今回は平成19年度 理論科目 A問題5を解説します。起電力E・内部抵抗rの電池に、固定抵抗R1と可変抵抗R2を並列接続したとき、R2のジュール熱を最大にするR2の値を求めます。同じ問題が令和6年度上期A問題7にも再出題されていますが、正しい式の選択肢番号は異なります。
一定時間tに発生するジュール熱はQ2=P2tなので、時間が一定ならジュール熱を最大にする条件と消費電力を最大にする条件は同じです。R2だけを負荷として外し、残りの回路のテブナン抵抗Rthと開放電圧Vthを求めます。
平成19年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢
発熱を最大にしたいのはどの抵抗かを意識しながら問題文を読みましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題5
電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成19年度 A問題5
起電力がE〔V〕で内部抵抗がr〔Ω〕の電池がある。この電池に抵抗R1〔Ω〕と可変抵抗R2〔Ω〕を並列につないだとき、抵抗R2〔Ω〕から発生するジュール熱が最大となるときの抵抗R2の値〔Ω〕を表す式として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)R2=r (2)R2=R1 (3)R2=rR1/(r−R1) (4)R2=rR1/(R1−r) (5)R2=rR1/(r+R1)
出題のポイント:R₂だけを負荷として切り出し、残りを等価電源にまとめる
一定時間tのあいだに発生するジュール熱は \(Q=Pt\)。tが共通ならジュール熱を最大にする=消費電力を最大にすると読み替えられます。そこで使うのが最大電力の定理——負荷抵抗が、負荷から見た電源側の等価抵抗(テブナン抵抗)と等しいとき、負荷が受け取る電力が最大になります。
肝心なのは「電源側の等価抵抗」をどう求めるかです。R₂を負荷として一度取り外し、空いた端子から電源側を覗き込みます。このとき独立な理想電圧源Eは短絡(0 V)に置き換えるのがルール。ここで消すのは起電力Eだけで、内部抵抗rはそのまま残ります。
元の動作回路でr・R₁・R₂の3つが並列なのではありません。rは理想電源Eと直列です。「R₂を外してEを短絡した後に限って」rとR₁が端子間の並列に見える——この順序を守ることが正解への鍵です。

問題の解説:テブナン等価に置き換えて最大条件を当てはめる
STEP1 R₂を外してテブナン等価回路を作る
内部抵抗rは残す
rとR₁の分圧
STEP2 微分して最大条件を確かめる
公式を暗記で済ませず、実際に微分して確認しておきます。
R₂の関数として書く
符号は \(R_{\mathrm{th}}-R_2\) で決まる
唯一の最大点

STEP3 元の記号へ戻す
「積÷和」=並列合成の形
求めた式はrとR₁の並列合成そのものです。選択肢(3)(4)は分母が引き算になっており、rとR₁の大小によっては負の抵抗という物理的にあり得ない値になるため、その時点で候補から外せます。


具体的な数値で検算する
文字式のままでは不安なので、\(r=2\;\Omega\)、\(R_1=3\;\Omega\)、\(E=10\;\mathrm{V}\) と決めて確かめます。このとき \(R_{\mathrm{th}}=2\times3/5=1.2\;\Omega\)、\(V_{\mathrm{th}}=10\times3/5=6\;\mathrm{V}\)。R₂を0.001 Ω刻みで変えながら消費電力を計算すると、R₂=1.200 Ωのときに最大値7.500 Wとなり、理論値 \(V_{\mathrm{th}}^2/(4R_{\mathrm{th}})=36/4.8=7.5\;\mathrm{W}\) と完全に一致しました。
| 選択肢 | 式 | r=2, R₁=3 での値 [Ω] | 判定 |
| (1) | R₂ = r | 2.000 | ×(R₁が並列にあることを無視) |
| (2) | R₂ = R₁ | 3.000 | × |
| (3) | R₂ = rR₁/(r−R₁) | −6.000(負の抵抗) | × |
| (4) | R₂ = rR₁/(R₁−r) | 6.000 | × |
| (5) | R₂ = rR₁/(r+R₁) | 1.200 | ○(数値探索の最大点と一致) |
(1) R₂=r は「負荷=内部抵抗」という公式をそのまま当てはめた誤りです。R₁が並列に入っている分だけ電源側の抵抗は小さくなるので、正しくは \(r\parallel R_1\)。この問題は「公式を暗記しているか」ではなく「電源側の等価抵抗を正しく求められるか」を問うています。
この問題は令和6年度上期の再出題です
本問(平成19年度 A問題5)とまったく同じ問題が、令和6年度上期 A問題7として出題されています(直流回路12)。約17年ぶりの再登場です。
ただし選択肢の並び順が違います。平成19年度では正しい式が(5)、令和6年度上期では(3)。「あの問題は(5)だった」と番号で覚えていると間違えます。過去問を復習するときは正解番号ではなく式そのものを記憶に残してください。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 「最大」「最も大きくなる」と来たら最大電力の定理を疑う
② Rthは負荷を外してから求める。理想電圧源は短絡、内部抵抗は残す
③ 答えが「積÷和」なら並列合成、「積÷差」なら負の抵抗になり得る=誤り
④ 文字式はr=2, R₁=3のような小さい数を入れて検算すると10秒で確信が持てる
最大電力・テブナンの定理の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成19年度 A問題5 | 本問(直流回路64) | 可変抵抗のジュール熱が最大になる条件 |
| 令和6年度上期 A問題7 | 直流回路12 | 同一問題(選択肢の並びのみ異なる) |
| 令和3年度 A問題7 | 直流回路28 | 電池n個で消費電力最大のときの電流 |
| 令和2年度 A問題7 | 直流回路31 | ブリッジ回路にテブナンの定理 |
| 令和7年度上期 A問題6 | 直流回路6 | 3状態から短絡電流を求める |
💡 覚え方
最大電力は「負荷=負荷から見た電源側の抵抗」。Rthは電圧源を短絡して求め、内部抵抗は残す。本問はr∥R₁なので「積÷和」の形。
⚠️ よくある間違い
R₂=rと即答しない(R₁が並列にあるので \(r\parallel R_1\) が正解)。テブナン抵抗を求めるとき内部抵抗rまで消さないこと。再出題では選択肢の番号が変わるので式で覚えましょう。
まとめ
| 負荷 | 可変抵抗R2 |
| テブナン抵抗 | Rth=r∥R1=rR1/(r+R1) |
| 開放電圧 | Vth=ER1/(r+R1) |
| 最大条件 | R2=Rth |
| 平成19年度の答え | (5) |
平成19年度の公式問題・標準解答PDFは現在の公式公開範囲外です。そこで、保存されている平成19年度問題画像の問題文と選択肢を確認したうえで、同じ問題が掲載された令和6年度上期の公式問題PDFと公式解答PDFを照合しました。公式再出題では正しい式が(3)、平成19年度の選択肢では同じ式が(5)です。
▼あわせて解きたい関連問題
・同じ問題が再出題された令和6年度上期の解説:【理論】令和6年度上期A問題7

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