直流回路66【電験3種 理論】RLC回路でコンデンサ放電時に抵抗が消費するエネルギーは?平成19年度 A問題7 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 平成19年度 A問題7 放電で失われるエネルギー!抵抗が消費する熱は何J?

今回は平成19年度 理論科目 A問題7を解説します。電圧Vに充電されたコンデンサCを、スイッチSで抵抗R・コイルLと直列接続し、十分時間が経過した後までに抵抗Rで消費される電気エネルギーを求めます。同じ問題が令和7年度上期A問題5にも再出題されていますが、選択肢の並びは異なります。

ポイントは、コンデンサとコイルに蓄えられるエネルギーの合計を追うことです。理想C・L・Sはエネルギーを消費せず、抵抗RだけがRi2の電力で熱へ変換します。R>0で完全に減衰するなら、初期と最終の蓄積エネルギーの差が抵抗の総消費エネルギーです。

目次

平成19年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢

スイッチを閉じる前と、十分に時間が経ったあとの状態に注目して読みましょう。

電験3種 理論科目 直流回路 平成19年度 A問題7 問題文
平成19年度 理論科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題7

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成19年度 A問題7

 図に示すRLC回路において、静電容量C〔F〕のコンデンサが電圧V〔V〕に充電されている。この状態でスイッチSを閉じて、それから時間が十分に経過してコンデンサの端子電圧が最終的に零となった。この間に抵抗R〔Ω〕で消費された電気エネルギー〔J〕を表す式として、正しいのは次のうちどれか。

(1)½C2V (2)½CV2 (3)½・V2/R (4)½L2V (5)½LV2

図 充電されたコンデンサC・スイッチS・抵抗R・コイルLの直列回路(問題図)
図 充電されたコンデンサC・スイッチS・抵抗R・コイルLの直列回路(問題図)

出題のポイント:微分方程式を解かず「エネルギー保存」で片づける

RLC回路と聞くと、振動するのか単調に減衰するのか場合分けが必要そうですが、この問題は途中の波形を一切求める必要がありません。問われているのは「最終的に抵抗で消費されたエネルギー」だからです。

理想素子の役割分担を思い出してください。コンデンサとコイルはエネルギーを一時的に預かるだけ(Cは電界に、Lは磁界に)。熱に変えて不可逆に捨てるのは抵抗Rだけです。式で書けば全蓄積エネルギー \(U=\frac12Cv_C^2+\frac12Li^2\) について$$\frac{dU}{dt}=-Ri^2\quad\Longrightarrow\quad W_R=\int_0^{\infty}Ri^2\,dt=U(0)-U(\infty)$$引き算1回で答えが出ます。

初期開放のスイッチS、抵抗R、コイルL、電圧Vに充電されたコンデンサCからなる1ループ直列RLC放電回路と、初期・過渡・十分時間後の状態を示す出題のポイント図
初期条件はv_C=V、i=0です。R>0なら十分時間後にv_C→0、i→0となります。この画像では抵抗の総消費エネルギーや正解を示していません。

問題の解説:初めの蓄積 − 終わりの蓄積

使う公式:C・Lが蓄えるエネルギー
$$U_C=\frac{1}{2}Cv_C^{\,2},\qquad U_L=\frac{1}{2}Li^{\,2}$$

※どちらも「½×(素子の値)×(その素子を特徴づける量)²」。Cは電圧の2乗、Lは電流の2乗という対応を押さえておくと混同しません。

STEP1 スイッチを閉じる直前の蓄積エネルギー

コンデンサは電圧Vに充電済み、回路はまだ開いているので電流は0です。コンデンサ電圧もコイル電流も瞬時には変化できないので、閉じた直後もこの状態が保たれます。

$$U(0)=\frac{1}{2}CV^2+\frac{1}{2}L\cdot0^2=\frac{1}{2}CV^2$$
❶ 初期状態
Cだけがエネルギーを持つ

STEP2 十分に時間が経ったあとの蓄積エネルギー

問題文は「時間が十分に経過してコンデンサの端子電圧が最終的に零となった」と書いています。\(R>0\) があるかぎり振動しても必ず減衰しきるので、最終状態では電圧も電流も0です。

$$U(\infty)=\frac{1}{2}C\cdot0^2+\frac{1}{2}L\cdot0^2=0$$
❷ 最終状態
CもLも空になる
コンデンサのエネルギー1/2CvC二乗、コイルのエネルギー1/2Li二乗、抵抗電力Ri二乗からdU/dt=-Ri二乗と抵抗の総消費エネルギー積分を示すポイント解説図
全蓄積エネルギーU=½Cv_C²+½Li²は、dU/dt=−Ri²の割合で抵抗の熱へ移ります。したがってW_R=U(0)−U(∞)です。

STEP3 差を取る

$$W_R=U(0)-U(\infty)=\frac{1}{2}CV^2\;[\mathrm{J}]$$
❸ エネルギー保存
積分を計算せずに確定

単位の確認:\(\mathrm{F}\cdot\mathrm{V}^2=(\mathrm{C/V})\cdot\mathrm{V}^2=\mathrm{C}\cdot\mathrm{V}=\mathrm{J}\)。きちんとエネルギーの単位になります。

