直流回路32【電験3種 理論】ラダー回路の各点の電位差A-D・B-Cを求める!令和元年度 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 令和元年度 A問題5 ラダー回路の電位を追う!A-DとB-Cの差は何V?

今回は令和元年度 理論科目 A問題5を解説します。直流電源E=100 Vと七つの抵抗からなる回路で、A-D間とB-C間の電位差の大きさ〔V〕を求めます。測定点A-DやB-Cを導線で結ぶのではなく、各点の電位を同じ基準で求めて差を取る問題です。

電源の−側を0 V、+側を100 V、三つの経路が合流する右端節点をXとします。+側-X間を30 Ω、X-−側間を20 Ωへ合成すると、X=40 Vが得られます。その後、上側の二枝へ分流する1 Aと、下側を流れる2 Aを使って各点の電位を求めます。

目次

令和元年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の問題図を確認します。中央枝は+側-20 Ω-A-20 Ω-B-20 Ω-X、下枝は−側-4 Ω-D-6 Ω-C-10 Ω-Xの順です。A・BやC・Dの位置を入れ替えないようにします。

電験3種 理論科目 直流回路 令和元年度 A問題5 問題文
令和元年度 理論科目 A問題5 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和元年度 A問題5

 図のように、七つの抵抗及び電圧E=100Vの直流電源からなる回路がある。この回路において、A-D間、B-C間の各電位差を測定した。このとき、A-D間の電位差の大きさ〔V〕及びB-C間の電位差の大きさ〔V〕の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

A-D間の電位差〔V〕B-C間の電位差〔V〕
(1)2860
(2)4072
(3)6028
(4)6880
(5)7240
図 電源E=100Vと7つの抵抗(60Ω・20Ω×3・4Ω・6Ω・10Ω)の回路(問題図)
図 電源E=100Vと7つの抵抗(60Ω・20Ω×3・4Ω・6Ω・10Ω)の回路(問題図)

出題のポイント:A-D間は「導線でつなぐ」のではなく「電位を測る」

この問題で最初に押さえたいのは、A-D間・B-C間に何も接続しないということです。電圧計を当てて測るだけなので、そこに電流は流れません。回路の動作は元のまま——各点の電位を同じ基準で求めて、引き算するだけです。

そこで手順はこうなります。①基準点を決める(電源の−側を0 V)②回路を合成して主要な節点電位を出す各枝をたどって電圧降下を引きながらA・B・C・Dの電位を求める差を取る

回路構成の把握も重要です。電源の+側から右端節点Xまでは上枝の60 Ω中央枝の20 Ω×3=60 Ωが並列。Xから−側までは 10 Ω+6 Ω+4 Ω=20 Ω の直列です。A・Bは中央枝の上、C・Dは下枝の上にあるので、たどる経路を取り違えないでください。

上側の60 Ω並列を30 Ω、下側の4 Ω、6 Ω、10 Ω直列を20 Ωへ合成し、右端節点40 VからA-D間72 V、B-C間40 Vを求めるGPT Image 2の出題ポイント図
上側を30 Ω、下側を20 Ωへ合成して右端節点を40 Vと求め、各点の電位差へ進みます。

問題の解説:節点Xを確定してから各点をたどる

使う公式:直並列合成と電位の計算
$$V_{\text{ある点}}=V_{\text{出発点}}-\sum(\text{途中の電圧降下}),\qquad |V_A-V_D|$$

※電位は基準点からの高さ。同じ基準で全部の点を測れば、あとは引き算するだけです。

STEP1 合成して右端節点Xの電位を求める

$$R_{+\to X}=60\parallel60=30\;[\Omega]$$
❶ 上枝と中央枝
20+20+20=60 Ωが上枝60 Ωと並列
$$R_{X\to-}=10+6+4=20\;[\Omega]$$
❷ 下枝
直列
$$I_{\text{全}}=\frac{100}{30+20}=2\;[\mathrm{A}]$$
❸ 全電流
$$V_X=2\times20=40\;[\mathrm{V}]$$
❹ 節点X
−側を0 Vとして

STEP2 各枝をたどってA・B・C・Dの電位を求める

+側からXまでの電圧降下は \(100-40=60\;\mathrm{V}\)。上枝と中央枝はどちらも60 Ωなので、電流は1 Aずつに等分されます。下枝にはXから−側へ全電流2 Aが流れます。

$$V_A=100-1\times20=80\;[\mathrm{V}]$$
❺ A点
+側から20 Ωを1本通過
$$V_B=100-1\times40=60\;[\mathrm{V}]$$
❻ B点
20 Ωを2本通過
$$V_C=40-2\times10=20\;[\mathrm{V}]$$
❼ C点
Xから10 Ωを通過
$$V_D=20-2\times6=8\;[\mathrm{V}]$$
❽ D点
さらに6 Ωを通過

