今回は平成19年度 理論科目 A問題6を解説します。ブリッジ回路でスイッチSを開いても閉じても、主回路に直列接続された電流計の指示がE/4 Aで一定となる条件から、R₃・R₄のうち小さい方の抵抗を求めます。
スイッチSを閉じると中点間に0 Ωの枝が加わるため、一般には合成抵抗が下がり、全電流が増えます。それでも全電流が変わらないのは、開放時から両中点が等電位で、S枝に電流が流れない平衡ブリッジだからです。平衡条件と全電流の条件を順に使います。
平成19年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
問題文と選択肢を確認した後、下の「出題のポイント」に掲載した正しい接続図を参照してください。従来の再構成画像は電流計と電源の位置が原図と異なっていたため、今回の監査で削除し、正しい回路へ差し替えました。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題6
電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成19年度 A問題6
図のような直流回路において、スイッチSを閉じても、開いても電流計の指示値は、E/4〔A〕一定である。このとき、抵抗R3〔Ω〕、R4〔Ω〕のうち小さい方の抵抗〔Ω〕の値として、正しいのは次のうちどれか。ただし、直流電圧源はE〔V〕とし、電流計の内部抵抗は無視できるものとする。
(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)8〔Ω〕
出題のポイント:「スイッチを閉じても電流が変わらない」=平衡の証拠
普通、回路に導線(0 Ωの枝)を1本足せば、合成抵抗は下がり全電流は増えます。ところが本問ではスイッチSを閉じても電流計の指示がE/4 Aのまま変わりません。これは「Sを閉じても何も起きなかった」ということ——つまりSを閉じる前から、Sの両端はすでに同じ電位だったのです。
同じ電位の2点を導線でつないでも電流は流れません。だから合成抵抗も電流も変化しない。この現象こそがブリッジの平衡です。問題文の「開いても閉じても一定」という一言が、平衡条件を使ってよいという許可証になっています。
もう一つ、電流計の位置にも注意してください。電流計はスイッチの枝ではなく、電源と抵抗網全体に直列に入っています。したがって指示値E/4 Aは回路の全電流です。

問題の解説:平衡条件 → 抵抗比 → 合成抵抗
STEP1 平衡条件から抵抗の関係を出す
上段は 2 Ω→R₃、下段は 8 Ω→R₄ の順に並んでいます。中点が等電位になるのは、両段の分圧比が等しいときです。
たすき掛けで整理
下段の後半は上段の後半の4倍
STEP2 全電流から合成抵抗を決める
S枝に電流が流れないので、回路は上段(2+R₃)と下段(8+R₄)の単純な並列です。ここで \(X=2+R_3\) と置くと、下段は \(8+4R_3=4(2+R_3)=4X\)——きれいに4倍になります。
文字を1つに減らせた
指示値E/4 Aを使う

STEP3 R₃とR₄を求める
小さい方はR₃=3 Ω
S閉のときも確認:Sを閉じると中点どうしがつながるので、回路は「2 Ω∥8 Ω」と「R₃∥R₄」の直列になります。\(2\parallel8=1.6\)、\(3\parallel12=2.4\)、合計 \(1.6+2.4=4.0\;\Omega\)——S開のときと同じ4 Ωです。開いても閉じても合成抵抗が同じという問題文の条件が、きちんと再現されました。


選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢のR₃について \(R_4=4R_3\) を計算し、上段・下段を並列合成して4 Ωになるかを確かめます(\(R_{\mathrm{eq}}=4\;\Omega\) なら \(I=E/4\))。
| 選択肢 | R₃ [Ω] | R₄=4R₃ [Ω] | 上段 2+R₃ | 下段 8+R₄ | 並列合成 [Ω] | 判定 |
| (1) | 1 | 4 | 3 | 12 | 2.40 | × |
| (2) | 2 | 8 | 4 | 16 | 3.20 | × |
| (3) | 3 | 12 | 5 | 20 | 4.00 | ○ |
| (4) | 4 | 16 | 6 | 24 | 4.80 | × |
| (5) | 8 | 32 | 10 | 40 | 8.00 | × |
合成抵抗はR₃について単調に増えるので、4 Ωちょうどになるのは1か所だけ。実は \(R_{\mathrm{eq}}=\frac45X=\frac45(2+R_3)\) なので選択肢を代入するだけでも解けます——式変形に自信がないときの保険として覚えておきましょう。
なぜ「分圧比が等しい」と中点が等電位になるのか
上段には電源電圧Eが2 ΩとR₃で分圧されます。中点の電位は下側から測って \(E\cdot R_3/(2+R_3)\)。下段では \(E\cdot R_4/(8+R_4)\)。この2つが等しくなる条件を整理すると、ちょうど \(2R_4=8R_3\)——平衡条件そのものになります。
本問の値で確かめると、上段は \(E\times3/5=0.6E\)、下段は \(E\times12/20=0.6E\)。どちらも0.6Eで確かに等電位です。だから中央のS枝は、閉じようが開こうが電流0。
この性質を測定に応用したのがホイートストンブリッジです。検流計が0を指すように可変抵抗を調整すれば、電源電圧が多少ふらついても未知抵抗を精密に測れます——「0を検出する」測定は絶対値を測るより桁違いに精度が高いという、計測の基本思想がここにあります。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 「スイッチを開閉しても変わらない」=平衡と即断する。これが問題文の合図
② 平衡なら中央枝は開放して除去(短絡ではない)
③ 文字が2つ出てきたら置き換えを狙う(本問は X=2+R₃ で下段が4Xになる)
④ 電流計が主回路か分岐かを必ず確認する
平衡ブリッジの出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成19年度 A問題6 | 本問(直流回路65) | 開閉で電流不変=平衡から抵抗を求める |
| 平成27年度 A問題6 | 直流回路43 | スイッチ開閉で電流が不変=平衡から抵抗R₄(同型) |
| 令和4年度下期 A問題5 | 直流回路21 | 平衡ブリッジを見抜いて電源電圧E |
| 令和4年度上期 A問題7 | 直流回路26 | 6抵抗のブリッジから未知抵抗Rx |
| 令和2年度 A問題7 | 直流回路31 | 非平衡ブリッジをテブナンの定理で解く |
💡 覚え方
「開いても閉じても同じ」=平衡。平衡条件で抵抗比(R₄=4R₃)を出し、X=2+R₃ と置けば下段は4X。あとは \(4X/5=4\) から X=5、R₃=3 Ω。
⚠️ よくある間違い
2 Ωと8 Ωを1本の直列枝と読まないこと(上段が2+R₃、下段が8+R₄)。平衡した中央枝は短絡ではなく開放。電流計はS枝ではなく主回路にあるので指示値は全電流です。
まとめ
| 正しい経路 | 上段2 Ω+R3、下段8 Ω+R4 |
| 平衡条件 | 2R4=8R3、R4=4R3 |
| 合成抵抗 | Req=4 Ω |
| 抵抗値 | R3=3 Ω、R4=12 Ω |
| 答え | 小さい方3 Ω …(3) |
平成19年度の公式問題・標準解答PDFは現在の公式公開範囲外です。問題文、選択肢、正しい原図と解法は、保存されている2007年理論問6の解説PDFと独立計算で照合しました。従来の再構成画像は、電流計を中点間へ置き、電源を上下端へ置く誤配線だったため、今回削除して正しい回路に差し替えています。
▼あわせて解きたい関連問題
・平衡ブリッジの関連問題:【理論】平成27年度A問題6

コメント