今回は平成26年度 理論科目 A問題7を解説します。2 V電源にR₁=5 Ωと「R₂=10 Ω、R₃=15 Ωの並列部」を接続した回路で、R₁の消費電力P₁がR₃の消費電力P₃の何倍かを求めます。
R₂∥R₃=6 Ωより並列部電圧をVₚ=I×6 Ωと表します。R₁とR₃の電力を同じ全電流Iで表せばI²が約分され、電源電圧を代入しなくても厳密な倍率25/12を求められます。
平成26年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論・問7)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題画像は公式内容を再構成した既存画像として保持していますが、電源ラベルの数字「2」が欠けて「V」と見えます。公式問題図の電源電圧は2 Vであり、以下の検算も公式値に基づきます。

電験3種 理論科目 【直流回路・消費電力】 平成26年度 A問題7
図に示す直流回路において、抵抗R₁=5Ωで消費される電力は抵抗R₃=15Ωで消費される電力の何倍となるか。その倍率として、最も近い値を次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
倍率:(1)0.9 (2)1.2 (3)1.5 (4)1.8 (5)2.1

出題のポイント:電力の公式は「その抵抗について何が分かっているか」で選ぶ
\(P=I^2R\) と \(P=V^2/R\) は、直列用・並列用という専用公式ではありません。どちらもすべての抵抗に使えます。選ぶ基準は「その抵抗について、電流と電圧のどちらが手元にあるか」だけです。
本問では、R₁には全電流Iがそのまま流れるので \(P_1=I^2R_1\) が便利。一方R₃は並列部にあるので並列部の電圧Vpが分かっており、\(P_3=V_p^2/R_3\) が便利です。そしてVp自体も \(V_p=I\times(R_2\parallel R_3)\) とIで書けるので、最終的に両方の電力がI²の定数倍になり、比を取ればI²が約分されて消えます。
この構造のおかげで、電源電圧を一切使わずに倍率が求まります。倍率は抵抗値の組み合わせだけで決まるからです。

問題の解説:両方の電力を I² で表して比を取る
STEP1 並列部をまとめて、その電圧をIで表す
10 Ωと15 Ωで6 Ω
全電流×並列合成抵抗
STEP2 P₁とP₃をそれぞれ表す
R₁は電流が分かるので \(I^2R\)、R₃は電圧が分かるので \(V^2/R\) を使います。
全電流Iがそのまま流れる
並列部の電圧6Iを使う

STEP3 比を取ってI²を消す
電源電圧を使わずに倍率が出る
実数値での検算:電源2 V、全抵抗 \(5+6=11\;\Omega\) なので \(I=2/11\approx0.1818\;\mathrm{A}\)。並列部の電圧は \(6I\approx1.0909\;\mathrm{V}\)、R₃の電流は \(1.0909/15\approx0.0727\;\mathrm{A}\)。したがって \(P_1\approx0.16529\;\mathrm{W}\)、\(P_3\approx0.07934\;\mathrm{W}\)、比は \(2.0833\)——文字式で求めた \(25/12\) と完全に一致します。

選択肢との距離を確かめる
厳密値は \(25/12=2.0833\ldots\)。選択肢は0.3刻みで並んでいるので、どれが「最も近い」かは明白です。
| 選択肢 | 倍率 | 厳密値 2.0833 との差 | 判定 |
| (1) | 0.9 | 1.183 | × |
| (2) | 1.2 | 0.883 | × |
| (3) | 1.5 | 0.583 | × |
| (4) | 1.8 | 0.283 | × |
| (5) | 2.1 | 0.017 | ○ |
差が桁違いに小さいので迷う余地はありません。「最も近いもの」と書かれている問題は、厳密値を出してから選択肢と照合するのが確実です。途中で丸めると、隣の選択肢と紛らわしくなることがあります。
よくある誤り:全電流をR₃にも使ってしまう
最も多い間違いが \(P_3=I^2R_3=15I^2\) と計算してしまうことです。これだと \(P_1/P_3=5/15=1/3\) となり、R₁のほうが小さいという逆の結論になってしまいます。
R₃には全電流Iは流れません。実際の枝電流は \(I_3=V_p/R_3=6I/15=0.4I\) で、全電流の4割だけです。電力は電流の2乗に比例するので \(0.4^2=0.16\) 倍、これに抵抗15を掛けて \(15\times0.16=2.4=12/5\)——たしかにさきほどの結果と一致します。
公式を選ぶ前に「この抵抗に流れる電流/かかる電圧は本当にそれか」を確認する。並列部を含む回路では、この一手間が答えを分けます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① \(I^2R\) と \(V^2/R\) は専用公式ではない。手元にある量で選ぶだけ
② 電力の比を聞かれたら、全部を同じ文字(本問はI)で表せば約分で消える。電源電圧は不要
③ 並列部の抵抗には全電流は流れない。分流後の電流を使うか、電圧基準の式に切り替える
④ 「最も近いもの」は厳密値を出してから照合。途中で丸めない
消費電力の比較の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成26年度 A問題7 | 本問(直流回路47) | R₁とR₃の消費電力の比 |
| 令和2年度 A問題6 | 直流回路30 | 直列抵抗と並列抵抗の消費電力の大小 |
| 令和7年度下期 A問題5 | 直流回路1 | 3つの抵抗の消費電力の大小 |
| 令和5年度下期 A問題5 | 直流回路14 | 電流計の指示からRの消費電力 |
| 平成30年度 A問題5 | 直流回路34 | 許容電力から許容電流と最大電圧 |
💡 覚え方
R₁は電流基準 \(I^2R\)、並列部は電圧基準 \(V_p^2/R\)。両方をIで表せば比を取ったとき \(I^2\) が消え、電源電圧なしで倍率が出る。本問は 5 対 12/5 で 25/12≒2.08。
⚠️ よくある間違い
R₃に全電流Iを使わないこと(実際は0.4I)。誤って \(15I^2\) とすると比が1/3になり大小が逆転します。「最も近い」問題は厳密値2.0833を出してから選択肢を選びましょう。
まとめ
| 並列合成・電圧 | R2∥R3=6 Ω、Vp=I×6 Ω |
| P1 | 5I2 |
| P3 | (12/5)I2=2.4I2 |
| 厳密比 | P1/P3=25/12=2.0833… |
| 正答 | 最も近い2.1倍、(5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・消費電力の比の関連問題:【理論】令和2年度A問題6

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