今回は平成27年度 理論科目 A問題4を解説します。90 V電源と上側の60 Ω抵抗3本、縦枝R1・R2・R3からなるラダー回路で、各節点電圧30 V・15 V・10 Vを手掛かりに3個の抵抗値を求めます。
30 V・15 V・10 Vは下側共通線を基準にした節点電圧です。隣り合う節点電圧の差を60 Ωで割って区間電流を求め、キルヒホッフの電流則(KCL)で縦枝電流を取り出し、最後にR=V/Iで逆算します。
平成27年度 理論科目 A問題4:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問4)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・選択肢・回路図は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成27年度 A問題4
図のような直流回路において、直流電源の電圧が90Vであるとき、抵抗R1〔Ω〕、R2〔Ω〕、R3〔Ω〕の両端電圧はそれぞれ30V、15V、10Vであった。抵抗R1、R2、R3のそれぞれの値〔Ω〕の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
R1 R2 R3 (1) 30 90 120 (2) 80 60 120 (3) 30 90 30 (4) 60 60 30 (5) 40 90 120

出題のポイント:30 V・15 V・10 Vは「節点電圧」であって60 Ωの電圧降下ではない
この問題最大の落とし穴が、与えられた3つの電圧の読み方です。30 V・15 V・10 Vは各縦枝(R₁・R₂・R₃)の両端電圧=下側共通線から測った節点電圧であって、上側に並ぶ60 Ωの電圧降下ではありません。
この読み方さえ正しければ、あとは機械的です。隣り合う節点電圧の差を60 Ωで割れば、その区間を流れる電流が出ます。$$I_{\text{区間}}=\frac{V_{\text{左}}-V_{\text{右}}}{60}$$そして各節点で「入ってきた電流 − 右へ進む電流 = 縦枝へ流れる電流」。最後に \(R=V/I\) で逆算——3段階で全部決まります。
もう一点、途中で丸めないこと。区間電流には \(1/12\;\mathrm{A}\) のような分数が出てきます。0.0833と丸めてから割ると、答えが120 Ωちょうどになりません。

問題の解説:区間電流 → 縦枝電流 → 抵抗値
STEP1 上側3本の60 Ωを流れる区間電流を求める
電源90 Vから順に、隣り合う節点電圧の差を60 Ωで割ります。
電源→第1節点
第1→第2節点
第2→第3節点。分数で保持
STEP2 各節点で電流則を使い、縦枝電流を取り出す
「入ってきた電流」から「右へ進む電流」を引けば、縦枝へ落ちる電流が残ります。
右に進む先がないので全部R₃へ

STEP3 R = V ÷ I で逆算する
30 V ÷ (3/4) A
15 V ÷ (1/6) A
10 V ÷ (1/12) A
右端から合成しての検算:\(60+120=180\)、\(90\parallel180=60\)、\(60+60=120\)、\(40\parallel120=30\)、最後に \(60+30=90\;\Omega\)。電源電流は \(90/90=1\;\mathrm{A}\) で、STEP1の \(I_0=1\;\mathrm{A}\) と一致します ✓

選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢の3つの抵抗値でラダー回路を組み、右端から合成して節点電圧が30 V・15 V・10 Vになるかを確かめました。
| 選択肢 | (R₁, R₂, R₃) [Ω] | 入力抵抗 [Ω] | 電源電流 [A] | 節点電圧 [V] | 判定 |
| (1) | (30, 90, 120) | 84.0 | 1.071 | 25.7 / 12.9 / 8.6 | × |
| (2) | (80, 60, 120) | 105.4 | 0.854 | 38.8 / 16.6 / 11.1 | × |
| (3) | (30, 90, 30) | 83.3 | 1.080 | 25.2 / 10.8 / 3.6 | × |
| (4) | (60, 60, 30) | 96.9 | 0.929 | 34.3 / 12.9 / 4.3 | × |
| (5) | (40, 90, 120) | 90.0 | 1.000 | 30.0 / 15.0 / 10.0 | ○ |
入力抵抗がちょうど90 Ωになるのは(5)だけです。電源が90 Vなので電流が1.000 Aというきれいな値になり、そこから節点電圧も30/15/10 Vとぴったり揃います。問題として成立するよう抵抗値が逆算されていることが分かります。
丸めが答えを変える — 1/12 を 0.0833 にしてはいけない
この問題で最も危ないのが \(I_{R_3}=1/12\;\mathrm{A}\) の扱いです。0.0833と丸めて計算すると$$R_3=\frac{10}{0.0833}=120.05\ldots\;[\Omega]$$選択肢に120があるので今回は選べますが、もし選択肢に「120」と「121」が並んでいたら判断できません。
同様に \(I_{R_2}=1/6\) を0.1667とすると \(R_2=15/0.1667=89.98\ldots\) となり、90ちょうどにはなりません。分数のまま最後まで持ち歩けば \(15\times6=90\) と暗算で出ます——むしろ速いのです。
電験の計算問題は、正しく解けば最後にきれいな値へ収束するよう設計されていることがほとんどです。途中で中途半端な小数が続いたら「分数に戻す」——これを習慣にすると、計算が速くなるうえに検算にもなります。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 図の電圧が節点電圧か素子の電圧降下かを最初に確認する
② 節点電圧が与えられていれば差を取って割るだけで電流が出る。連立不要
③ 各節点で「入る − 右へ進む = 縦枝」。末端は全部が縦枝へ
④ 1/12 や 1/6 は分数のまま持ち歩く。R=V÷I の割り算がむしろ楽になる
ラダー回路・節点電圧の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成27年度 A問題4 | 本問(直流回路42) | 各抵抗の電圧からR₁・R₂・R₃を逆算 |
| 令和元年度 A問題5 | 直流回路32 | ラダー回路の各点の電位差 |
| 平成28年度 A問題6 | 直流回路40 | 直並列(ラダー)回路の電流比 I₂/I₁ |
| 平成29年度 A問題7 | 直流回路38 | ラダー回路+電子の向き+電力量比 |
| 平成24年度 A問題6 | 直流回路53 | 直並列回路でI₁からI₄を求める |
💡 覚え方
節点電圧の差 ÷ 60 Ω = 区間電流 → 各節点で「入る − 右へ = 縦枝」 → R = V ÷ I。分数(3/4、1/6、1/12)のまま計算すると割り算がきれいに決まる。
⚠️ よくある間違い
30 V・15 V・10 Vは節点電圧であって60 Ωの電圧降下ではありません。0.0833や0.1667に丸めないこと(120や90ちょうどにならなくなります)。末端のR₃には最後の区間電流がそのまま全部流れます。
まとめ
| 確認項目 | 厳密値 |
| 上側区間電流 | I0=1 A、I1=1/4 A、I2=1/12 A |
| 縦枝電流 | IR1=3/4 A、IR2=1/6 A、IR3=1/12 A |
| 抵抗値 | R1=40 Ω、R2=90 Ω、R3=120 Ω |
| 入力抵抗・電源電流 | 90 Ω、1 A |
| 正答 | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・ラダー回路・電流則の関連問題:【理論】令和元年度A問題5

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