今回は平成25年度 理論科目 A問題5を解説します。既知抵抗Rと未知抵抗Rxの並列回路に直流電圧Vを加え、回路へ入る全電流Iを測ったときのRxを表す式を、枝電流・コンダクタンス・単位・数値検算の四方向から確認します。
並列では抵抗値をそのまま足すのではなく、枝電流またはコンダクタンスを足します。節点の電流則I=V/R+V/Rxから未知枝の電流を分離すると、Rx=VR/(IR-V)を迷わず導けます。
平成25年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論・問5、PDF 8ページ、冊子表示-5-)と公式解答PDFを照合しながら進めます。下の問題文画像と回路図は公式内容と一致しているため、そのまま保持しています。

電験3種 理論科目 【直流回路・並列抵抗】 平成25年度 A問題5
図のように、抵抗R〔Ω〕と抵抗Rx〔Ω〕を並列に接続した回路がある。この回路に直流電圧V〔V〕を加えたところ、電流I〔A〕が流れた。Rx〔Ω〕の値を表す式として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)V/I+R (2)V/I−R (3)R/((IR/V)−V) (4)V/(I/(V−R)) (5)VR/(IR−V)
公式の積み上げ分数では、(3)はRを「IR/V-V」で割る式、(4)はVを「I/(V-R)」で割る式です。(3)は無次元量とV、(4)はVとΩを引いており、次元の時点でも候補から外せます。

出題のポイント:並列では「抵抗」ではなく「電流」を足す
並列回路でいちばん多い誤解が、抵抗をそのまま足してしまうことです。並列でつながった2本の枝は両端の電圧が共通で、足し算になるのは電流のほうです。電源から入ってきた全電流Iが分岐点で2つに分かれるので、$$I=I_R+I_x$$これが出発点になります。抵抗を足すという発想は、電流が同じ値で順に流れる直列のときのものです。
もうひとつの落とし穴がIの位置です。図のIは並列回路に入っていく全電流であって、どちらか一方の枝電流ではありません。この問題は「全電流から既知枝の電流を引けば未知枝の電流が出る」という引き算1回で解けるので、Iの意味さえ間違えなければ怖くありません。

問題の解説:全電流 →(引き算)→ 未知枝の電流 → オームの法則
STEP1 全電流を2つの枝電流に分ける
両方の枝に同じ電圧Vが加わっているので、それぞれの枝電流はオームの法則でそのまま書けます。
電圧Vは両枝に共通
STEP2 未知枝の電流を引き算で取り出す
既知のRの枝には \(V/R\) が流れることが分かっているので、全電流から引くだけです。
通分して1つの分数にまとめる

STEP3 未知枝にオームの法則を適用する
電圧÷電流
分母の分母を分子へ
コンダクタンスで解いても同じです。\(1/R_x=I/V-1/R=(IR-V)/(VR)\) の逆数を取れば、やはり \(R_x=VR/(IR-V)\)。どちらの道を通っても同じ式に着くことが確認できます。

選択肢に具体的な数値を入れて検算する
文字式の問題は自分で数値を決めて代入するのが最も確実な検算です。R=100 Ω、Rx=200 Ω、V=12 Vとすると、全電流は \(12/100+12/200=0.18\;\mathrm{A}\)。この (R, V, I) を各選択肢に入れて、元の200 Ωが戻ってくるかを見ます。
| 選択肢 | 式 | R=100, V=12, I=0.18 を代入 | 判定 |
| (1) | V/I + R | 166.7 Ω | × |
| (2) | V/I − R | −33.3 Ω(負の抵抗) | × |
| (3) | R/((IR/V) − V) | −9.5 Ω(負の抵抗) | × |
| (4) | V/(I/(V − R)) | −5867 Ω(負の抵抗) | × |
| (5) | VR/(IR − V) | 200.0 Ω | ○ |
さらに単位(次元)だけでも3つ落とせます。(1)と(2)は V/I(=Ω)とRを足し引きしているので単位は合いますが、(3)の分母 \(IR/V-V\) は「無次元−V」、(4)の分母 \(V-R\) は「V−Ω」と、単位の違うものを引いているため式として成立しません。正解の(5)は分子がV·Ω、分母が \(IR-V\)=V−V=V なので、全体がΩになり整合します。
結果を吟味する:この式が成り立つ条件
得られた \(R_x=VR/(IR-V)\) をよく見ると、分母が \(IR-V\) です。抵抗が正の有限値であるためには IR > V でなければなりません。これは物理的にも自然で、\(I>V/R\)、つまり全電流が既知枝だけの電流より大きいということ——Rxの枝にも電流が流れているのだから当然です。
極限を見るとさらに納得できます。\(IR\to V\)(全電流が既知枝の電流に近づく)と分母が0に近づき \(R_x\to\infty\)、つまり枝が開放。逆に \(I\to\infty\) なら \(R_x\to0\) で短絡。式が回路の振る舞いをきちんと表しているかを端っこで確かめる——この習慣は文字式問題の強力な武器になります。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 文字式の選択肢はまず単位を見る。「V−Ω」のように違う単位を足し引きしている式は即座に消せる
② 次に具体的な数値を代入。R=100, Rx=200 のようにキリのよい値を自分で決めてよい
③ 並列は電流かコンダクタンスを足す。抵抗をそのまま足さない
④ 求めた式は極限(0や∞)で吟味すると、符号や逆数の取り違えに気づける
並列回路・文字式の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成25年度 A問題5 | 本問(直流回路49) | 並列回路から未知抵抗Rxの式 |
| 平成18年度 A問題6 | 直流回路68 | 分流の法則から未知抵抗R₁の式 |
| 令和6年度下期 A問題7 | 直流回路9 | 合成抵抗が1.8Rになる Rx |
| 平成26年度 A問題6 | 直流回路46 | 電流比の条件から並列抵抗R₂ |
| 平成22年度 A問題5 | 直流回路57 | 消費電力から並列の未知抵抗R |
💡 覚え方
並列は電流を足す。全電流 −(既知枝の電流)= 未知枝の電流、あとは \(R_x=V/I_x\) で終わり。文字式は単位と数値代入で必ず検算する。
⚠️ よくある間違い
Iは全電流であって枝電流ではありません。並列で抵抗を足さないこと(足すのは電流かコンダクタンス)。答えの分母 \(IR-V\) の順序を逆にすると負の抵抗になってしまうので、\(IR>V\) を確認しましょう。
まとめ
| 枝電流 | IR=V/R、Ix=I-V/R |
| 電流則 | I=V/R+V/Rx |
| 未知抵抗 | Rx=VR/(IR-V) |
| 成立条件 | 有限の正抵抗ではIR>V、IR=Vなら開放 |
| 正答 | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・並列抵抗・合成の関連問題:【理論】令和6年度下期A問題7

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