今回は平成23年度 理論科目 A問題6を解説します。200 V電源に二つの直列抵抗枝が並列接続され、電源電流が25 A、二つの中点電位がVa=Vbとなるときの抵抗r・Rの組合せを求めます。分圧条件と全電流条件を分けて整理し、枝電流・電位・合成抵抗・電力で検算します。
左枝を16 Ω+r、右枝を8 Ω+Rと見ます。下端が接地されているため、Vaはrの電圧、VbはRの電圧です。まずVa=Vbからr=2Rを導き、次に二つの枝電流の和が25 Aという条件へ代入します。
平成23年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の平成23年度公式問題PDF(理論・問6、PDF 8ページ、冊子表示-5-、管理記号T1-R008)と公式解答PDFを照合して進めます。下の問題画像はサイト独自の科目見出しを加え、公式のページ番号と管理記号を省いていますが、問題文、電源値、回路、記号、単位、五つの選択肢は公式内容と一致するため保持しています。

電験3種 理論科目 【直流回路・分圧と並列枝電流】 平成23年度 A問題6
図の直流回路において、200〔V〕の直流電源から流れ出る電流が25〔A〕である。16〔Ω〕とr〔Ω〕の抵抗の接続点aの電位をVa〔V〕、8〔Ω〕とR〔Ω〕の抵抗の接続点bの電位をVb〔V〕とする。Va=Vbとなるr〔Ω〕とR〔Ω〕の値の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
r〔Ω〕 R〔Ω〕 (1) 2.9 5.8 (2) 4.0 8.0 (3) 5.8 2.9 (4) 8.0 4.0 (5) 8.0 16

出題のポイント:条件が2つある問題は、2つとも使わないと解けない
この問題には条件が2つあります。ひとつは「電源から流れ出る電流が25 A」、もうひとつは「Vₐ=V_b」。未知数もr・Rの2つなので、条件2つ・未知数2つでちょうど解けます。
ところが受験者の多くは、どちらか片方だけを使って手が止まります。2つの条件を別々の式にして、順番に使う——それがこの問題の骨格です。
| 条件 | 式にすると | 何が分かるか |
| Vₐ=V_b(電位の条件) | \(\dfrac{200r}{16+r}=\dfrac{200R}{8+R}\) | r と R の比(r=2R) |
| I=25 A(電流の条件) | \(\dfrac{200}{16+r}+\dfrac{200}{8+R}=25\) | r と R の大きさ |
比を先に出してから大きさを決める。この順番なら、2つ目の式に代入した時点で未知数が1つになり、一気に解けます。逆順だと2元連立のまま重くなります。

なぜ「下側の抵抗の電圧=節点電位」なのか
Vₐ、V_bは「点aの電位」「点bの電位」です。電位は必ず基準点との差で測ります。この回路では下端が接地(0 V)なので、
基準が0 Vだから、そのままVₐ
下側抵抗の端子電圧=節点電位
同じ理由で \(V_b=R\,I_2\) です。つまり「aから下を見て、地面までにある抵抗の電圧を書く」だけ。上側の16 Ωや8 Ωは、この時点では出てきません。
これを分圧の式で書けば、左枝は16 Ωとrの直列なので \(V_a=200\times\dfrac{r}{16+r}\)、右枝は \(V_b=200\times\dfrac{R}{8+R}\) となります。
問題の解説:比を出してから大きさを決める
STEP1 Vₐ=V_b から r=2R を導く
200は両辺に共通なので消える
分母を払う
rR が両辺に現れて消える
積の項が消えるので一次式になる
ここでrR が消えるのが決定的です。もし残っていれば2次方程式になりますが、消えるおかげで「rはRの2倍」という単純な比だけが残ります。
STEP2 電流の条件に r=2R を代入する
電源電流は2枝の和
右枝の分母のちょうど2倍になる
300は100+200。電源が300 Vという意味ではない
STEP3 R、r の順に求める
選択肢はr、Rの順に並ぶことに注意

