今回は平成18年度 理論科目 A問題5を解説します。起電力E・内部抵抗rの電池に可変抵抗Rを接続し、R=2.25ΩでI=3A、R=3.45ΩでI=2Aとなる二条件から、電池の起電力Eを求めます。同じ問題が令和7年度下期A問題6にも再出題されていますが、選択肢の並びは異なります。
重要なのは、起電力Eと端子電圧U=IRを区別することです。電池内部ではIrだけ電圧が下がるため、E=U+Ir=I(R+r)です。二つの条件でEとrは共通なので、連立方程式から両方を決められます。
平成18年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢
同じ電池を2つの条件で測った、という設定に注目して読みましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題5
電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成18年度 A問題5
図のように、内部抵抗r〔Ω〕、起電力E〔V〕の電池に抵抗値R〔Ω〕の可変抵抗器を接続した回路がある。R=2.25Ωにしたとき、回路を流れる電流はI=3Aであった。次に、R=3.45Ωにしたとき、回路を流れる電流はI=2Aとなった。この電池の起電力E〔V〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)6.75 (2)6.90 (3)7.05 (4)7.20 (5)9.30〔V〕
出題のポイント:起電力は「取り出せる電圧」より必ず大きい
実際の電池は理想的な起電力Eと内部抵抗rが直列につながったモデルで表します。電流Iを流すと内部でも \(Ir\) だけ電圧が落ちるので、外に取り出せる端子電圧Uは起電力より小さくなります。$$U=IR=E-Ir\qquad\Longleftrightarrow\qquad E=IR+Ir=I(R+r)$$電流をたくさん流すほど端子電圧が下がる——電池を酷使すると電圧が落ちる、あの現象です。問われているのはE(起電力)であって、U(端子電圧)ではありません。
そしてこの問題が成立する理由は「同じ電池を2回測っている」ことにあります。可変抵抗Rと電流Iは条件ごとに変わりますが、Eとrは電池固有の定数で共通。だから未知数2つに対して式が2本立ち、連立で両方決まります。

問題の解説:Eを消してrを求め、あとでEに戻す
STEP1 2つの条件を式にする
端子電圧6.75 V+内部降下3r
端子電圧6.90 V+内部降下2r
電流が3 Aから2 Aに減ると、端子電圧は6.75 Vから6.90 Vへ上がっています。負荷を軽くすると内部降下が減り、端子電圧が起電力に近づく——電池の性質がそのまま数字に出ています。
STEP2 等置して内部抵抗を求める
左辺はどちらも同じEなので、右辺同士を等しくおけばEが消えます。
Eが消えて未知数はrだけ
端子電圧の差0.15 V ÷ 電流の差1 A
rの意味:\(r=(U_2-U_1)/(I_1-I_2)=0.15/1=0.15\;\Omega\)。つまり内部抵抗は「電流を1 A増やしたときに端子電圧が何V下がるか」を表します。グラフで言えばU–I特性の傾きの大きさです。

STEP3 起電力を求めて検算する
同じ値になれば確定
電力収支での検算:条件1では電池が出す電力が \(7.20\times3=21.6\;\mathrm{W}\)、内訳は外部 \(6.75\times3=20.25\;\mathrm{W}\) +内部損失 \(3^2\times0.15=1.35\;\mathrm{W}\)=21.6 W ✓。条件2では \(7.20\times2=14.4\;\mathrm{W}\)、内訳は \(13.8+0.60=14.4\;\mathrm{W}\) ✓。どちらもぴったり合います。


選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢のEについて、条件1から \(r=E/3-2.25\) と内部抵抗を逆算し、その電池が条件2で本当に2 Aを流すかを確かめます。
| 選択肢 | E [V] | 条件1から r [Ω] | 条件2の電流 E/(3.45+r) [A] | 判定 |
| (1) | 6.75 | 0.000 | 1.957 | ×(r=0=理想電池になってしまう) |
| (2) | 6.90 | 0.050 | 1.971 | × |
| (3) | 7.05 | 0.100 | 1.986 | × |
| (4) | 7.20 | 0.150 | 2.000 | ○ |
| (5) | 9.30 | 0.850 | 2.163 | × |
誤答の正体もはっきりします。(1) 6.75 Vは条件1の端子電圧そのもの(内部抵抗を無視した値)、(2) 6.90 Vは条件2の端子電圧です。起電力は必ず端子電圧より大きいと知っていれば、この2つは計算前に消せます。
この問題は令和7年度下期にも再出題されています
本問(平成18年度 A問題5)とまったく同じ設定・同じ数値の問題が、令和7年度下期 A問題6として出題されています(直流回路2)。約20年ぶりの再登場です。
ただし選択肢の並び順が違います。平成18年度では7.20 Vが(4)、令和7年度下期では(2)。「あの問題は答えが(4)だった」と番号で覚えていると間違えます。過去問を復習するときは、正解番号ではなく計算結果そのものを記憶に残してください。古い年度の問題が形を変えずに再登場することがある、という意味でも本問は良い教材です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電池の問題は E=I(R+r) の1本だけ覚えておけばよい
② 「同じ電池」「同じ電源」とあれば連立の合図。共通の定数を等置してEを消す
③ 選択肢にIRの値そのもの(本問なら6.75と6.90)が混ざっていたら端子電圧の罠
④ 内部抵抗は端子電圧の差 ÷ 電流の差でも直接求まる(0.15/1=0.15 Ω)
電池・内部抵抗の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成18年度 A問題5 | 本問(直流回路67) | 2条件から起電力Eを求める |
| 令和7年度下期 A問題6 | 直流回路2 | 同一問題(選択肢の並びのみ異なる) |
| 平成28年度 A問題5 | 直流回路39 | 電池4個並列の電源で負荷の消費電力 |
| 令和3年度 A問題7 | 直流回路28 | 電池n個と可変抵抗で消費電力が最大になる電流 |
💡 覚え方
E=I(R+r)。同じ電池の2条件なら等置してrを先に求め、あとでEへ戻す。端子電圧U=IRは起電力より必ず小さい。内部抵抗=端子電圧の差÷電流の差。
⚠️ よくある間違い
6.75 Vと6.90 Vは各条件の端子電圧で起電力ではありません。再出題では選択肢の番号が変わるので、番号ではなく計算結果を覚えること。E=R+rと電流を落とすと単位がΩのままになり合いません。
まとめ
| 基本式 | E=U+Ir=I(R+r) |
| 条件1 | R=2.25Ω、I=3A、U=6.75V、E=6.75+3r |
| 条件2 | R=3.45Ω、I=2A、U=6.90V、E=6.90+2r |
| 内部抵抗 | r=0.15Ω |
| 平成18年度の答え | E=7.20V …(4) |
平成18年度の公式問題・標準解答PDFは現在の公式公開範囲外ですが、同じ問題が掲載された令和7年度下期の公式問題PDFと公式解答PDFを照合しました。再出題では7.20Vが(2)、平成18年度の選択肢では(4)です。
▼あわせて解きたい関連問題
・同じ問題が再出題された令和7年度下期の解説:【理論】令和7年度下期A問題6

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