直流回路67【電験3種 理論】内部抵抗を含む電池の起電力を求める!平成18年度 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 平成18年度 A問題5 端子電圧と電流から!電池の起電力を割り出す

今回は平成18年度 理論科目 A問題5を解説します。起電力E・内部抵抗rの電池に可変抵抗Rを接続し、R=2.25ΩでI=3A、R=3.45ΩでI=2Aとなる二条件から、電池の起電力Eを求めます。同じ問題が令和7年度下期A問題6にも再出題されていますが、選択肢の並びは異なります。

重要なのは、起電力Eと端子電圧U=IRを区別することです。電池内部ではIrだけ電圧が下がるため、E=U+Ir=I(R+r)です。二つの条件でEとrは共通なので、連立方程式から両方を決められます。

目次

平成18年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

同じ電池を2つの条件で測った、という設定に注目して読みましょう。

電験3種 理論科目 平成18年度 A問題5 問題文(内部抵抗を含む電池の起電力を求める)
平成18年度 理論科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題5

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成18年度 A問題5

 図のように、内部抵抗r〔Ω〕、起電力E〔V〕の電池に抵抗値R〔Ω〕の可変抵抗器を接続した回路がある。R=2.25Ωにしたとき、回路を流れる電流はI=3Aであった。次に、R=3.45Ωにしたとき、回路を流れる電流はI=2Aとなった。この電池の起電力E〔V〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)6.75 (2)6.90 (3)7.05 (4)7.20 (5)9.30〔V〕

出題のポイント:起電力は「取り出せる電圧」より必ず大きい

実際の電池は理想的な起電力Eと内部抵抗rが直列につながったモデルで表します。電流Iを流すと内部でも \(Ir\) だけ電圧が落ちるので、外に取り出せる端子電圧Uは起電力より小さくなります。$$U=IR=E-Ir\qquad\Longleftrightarrow\qquad E=IR+Ir=I(R+r)$$電流をたくさん流すほど端子電圧が下がる——電池を酷使すると電圧が落ちる、あの現象です。問われているのはE(起電力)であって、U(端子電圧)ではありません。

そしてこの問題が成立する理由は「同じ電池を2回測っている」ことにあります。可変抵抗Rと電流Iは条件ごとに変わりますが、Eとrは電池固有の定数で共通。だから未知数2つに対して式が2本立ち、連立で両方決まります。

起電力Eと内部抵抗rを直列に持つ電池、可変外部抵抗R、電流Iからなる二つの完全な閉回路と、R=2.25Ω・I=3A、R=3.45Ω・I=2Aの条件を示す出題のポイント図
電池の内部抵抗rと外部抵抗Rには同じ電流Iが流れます。したがって閉回路の電圧収支はE=Ir+IR=I(r+R)です。この段階では答えを示していません。

問題の解説:Eを消してrを求め、あとでEに戻す

使う公式:内部抵抗をもつ電池の回路方程式
$$E=I\,(R+r)=IR+Ir$$

※閉回路の電圧則 \(E-Ir-IR=0\) から。単位も A×Ω=V で合います。端子電圧は \(U=IR\)。

STEP1 2つの条件を式にする

$$E=3\,(2.25+r)=6.75+3r$$
❶ 条件1
端子電圧6.75 V+内部降下3r
$$E=2\,(3.45+r)=6.90+2r$$
❷ 条件2
端子電圧6.90 V+内部降下2r

電流が3 Aから2 Aに減ると、端子電圧は6.75 Vから6.90 Vへ上がっています。負荷を軽くすると内部降下が減り、端子電圧が起電力に近づく——電池の性質がそのまま数字に出ています。

STEP2 等置して内部抵抗を求める

左辺はどちらも同じEなので、右辺同士を等しくおけばEが消えます。

$$6.75+3r=6.90+2r$$
❸ 等置
Eが消えて未知数はrだけ
$$r=6.90-6.75=0.15\;[\Omega]$$
❹ 解く
端子電圧の差0.15 V ÷ 電流の差1 A

rの意味:\(r=(U_2-U_1)/(I_1-I_2)=0.15/1=0.15\;\Omega\)。つまり内部抵抗は「電流を1 A増やしたときに端子電圧が何V下がるか」を表します。グラフで言えばU–I特性の傾きの大きさです。

二つの条件から端子電圧U1=6.75V、U2=6.90Vを求め、E=U+Irの連立差から内部抵抗r=0.15Ωを導くポイント解説図
端子電圧は外部抵抗の両端電圧U=IRです。二条件で起電力Eは同じなので、E=U+Irを連立し、内部抵抗rを先に求めます。

STEP3 起電力を求めて検算する

$$E=3\,(2.25+0.15)=3\times2.40=7.20\;[\mathrm{V}]$$
❺ 条件1へ戻す
$$E=2\,(3.45+0.15)=2\times3.60=7.20\;[\mathrm{V}]$$
❻ 条件2でも確認
同じ値になれば確定