3通りの検算:①枝電流は \(I_1=200/24=25/3\;\mathrm{A}\)、\(I_2=200/12=50/3\;\mathrm{A}\)、和は25 A ✓ ②節点電位は \(V_a=8\times25/3=200/3\;\mathrm{V}\)、\(V_b=4\times50/3=200/3\;\mathrm{V}\) で一致 ✓ ③合成抵抗は \(24\parallel12=8\;\Omega\)、\(200/8=25\;\mathrm{A}\) ✓

誤答の正体:条件を「片方だけ」使うとどこに着地するか
5つの選択肢を実際に回路へ代入し、2つの条件それぞれを満たすかを確認しました。結果が誤答の設計意図をそのまま語っています。
| 選択肢 | r, R [Ω] | I₁+I₂ [A] | Vₐ, V_b [V] | 判定 |
| (1) | 2.9, 5.8 | 25.07(ほぼ25) | 30.7, 84.1(不一致) | 電流だけ○ × |
| (2) | 4.0, 8.0 | 22.50 | 40.0, 100.0(不一致) | 両方× × |
| (3) | 5.8, 2.9 | 27.52 | 53.2, 53.2(一致) | 電位だけ○ × |
| (4) | 8.0, 4.0 | 25.00 | 66.7, 66.7(一致) | 両方○ ○ |
| (5) | 8.0, 16.0 | 16.67 | 66.7, 133.3(不一致) | 両方× × |
見事な作りです。(3)は電位条件だけを満たし、(1)はその(3)のr・Rを入れ替えたもので電流条件だけを満たす。片方の条件で満足して手を止めた人が、ちょうど引っかかるように配置されています。
そして(2)は正解(4)のr・Rを入れ替えたものです。計算は正しくてもR=4、r=8と求めた順のまま「4.0、8.0」を選ぶと(2)を掴みます。選択肢の見出しは「r、R」の順——最後の1秒で確認する価値があります。
同じ手が効く問題のパターン
「2枝の中点電位が等しい」という条件は、実はブリッジ回路の平衡条件そのものです。ホイートストンブリッジで中央の検流計に電流が流れない状態は、まさに左右の中点電位が等しい状態。この問題は、ブリッジの平衡条件を分圧の言葉で書き直したものと見ることができます。
上下の比が左右で等しい
「対角の積が等しい」と同じ式
実際に \(16\times R=8\times r\) は「たすきに掛けた積が等しい」というブリッジ平衡そのものです。ここに気づけば、STEP1は式変形なしで暗算で r=2R と書けます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 条件が2つある問題は、条件2つ・未知数2つを最初に確認。どちらも使う前提で立式する
② 比が出る条件(電位・平衡)を先に処理し、大きさが出る条件(電流・電力)に代入する
③ 節点電位は「そこから接地までにある抵抗の電圧」。上側の抵抗は書かない
④ ブリッジ形なら \(16R=8r\)(たすき掛けの積)で1行で比が出る
⑤ 答えを書く直前に選択肢の並び順(r、Rか R、rか)を必ず確認
💡 覚え方
「電位はタテ、電流はヨコ」。Vₐ=V_bは各枝をタテに見て分圧、I=25 Aは枝をヨコに足す。見る向きが違う2つの条件だと意識すれば混ざりません。
⚠️ よくある間違い
25 Aを片方の枝電流だと思い込むのが最頻出のミスです。問題文は「電源から流れ出る電流」=全電流。また、300/(8+R)=25 の300を電源電圧と勘違いしないこと。これは100+200をまとめた数値にすぎません。
まとめ
| 電位条件 | Va=Vb → r=2R |
| 全電流条件 | 200/(16+r)+200/(8+R)=25 A |
| 枝電流 | I1=25/3 A、I2=50/3 A |
| 節点電位 | Va=Vb=200/3 V |
| 合成抵抗 | 24||12=8 Ω |
| 正答 | r=8 Ω、R=4 Ω、(4) |
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