D点の確認:Dから−側までは4 Ωが残っており、\(8-2\times4=0\;\mathrm{V}\)。基準点にきちんと戻ります ✓

100 Vから30 Ω、右端節点X40 V、20 Ω、0 Vが直列となる合成回路と、合成電流2 A、上側各60 Ω枝1 A、下側20 Ω枝2 Aを示すGPT Image 2のポイント解説図
合成回路は30 Ω+20 Ω=50 Ω、電流2 A、節点X=40 Vです。上側の等しい60 Ω枝には1 Aずつ流れます。

STEP3 電位差を計算する

$$|V_A-V_D|=|80-8|=72\;[\mathrm{V}]$$
❾ A-D間
$$|V_B-V_C|=|60-20|=40\;[\mathrm{V}]$$
❿ B-C間

電力収支での検算:上枝60 Ωは \(1^2\times60=60\;\mathrm{W}\)、中央枝の20 Ω×3も \(1^2\times60=60\;\mathrm{W}\)、下枝の20 Ωは \(2^2\times20=80\;\mathrm{W}\)。合計200 Wで、電源の \(100\times2=200\;\mathrm{W}\) と一致します ✓

答えA-D間 = 72 V、B-C間 = 40 V → 選択肢(5)
100 V、A80 V、B60 V、X40 V、C20 V、D8 V、0 Vの電位順序と、A-D間72 V、B-C間40 V、正解5を示すGPT Image 2の問題解説図
A=80 V、B=60 V、C=20 V、D=8 Vより、A-D間は72 V、B-C間は40 Vです。

4点の電位を一覧で確認する

各点の電位を表にすると、位置関係と電位の高さが対応しているのが分かります。

たどる経路電位 [V]
+側基準から100 V100
A+側 → 20 Ω(1 A)80
Bさらに 20 Ω(1 A)60
X(右端)さらに 20 Ω(1 A)40
CX → 10 Ω(2 A)20
Dさらに 6 Ω(2 A)8
−側さらに 4 Ω(2 A)0 ✓

上から下へ100 → 80 → 60 → 40 → 20 → 8 → 0 と滑らかに下がっています。電位が単調に減っていくかを確認するだけでも、計算ミスの多くは発見できます。

選択肢の構造を使って絞り込む

5つの選択肢を並べると、数字の組み合わせに規則性が見えます。

選択肢A-D間 [V]B-C間 [V]判定
(1)2860×
(2)4072×(正解の値が入れ替わっている)
(3)6028×
(4)6880×
(5)7240

注目すべきは(2)が正解の72と40を入れ替えたものだという点です。A-D間とB-C間を取り違えると、ちょうど(2)に着地します。どちらがどちらかを最後に必ず見直してください。A・Dは外側の2点(+側に近いAと−側に近いD)なので電位差が大きく、B・Cは内側の2点なので小さい——この直感でも判別できます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 「電位差を測定した」=その2点間に何も接続しない。回路の動作は変わらない
基準点を1つ決めて全部の点を同じ基準で測る。あとは引き算
③ 各点の電位は出発点 − 途中の電圧降下の合計で機械的に出せる
④ 最後に基準点に戻るか(D点からさらに4 Ωで0 Vになるか)を確認する

ラダー回路・電位差の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
令和元年度 A問題5本問(直流回路32)ラダー回路の各点の電位差A-D・B-C
平成27年度 A問題4直流回路42各抵抗の電圧からR₁・R₂・R₃を逆算
平成28年度 A問題6直流回路40直並列(ラダー)回路の電流比
平成29年度 A問題7直流回路38ラダー回路+電子の向き+電力量比
平成23年度 A問題6直流回路552つの接続点の電位が等しくなる抵抗

💡 覚え方
電位差の測定は回路を変えない基準を決める → 節点Xを出す → 各枝をたどって電圧降下を引く → 差を取る。本問は 100→80→60→40→20→8→0 と下がる。

⚠️ よくある間違い
A-D間とB-C間を取り違えないこと(誤答(2)は答えを入れ替えたもの)。上枝60 Ωと中央枝60 Ωは等しいので電流は1 Aずつ。A・Bは中央枝、C・Dは下枝にある点です。

まとめ

確認項目結果
+側-X間60 Ω∥(20 Ω+20 Ω+20 Ω)=30 Ω
X-−側間10 Ω+6 Ω+4 Ω=20 Ω
全電流・Xの電位2 A、VX=40 V
枝電流上側60 Ω枝1 A、中央60 Ω枝1 A、下側20 Ω枝2 A
各点の電位VA=80 V、VB=60 V、VC=20 V、VD=8 V
A-D間|80−8|=72 V
B-C間|60−20|=40 V
正答(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・分圧・電位差の関連問題:【理論】令和5年度下期A問題6

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