電力収支での検算:条件1では電池が出す電力が \(7.20\times3=21.6\;\mathrm{W}\)、内訳は外部 \(6.75\times3=20.25\;\mathrm{W}\) +内部損失 \(3^2\times0.15=1.35\;\mathrm{W}\)=21.6 W ✓。条件2では \(7.20\times2=14.4\;\mathrm{W}\)、内訳は \(13.8+0.60=14.4\;\mathrm{W}\) ✓。どちらもぴったり合います。

答え\(E=7.20\;[\mathrm{V}]\)(内部抵抗 \(r=0.15\;\Omega\)) → 選択肢(4)
二条件の連立から内部抵抗r=0.15Ωと起電力E=7.20Vを求め、両条件へ代入して一致を確認し、平成18年度の正解4と令和7年度下期の正解2を区別する詳細解説図
r=0.15Ωをどちらの条件へ代入してもE=7.20Vになります。平成18年度は(4)、同じ問題の令和7年度下期再出題は選択肢の並びが異なり(2)です。
二条件それぞれについて端子電圧と内部電圧降下の和が7.20Vになること、電源電力が外部抵抗電力と内部損失の和に一致することを示す問題の詳細検算図
条件1は6.75+0.45=7.20V、20.25+1.35=21.6W、条件2は6.90+0.30=7.20V、13.8+0.60=14.4Wです。電圧収支・電力収支の両方が一致します。

選択肢を回路に戻して検算する

各選択肢のEについて、条件1から \(r=E/3-2.25\) と内部抵抗を逆算し、その電池が条件2で本当に2 Aを流すかを確かめます。

選択肢E [V]条件1から r [Ω]条件2の電流 E/(3.45+r) [A]判定
(1)6.750.0001.957×(r=0=理想電池になってしまう)
(2)6.900.0501.971×
(3)7.050.1001.986×
(4)7.200.1502.000
(5)9.300.8502.163×

誤答の正体もはっきりします。(1) 6.75 Vは条件1の端子電圧そのもの(内部抵抗を無視した値)、(2) 6.90 Vは条件2の端子電圧です。起電力は必ず端子電圧より大きいと知っていれば、この2つは計算前に消せます。

この問題は令和7年度下期にも再出題されています

本問(平成18年度 A問題5)とまったく同じ設定・同じ数値の問題が、令和7年度下期 A問題6として出題されています(直流回路2)。約20年ぶりの再登場です。

ただし選択肢の並び順が違います。平成18年度では7.20 Vが(4)、令和7年度下期では(2)。「あの問題は答えが(4)だった」と番号で覚えていると間違えます。過去問を復習するときは、正解番号ではなく計算結果そのものを記憶に残してください。古い年度の問題が形を変えずに再登場することがある、という意味でも本問は良い教材です。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 電池の問題は E=I(R+r) の1本だけ覚えておけばよい
② 「同じ電池」「同じ電源」とあれば連立の合図。共通の定数を等置してEを消す
③ 選択肢にIRの値そのもの(本問なら6.75と6.90)が混ざっていたら端子電圧の罠
④ 内部抵抗は端子電圧の差 ÷ 電流の差でも直接求まる(0.15/1=0.15 Ω)

電池・内部抵抗の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
平成18年度 A問題5本問(直流回路67)2条件から起電力Eを求める
令和7年度下期 A問題6直流回路2同一問題(選択肢の並びのみ異なる)
平成28年度 A問題5直流回路39電池4個並列の電源で負荷の消費電力
令和3年度 A問題7直流回路28電池n個と可変抵抗で消費電力が最大になる電流

💡 覚え方
E=I(R+r)。同じ電池の2条件なら等置してrを先に求め、あとでEへ戻す。端子電圧U=IRは起電力より必ず小さい。内部抵抗=端子電圧の差÷電流の差

⚠️ よくある間違い
6.75 Vと6.90 Vは各条件の端子電圧で起電力ではありません。再出題では選択肢の番号が変わるので、番号ではなく計算結果を覚えること。E=R+rと電流を落とすと単位がΩのままになり合いません。

まとめ

基本式E=U+Ir=I(R+r)
条件1R=2.25Ω、I=3A、U=6.75V、E=6.75+3r
条件2R=3.45Ω、I=2A、U=6.90V、E=6.90+2r
内部抵抗r=0.15Ω
平成18年度の答えE=7.20V …(4)

平成18年度の公式問題・標準解答PDFは現在の公式公開範囲外ですが、同じ問題が掲載された令和7年度下期の公式問題PDF公式解答PDFを照合しました。再出題では7.20Vが(2)、平成18年度の選択肢では(4)です。

▼あわせて解きたい関連問題
・同じ問題が再出題された令和7年度下期の解説:【理論】令和7年度下期A問題6

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