^2\times100=1/16\;\mathrm{W}\) で許容の1/4 Wに余裕があり、Bは \(0.025^2\times200=1/8\;\mathrm{W}\) でちょうど限界。Bだけが限界、Aは余力を残している状態です。

STEP3 並列接続の上限を求めて比を出す(イ)
並列では同じ電圧が両方に加わります。今回は許容電圧がどちらも5 Vなので、5 Vで2つ同時に限界に達します。
たまたま同じ値
(イ)の答え

選択肢がどの誤りに対応するか
5つの選択肢は、それぞれ典型的な取り違えの着地点になっています。
| 選択肢 | (ア)[mA] | (イ)[倍] | その組み合わせが出る考え方 | 判定 |
| (1) | 25.0 | 1.5 | 正解:Bの許容電流25 mA、7.5÷5=1.5 | ○ |
| (2) | 25.0 | 2.0 | (ア)は正しいが、比の計算を誤った | × |
| (3) | 37.5 | 1.5 | (イ)は正しいが、許容電流を平均などで求めた | × |
| (4) | 50.0 | 0.5 | Aの許容電流を採用(大きい方を選んでしまった)+比が逆 | × |
| (5) | 50.0 | 2.0 | Aの許容電流を採用+比の誤り | × |
(4)(5)が「50 mA」を採るのは、大きい方の許容電流を選んでしまった場合です。直列で50 mAを流すとBが \(0.05^2\times200=0.5\;\mathrm{W}\) となり、許容の1/8 Wを4倍も超えて壊れます。制限は必ず「厳しいほう」が決める——安全側に寄せる、という設計の基本感覚が問われています。
なぜ直列のほうが高い電圧をかけられるのか
直列で7.5 V、並列で5 V——直列のほうが1.5倍高い電圧に耐えられます。直感的にも、抵抗が2本直列なら電圧が分担されるので当然に思えます。
では電力の観点ではどうでしょうか。直列時の全消費電力は \(0.025\times7.5=0.1875\;\mathrm{W}\)。並列時は \(5^2/100+5^2/200=0.25+0.125=0.375\;\mathrm{W}\)。並列のほうが2倍も多くの電力を扱えます。
つまり直列は「高い電圧に耐える」、並列は「大きな電力を扱う」という役割分担です。並列では両方が同時に定格いっぱいまで働けるのに対し、直列ではAが余力を残したままBが先に限界に達する——直列は「一番弱い素子で決まる」ぶん効率が悪いのです。実務で抵抗器を組み合わせるとき、この違いは重要な設計判断になります。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 許容電力は\(I_{\max}=\sqrt{P/R}\)、\(V_{\max}=\sqrt{PR}\) の2通りに翻訳できる
② 直列は許容電流の小さい方、並列は許容電圧の小さい方が全体を縛る
③ 制限は必ず「厳しいほう」。大きい方を採ると素子が壊れる
④ 求めた上限で各素子の電力を計算し直して、許容値以内か確認する
許容電力・消費電力の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成30年度 A問題5 | 本問(直流回路34) | 許容電力から許容電流と最大電圧 |
| 令和7年度下期 A問題5 | 直流回路1 | 3つの抵抗の消費電力の大小 |
| 令和2年度 A問題6 | 直流回路30 | 直列抵抗と並列抵抗の消費電力の大小 |
| 平成26年度 A問題7 | 直流回路47 | R₁とR₃の消費電力の比 |
| 平成22年度 A問題5 | 直流回路57 | 消費電力から並列の未知抵抗R |
💡 覚え方
許容電力→\(I_{\max}=\sqrt{P/R}\)(直列で効く)・\(V_{\max}=\sqrt{PR}\)(並列で効く)。直列は電流の小さい方・並列は電圧の小さい方が上限。本問は25 mA・7.5 V/5 V で比1.5。
⚠️ よくある間違い
直列で大きい方の許容電流(50 mA)を採らないこと——Bが定格の4倍で壊れます(誤答(4)(5))。抵抗が大きいほど電流上限は小さく・電圧上限は大きくなる、という逆の関係も押さえましょう。
まとめ
| 確認項目 | 結果 |
| Aの許容電流・許容電圧 | 50 mA、5 V |
| Bの許容電流・許容電圧 | 25 mA、5 V |
| (ア)直列の許容電流 | 25.0 mA(Bが制限) |
| 25 mA時のA | 2.5 V、1/16 W |
| 25 mA時のB | 5.0 V、1/8 W(限界) |
| 直列最大電圧 | 2.5+5.0=7.5 V |
| 並列最大電圧 | 5 V(A、Bとも限界) |
| (イ)直列÷並列 | 7.5÷5=1.5倍 |
| 正答 | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・許容電力・消費電力の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題5

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