今回は平成22年度 理論科目 A問題5を解説します。90 V電源に30 Ωを直列接続し、その先で12 Ωと未知抵抗Rを並列接続した直流回路です。12 Ω抵抗の消費電力が27 WのときのR [Ω]を、電力、オームの法則、キルヒホッフの第1法則から求めます。
解法の軸は、12 Ωの電力から並列部電圧を決める → 30 Ωを流れる全電流を求める → 分岐後の電流差からR枝電流を求めるという順序です。18 V、2.4 A、1.5 A、0.9 Aがどの部分の量かを回路上で区別します。
平成22年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の平成22年度公式問題PDF(理論・問5、PDF 8ページ、冊子表示-5-、管理記号T1-R008)と公式解答PDFを照合して進めます。下の問題画像はサイト独自の科目見出しを加え、公式のページ番号と管理記号を省いていますが、問題文、回路、数値、単位、五つの選択肢は公式内容と一致するため保持しています。

電験3種 理論科目 【直並列回路・消費電力】 平成22年度 A問題5
図の直流回路において、12〔Ω〕の抵抗の消費電力が27〔W〕である。このとき、抵抗R〔Ω〕の値として、正しいのは次のうちどれか。
(1)4.5 (2)7.5 (3)8.6 (4)12 (5)20〔Ω〕

出題のポイント:与えられた27 Wは「12 Ωだけ」の電力
この問題は電力から出発するタイプです。電力が分かっていて抵抗値も分かっているなら、\(P=V^2/R\) を逆に解いて電圧が求まります。$$V=\sqrt{PR}=\sqrt{27\times12}=\sqrt{324}=18\;[\mathrm{V}]$$きれいな数字になるよう作られているので、324という平方数が出た時点で「順調」と分かります。
重要なのは27 Wが12 Ωだけの消費電力だということ。並列部全体の電力ではありません。そして求めた18 Vは並列部に共通の電圧——12 ΩにもRにも同じ18 Vが加わります。
あとは電圧 → 電流 → 引き算 → 抵抗とたどるだけ。30 Ωは分岐の外側にあるので全電流が流れる、という点も押さえておきましょう。

問題の解説:電力から電圧、そして電流へ
STEP1 27 Wから並列部の電圧を求める
12 ΩにもRにも共通の電圧
STEP2 全電流と12 Ω枝の電流を求める
電源90 Vのうち18 Vが並列部にかかるので、残りが30 Ωの電圧降下です。30 Ωには全電流が流れます。
電源から並列部の分を引く
30 Ωは分岐の外側
電圧÷抵抗

STEP3 引き算でR枝の電流を出し、Rを求める
全電流から既知枝を引く
合成抵抗での検算:\(12\parallel20=240/32=7.5\;\Omega\)、全体は \(30+7.5=37.5\;\Omega\)。電源電流は \(90/37.5=2.4\;\mathrm{A}\) で一致します ✓
電力収支での検算:電源は \(90\times2.4=216\;\mathrm{W}\)。内訳は30 Ωが \(2.4^2\times30=172.8\;\mathrm{W}\)、12 Ωが27 W、20 Ωが \(0.9^2\times20=16.2\;\mathrm{W}\)。合計216 Wでぴったり ✓

選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢のRについて回路全体を組み立て直し、12 Ωの消費電力が27 Wになるかを確かめます。
| 選択肢 | R [Ω] | 12∥R [Ω] | 全体 [Ω] | 全電流 [A] | 並列部電圧 [V] | 12 Ωの電力 [W] | 判定 |
| (1) | 4.5 | 3.27 | 33.27 | 2.705 | 8.85 | 6.53 | × |
| (2) | 7.5 | 4.62 | 34.62 | 2.600 | 12.00 | 12.00 | × |
| (3) | 8.6 | 5.01 | 35.01 | 2.571 | 12.88 | 13.82 | × |
| (4) | 12 | 6.00 | 36.00 | 2.500 | 15.00 | 18.75 | × |
| (5) | 20 | 7.50 | 37.50 | 2.400 | 18.00 | 27.00 | ○ |
Rを大きくするほど12 Ωの電力が増えるのは、並列部の抵抗が上がって並列部にかかる電圧が高くなるからです。単調に増加しているので、27 Wに届くのは最大の(5)——表の下から確認すれば1回の計算で済みます。
なお(2) 7.5 Ωは並列合成抵抗の値そのものです。「7.5 Ω」を答えたくなる誤りが仕込まれていますが、それは12 ΩとRを合成した結果であって、R自体ではありません。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電力が与えられたら\(V=\sqrt{PR}\) で電圧に翻訳する。ここが突破口
② √324=18 のようにきれいな数になるよう作られている。ならなければ計算ミスを疑う
③ 分岐の外側にある抵抗には全電流が流れる(本問の30 Ω)
④ 検算は合成抵抗から電源電流+電力収支の2通り
電力から逆算する問題の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成22年度 A問題5 | 本問(直流回路57) | 消費電力から並列の未知抵抗R |
| 令和5年度下期 A問題5 | 直流回路14 | 電流計の指示からRの消費電力 |
| 平成26年度 A問題6 | 直流回路46 | 電流比の条件から並列抵抗R₂ |
| 平成30年度 A問題5 | 直流回路34 | 許容電力から許容電流と最大電圧 |
| 平成26年度 A問題7 | 直流回路47 | R₁とR₃の消費電力の比 |
💡 覚え方
電力→電圧(\(V=\sqrt{PR}\))→全電流→引き算で未知枝→R。27×12=324=18² ときれいに出る。30 Ωには全電流が流れる。
⚠️ よくある間違い
27 Wは12 Ωだけの電力で並列部全体ではありません。18 Vは並列部の電圧で30 Ωの電圧ではありません。2.4 Aは分岐前の全電流です。7.5 Ω(誤答(2))は並列合成抵抗であってRではありません。
まとめ
| 回路構成 | 30 Ω+(12 ΩとRの並列) |
| 並列部電圧 | Vp=√(27×12)=18 V |
| 分岐前の全電流 | I=(90-18)/30=2.4 A |
| 12 Ω枝電流 | I12=18/12=1.5 A |
| R枝電流 | IR=2.4-1.5=0.9 A |
| 正答 | R=18/0.9=20 Ω、(5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・消費電力・分流の関連問題:【理論】令和5年度下期A問題5

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