直流回路31【電験3種 理論】ブリッジ回路にテブナンの定理で電流を求める!令和2年度 A問題7 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 令和2年度 A問題7 テブナンの定理でブリッジを解く!検流計の電流は?

今回は令和2年度 理論科目 A問題7を解説します。5 V電源に1 Ω・4 Ωの分圧枝と2 Ω・3 Ωの分圧枝を並列接続し、両枝の中点a・b間をスイッチSと8 Ωで結ぶブリッジ回路です。Sを閉じたときに8 Ωへ流れる電流I〔A〕を求めます。

8 Ωの接続端子a・bから左側の回路を見ると、開放電圧V₀と等価抵抗R₀をもつテブナン等価回路へ置き換えられます。S開放時にa側がb側より1 V高く、電源短絡時の等価抵抗が2 Ωなので、電流方向と大きさを一度に判断できます。

目次

令和2年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の問題図を確認します。上側母線を+5 V、下側母線を0 Vとすると、S開放時の中点電位はa点4 V、b点3 Vです。

電験3種 理論科目 直流回路 令和2年度 A問題7 問題文
令和2年度 理論科目 A問題7 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和2年度 A問題7

 図のように、直流電源にスイッチS、抵抗5個を接続したブリッジ回路がある。この回路において、スイッチSを開いたとき、Sの両端間の電圧は1Vであった。スイッチSを閉じたときに8Ωの抵抗に流れる電流Iの値〔A〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.10 (2)0.75 (3)1.0 (4)1.4 (5)2.0〔A〕

図 5V電源・スイッチS(8Ω付き)と抵抗4個からなるブリッジ回路(問題図)
図 5V電源・スイッチS(8Ω付き)と抵抗4個からなるブリッジ回路(問題図)

出題のポイント:平衡していないブリッジは、テブナンで「電池1個+抵抗1個」に潰す

このブリッジは平衡していません(\(1\times3=3\) に対し \(4\times2=8\) で一致しない)。だから中央の8 Ωには電流が流れます。とはいえ、まともに連立方程式を立てると未知数が多くて骨が折れます。

そこでテブナンの定理——注目する素子(8 Ω)を外して、残りの回路を電圧源1個と抵抗1個の直列に置き換えてしまいます。手順はたった3つです。$$\text{① 8 Ωを外したときの端子電圧 }V_0\;\to\;\text{② 電源を短絡したときの端子抵抗 }R_0\;\to\;\text{③ }I=\frac{V_0}{R_0+8}$$複雑な回路が1つの直列回路になるので、あとは割り算1回で終わります。

開放電圧1 V、電源短絡時の等価抵抗2 Ω、負荷電流0.10 Aの3段階を示すGPT Image 2の出題ポイント図
開放電圧V₀、電源を短絡した等価抵抗R₀、負荷電流Iの順に求めます。

問題の解説:3ステップで等価回路に置き換える

使う公式:テブナンの定理
$$I=\frac{V_0}{R_0+R_{\text{負荷}}}$$

※\(V_0\)=負荷を外したときの端子電圧(開放電圧)。\(R_0\)=独立電源を殺して(電圧源は短絡・電流源は開放)端子から見た抵抗。

STEP1 8 Ωを外して開放電圧を求める

Sを開いた状態では、左枝(1 Ωと4 Ω)と右枝(2 Ωと3 Ω)がそれぞれ5 Vを分圧するだけの単純な回路です。

$$V_a=5\times\frac{4}{1+4}=4\;[\mathrm{V}]$$
❶ 左枝の分圧
下側から測ったa点の電位
$$V_b=5\times\frac{3}{2+3}=3\;[\mathrm{V}]$$
❷ 右枝の分圧
同じくb点の電位
$$V_0=V_a-V_b=4-3=1\;[\mathrm{V}]$$
❸ 開放電圧
a側が高電位。問題文の1 Vと一致

問題文が「Sの両端間の電圧は1 V」と教えてくれているので、この計算は答え合わせにもなります。合わなければ回路の読み違いです。

STEP2 電源を短絡して等価抵抗を求める

ここが最重要ポイントです。5 V電源を短絡すると、上側の母線と下側の母線が同じ点になります。すると1 Ωと4 Ωは両端が共通になって並列、2 Ωと3 Ωも並列に見えます。

$$1\parallel4=\frac{1\times4}{1+4}=0.8\;[\Omega]$$
❹ a側
電源短絡で並列になる
$$2\parallel3=\frac{2\times3}{2+3}=1.2\;[\Omega]$$
❺ b側
同様
$$R_0=0.8+1.2=2.0\;[\Omega]$$
❻ a-b間
aから共通点を経てbなので直列
8 Ωを外して5 V電源を短絡し、1 Ωと4 Ωの並列0.8 Ω、2 Ωと3 Ωの並列1.2 Ωを直列加算してR0が2 Ωになることを示すGPT Image 2のポイント解説図
電圧源を短絡すると、a側の0.8 Ωとb側の1.2 Ωがa-b間で直列になり、R₀=2 Ωです。