答え\(W_R=\dfrac{1}{2}CV^2\;[\mathrm{J}]\) → 平成19年度では選択肢(2)
初期エネルギー1/2CV二乗、十分時間後のエネルギー0、抵抗の総消費エネルギー1/2CV二乗を導き、平成19年度の正解2と令和7年度上期の正解5を区別する詳細解説図
R>0なら、初期の½CV²が最終的にすべて抵抗の熱になります。平成19年度は(2)、令和7年度上期の再出題は(5)です。
1/2CV二乗の単位がジュールであること、RとLは過渡波形と減衰時間に影響すること、R=0の理想LC回路では収束しないことを示す問題の詳細解説図
F·V²=Jで単位も一致します。RとLは波形と減衰時間を変えますが、R>0で完全放電した後の総消費エネルギーは½CV²です。

選択肢を単位(次元)で振り分ける

文字式の選択肢は単位を見るだけで4つ落とせます。エネルギーの単位はJ(=V·C=V²·F)です。

選択肢単位を追うと判定
(1)½C²VF²·V — 容量の2乗にVを掛けてもJにならない×
(2)½CV²F·V² = C·V = J ○
(3)½V²/RV²/Ω = W(電力)。時間を掛けないとJにならない×
(4)½L²VH²·V — Jにならない×
(5)½LV²H·V² — Lに掛けるのは電流の2乗(Li²)×

特に(3)は要注意です。\(V^2/R\) は見慣れた形なので選びたくなりますが、これは電力(W=J/s)であってエネルギー(J)ではありません。「1秒あたり」なのか「合計」なのかを問題文で確認する癖をつけましょう。

なぜ R や L の値が答えに入らないのか

Rが小さければ電流が大きく流れて速く減衰し、Rが大きければゆっくり減衰します。Lが大きければ振動しやすく、電圧が一度マイナス側に振れることもあります。途中経過はRとLで大きく変わるのに、答えには現れません。

理由は単純で、行き先が1か所しかないからです。最初にコンデンサが持っていた \(CV^2/2\) は、最終的に「Cに残る」「Lに残る」「Rで熱になる」のいずれかにしかなりません。最終状態でCもLも空なのだから、全部Rで熱になったと決まります。RとLはどういう経路でどれだけの時間をかけて熱に変わるかを決めるだけです。

なお、振動する条件なら途中でコンデンサ電圧が0になる瞬間がありますが、その瞬間はコイルに電流が流れていてエネルギーはLの中にあります。「電圧が0=エネルギーが0」ではありません。問題文がわざわざ「十分に時間が経過して」「最終的に」と書いているのはこのためです。

この問題は令和7年度上期の再出題です

本問(平成19年度 A問題7)とまったく同じ問題が、令和7年度上期 A問題5として出題されています(直流回路5)。約18年ぶりの再登場です。

ただし選択肢の並び順が違います。平成19年度では \(\frac12CV^2\) が(2)、令和7年度上期では(5)。番号で覚えていると間違えますので、式そのものを記憶に残してください。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 「十分に時間が経過したあとのエネルギー」と問われたらエネルギー保存。波形を追わない
② 蓄積は C は電圧の2乗・L は電流の2乗。½CV² と ½Li² を取り違えない
③ 文字式の選択肢は単位で振るい落とす。W(電力)とJ(エネルギー)の混同が定番の罠
④ 「初期はどこにエネルギーがあるか」「最終はどこに残るか」の2点だけ確認すれば式は1行

エネルギー保存を使う問題の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
平成19年度 A問題7本問(直流回路66)RLC回路でRが消費する総エネルギー
令和7年度上期 A問題5直流回路5同一問題(選択肢の並びのみ異なる)
平成29年度 A問題6直流回路37定常状態のコイル・コンデンサの蓄積エネルギー総和
令和4年度上期 A問題6直流回路25直列充電したコンデンサを並列に繋ぎ直す
平成20年度 A問題5直流回路61コンデンサの繋ぎ替えと電圧

💡 覚え方
C・Lは預かるだけ、Rだけが消費する。総消費エネルギー=初めの蓄積−終わりの蓄積。蓄積は \(\frac12CV^2\)(Cは電圧)と \(\frac12Li^2\)(Lは電流)。

⚠️ よくある間違い
\(V^2/(2R)\) は電力(W)でエネルギー(J)ではありません。「途中で電圧が0になる瞬間」と「十分時間後」は別物(前者はコイルにエネルギーが残っています)。\(\frac12LV^2\) のようにLに電圧の2乗を掛けないこと。

まとめ

初期条件vC=V、i=0
初期エネルギーU(0)=½CV2
十分時間後vC→0、i→0、U(∞)=0
抵抗の総消費WR=∫Ri2dt=½CV2
平成19年度の答え(2)

平成19年度の公式問題・標準解答PDFは現在の公式公開範囲外ですが、同じ問題が掲載された令和7年度上期の公式問題PDF公式解答PDFを照合しました。再出題では½CV²が(5)、平成19年度の選択肢では同じ式が(2)です。

▼あわせて解きたい関連問題
・同じ問題が再出題された令和7年度上期の解説:【理論】令和7年度上期A問題5

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