今回は平成18年度 理論科目 A問題6を解説します。既知の直流電源E、既知の抵抗R2・R3、R3を流れる既知の枝電流I3から、未知抵抗R1を表す式を選ぶ問題です。
R1は分岐前、R2とR3は並列です。まずR3の電圧R3I3からR2枝の電流を求め、分岐点で全電流を復元します。その後、回路全体のオームの法則からR1を分離します。
平成18年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
与えられたI₃がどの抵抗を流れる電流かを確認しながら読みましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題6
電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成18年度 A問題6
図のように、既知の直流電源E〔V〕、未知の抵抗R1〔Ω〕、既知の抵抗R2〔Ω〕及びR3〔Ω〕からなる直流回路がある。抵抗R3〔Ω〕に流れる電流がI3〔A〕であるとき、抵抗R1〔Ω〕を求める式として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
下記でP=R2R3/(R2+R3)とする。
(1)P{E/(R2I3)−R2/R3} (2)P{E/(R2I3)−R3/R2} (3)P{E/(R2I3)−1}
(4)P{E/(R3I3)−R3/R2} (5)P{E/(R3I3)−1}
出題のポイント:与えられたのは枝電流。まず全電流に戻す
この問題で最初にやることは、I₃が何の電流かを確認することです。I₃はR₃枝だけの電流で、R₁を流れる全電流ではありません。R₁は分岐より手前にあるので、そこには \(I_1=I_2+I_3\) が流れます。
では、どうやってI₃から全電流に戻すのか。鍵は並列部の電圧が共通であることです。R₃の電圧 \(R_3I_3\) がそのままR₂にも加わるので、$$I_2=\frac{R_3I_3}{R_2}\;\Rightarrow\;I_1=I_2+I_3=I_3\cdot\frac{R_2+R_3}{R_2}$$「枝電流 → 並列部の電圧 → もう一方の枝電流 → 足して全電流」——この4手が定型です。

問題の解説:全電流に戻してからR₁を分離する
STEP1 I₃から全電流I₁を復元する
R₃の電圧=R₂の電圧
全電流が復元できた
STEP2 回路全体からR₁を分離する
全抵抗から並列部を引く

STEP3 選択肢の形に整える
選択肢はすべて \(P\{\cdots\}\) の形なので、Pをくくり出せる形に変形します。
共通因子を前へ
選択肢の形に一致
単位の確認:\(R_3I_3\) は \(\Omega\cdot\mathrm{A}=\mathrm{V}\) なので \(E/(R_3I_3)\) は無次元。それに \(\Omega\) の次元を持つPを掛けるので、全体は \(\Omega\) ——きちんと抵抗の単位になります。


選択肢に数値を代入して検算する
文字式は自分で数値を決めて代入するのが最も確実です。\(E=24\;\mathrm{V}\)、\(R_2=6\;\Omega\)、\(R_3=3\;\Omega\)、\(I_3=2\;\mathrm{A}\) として実際の回路を組み立てると、\(P=2\;\Omega\)、\(I_1=3\;\mathrm{A}\)、したがって真のR₁は \(24/3-2=6\;\Omega\) です。この値と各選択肢を照合します。
| 選択肢 | 式 | E=24, R₂=6, R₃=3, I₃=2 での値 [Ω] | 判定 |
| (1) | P{E/(R₂I₃) − R₂/R₃} | 0.00 | × |
| (2) | P{E/(R₂I₃) − R₃/R₂} | 3.00 | × |
| (3) | P{E/(R₂I₃) − 1} | 2.00 | × |
| (4) | P{E/(R₃I₃) − R₃/R₂} | 7.00 | × |
| (5) | P{E/(R₃I₃) − 1} | 6.00 | ○ |
数値例が正しいことの確認:R₁=6 Ωなら全抵抗は \(6+2=8\;\Omega\)、全電流は \(24/8=3\;\mathrm{A}\)。並列部の電圧は \(3\times2=6\;\mathrm{V}\) で、R₃枝は \(6/3=2\;\mathrm{A}\) ——問題の条件I₃=2 Aと一致します ✓ R₂枝は \(6/6=1\;\mathrm{A}\) で、\(1+2=3\;\mathrm{A}\) と電流則も成立します。
誤答の正体も見えます。(1)〜(3)は分母が \(R_2I_3\)——つまり並列部の電圧をR₂側で計算してしまったものです。I₃が流れているのはR₃なので、電圧は \(R_3I_3\) が正解。「与えられた電流と、その電流が流れる抵抗をセットで使う」という基本を外すとこの罠にかかります。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 与えられた電流が全電流か枝電流かを最初に確認する
② 枝電流からは 「その枝の電圧 → 相手の枝の電流 → 足して全電流」 の4手で復元
③ 文字式は単位で振るう。\(E/(R_3I_3)\) が無次元、Pが Ω——形が合うか見る
④ 最後はキリのよい数値を代入して照合。E=24, R₂=6, R₃=3 のように割り切れる値を選ぶ
分流・文字式の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成18年度 A問題6 | 本問(直流回路68) | 枝電流から未知抵抗R₁の式 |
| 平成25年度 A問題5 | 直流回路49 | 並列回路から未知抵抗Rxの式 |
| 平成26年度 A問題6 | 直流回路46 | 電流比の条件から並列抵抗R₂ |
| 平成24年度 A問題6 | 直流回路53 | 直並列回路でI₁からI₄を求める |
| 令和7年度下期 A問題7 | 直流回路3 | 2条件で枝電流が等しくなるRx |
💡 覚え方
枝電流I₃から「\(R_3I_3\)=並列部の電圧 → \(I_2=R_3I_3/R_2\) → \(I_1=I_2+I_3\)」で全電流に戻す。あとは \(R_1=E/I_1-P\) を整理するだけ。
⚠️ よくある間違い
I₃をR₁の電流と見なさないこと。並列部の電圧は \(R_3I_3\) であって \(R_2I_3\) ではありません(誤答(1)〜(3)がこの罠)。与えられた電流と、それが流れる抵抗をセットで使うのが鉄則です。
まとめ
| 並列部電圧 | Vp=R3I3 |
| 全電流 | I1=I3(R2+R3)/R2 |
| 並列合成 | P=R2R3/(R2+R3) |
| 未知抵抗 | R1=P{E/(R3I3)−1} |
| 平成18年度の答え | (5) |
平成18年度の公式問題・標準解答PDFは現在の試験センター公開範囲外です。問題文・回路・選択肢と導出は、当時問題を収録した二次資料PDF(2006年 理論 問6)を目視照合し、さらに分流法・キルヒホッフ法・数値代入で独立検算しました。
▼あわせて解きたい関連問題
・分流・合成抵抗の関連問題:【理論】平成24年度A問題6

コメント