STEP3 負荷をつないで電流を求める

$$I=\frac{V_0}{R_0+8}=\frac{1}{2+8}=0.10\;[\mathrm{A}]$$
❼ 等価回路
1 Vの電池に10 Ωが直列
答え\(I=0.10\;[\mathrm{A}]\)(a→bの向き) → 選択肢(1)
開放電圧1 V、等価抵抗2 Ω、負荷8 Ωの直列テブナン等価回路と、電流0.10 A、正解1を示すGPT Image 2の問題解説図
テブナン等価回路では1 V、2 Ω、8 Ωが直列となり、I=1/(2+8)=0.10 Aです。

選択肢を回路に戻して検算する

テブナン等価では \(I=1/(R_0+8)\) なので、各選択肢の電流から必要な合計抵抗を逆算できます。実際の \(R_0+8=10\;\Omega\) と合うのは1つだけです。

選択肢I [A]必要な R₀+8 = 1/I [Ω]そこから逆算される R₀ [Ω]判定
(1)0.1010.002.0
(2)0.751.33−6.7(負の抵抗)×
(3)1.01.00−7.0(負の抵抗)×
(4)1.40.71−7.3(負の抵抗)×
(5)2.00.50−7.5(負の抵抗)×

(2)〜(5)はすべて負の抵抗を要求するため、計算するまでもなく物理的にあり得ません。負荷が8 Ωもあるのに、開放電圧はわずか1 V——1 V ÷ 8 Ω以上 = 0.125 A未満という上限が即座に決まります。この見積もりだけで(1)以外は消せてしまいます。

なぜ電源を短絡すると並列になるのか

テブナン抵抗を求めるとき「電圧源を短絡する」という操作に戸惑う人は多いのですが、意味を考えれば自然です。理想電圧源は「両端の電位差を一定に保つ素子」で、内部抵抗は0。抵抗としてはただの導線と同じなので、抵抗を数えるときは導線に置き換えるわけです。

本問で5 V電源を導線に置き換えると、上側母線と下側母線が短絡されて同じ節点になります。すると1 Ωの両端(上側母線とa点)と4 Ωの両端(a点と下側母線)は、どちらも「同じ節点とa点」——つまり並列です。図を描き直すと一目瞭然になるので、電源を消した図をもう1枚描く習慣をつけましょう。

なお電流源の場合は逆で、開放に置き換えます。理想電流源は内部抵抗が無限大(流れる電流が外部によらず一定)だからです。「電圧源=短絡、電流源=開放」はセットで覚えてください。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① ブリッジはまずたすき掛けで平衡判定。平衡なら中央枝は0 A、非平衡ならテブナン
② テブナンは①開放電圧 ②電源を殺した抵抗 ③割り算の3手。連立方程式より速い
③ \(R_0\) を求めるときは電圧源=短絡・電流源=開放。図を描き直すと並列関係が見える
④ 桁の見積もり:負荷が大きいほど電流は小さい。1 Vで8 Ω以上なら0.125 A未満と即断できる

テブナンの定理の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
令和2年度 A問題7本問(直流回路31)非平衡ブリッジをテブナンで解く
令和7年度上期 A問題6直流回路63状態から短絡電流を求める(テブナン)
令和6年度上期 A問題7直流回路12最大電力の条件(テブナン抵抗)
令和2年度 A問題10過渡現象9テブナンの定理で時定数と最終電圧
平成19年度 A問題6直流回路65平衡ブリッジから抵抗を求める

💡 覚え方
非平衡ブリッジはテブナン。①負荷を外した端子電圧 \(V_0\) ②電源を短絡した端子抵抗 \(R_0\) ③ \(I=V_0/(R_0+R_L)\)。本問は 1 V・2 Ω・8 Ω で 0.10 A。

⚠️ よくある間違い
\(R_0\) を求めるとき電源を残さないこと(電圧源は短絡)。短絡後は1 Ωと4 Ω、2 Ωと3 Ωがそれぞれ並列になります。開放電圧の極性(a側が高い)も忘れずに確認しましょう。

まとめ

確認項目結果
開放時の中点電位Va=4 V、Vb=3 V
開放電圧V₀=Va−Vb=+1 V(a側が正)
等価抵抗R₀=(1∥4)+(2∥3)=0.8+1.2=2 Ω
負荷電流I=1/(2+8)=0.10 A(a側からb側)
閉路後の検算Va=3.92 V、Vb=3.12 V、(3.92−3.12)/8=0.10 A
正答(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・ブリッジ・テブナンの定理の関連問題:【理論】令和4年度下期A問題5

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