今回は平成24年度 理論科目 A問題5を解説します。電圧源EとR1・R2・R3からなる回路をノートン等価回路へ変換し、電流源INとコンダクタンスGNを求めます。短絡電流と端子抵抗を別々に求め、開放電圧・単位・数値代入で検算します。
ノートン等価の基本は、IN=端子a-bを短絡したときの電流の大きさ、GN=電源を零にして端子から見た抵抗RNの逆数です。短絡線ではa→bに電流が流れ、等価電流源の内部矢印はその戻りを供給するb→aです。
平成24年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の平成24年度公式問題PDF(理論・問5、PDF 8ページ、冊子表示-5-、管理記号T1-R008)と公式解答PDFを照合して進めます。下の再構成画像は図1の接続・極性、式と選択肢は公式と一致しますが、図2右端の丸端子とa・b表示が画像端で見切れています。二端子回路であることは公式PDFと新しい解説図で補って確認してください。

電験3種 理論科目 【直流回路・ノートン等価回路】 平成24年度 A問題5
図1のように電圧がE〔V〕の直流電圧源で構成される回路を、図2のように電流がI〔A〕の直流電流源(内部抵抗が無限大で、負荷変動があっても定電流を流出する電源)で構成される等価回路に置き替えることを考える。この場合、電流I〔A〕の大きさは図1の端子a-bを短絡したとき、そこを流れる電流の大きさに等しい。また、図2のコンダクタンスG〔S〕の大きさは図1の直流電圧源を短絡し、端子a-bからみたコンダクタンスの大きさに等しい。I〔A〕とG〔S〕の値を表す式の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
下記でD=R1R2+R2R3+R3R1とする。I〔A〕とG〔S〕の値を表す式の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
I〔A〕 G〔S〕 (1) R1E/D (R2+R3)/D (2) R2E/D (R1+R2)/D (3) R2E/D (R2+R3)/D (4) R1E/D (R1+R2)/D (5) R3E/D (R1+R2)/D

出題のポイント:2つの操作を混ぜないこと
ノートン等価回路は「電流源1個+コンダクタンス1個の並列」で複雑な回路を置き換える手法です。求めるものは2つだけ——
| 求めるもの | 操作 | 残すもの・消すもの |
| IN(電流源) | 端子a-bを短絡して、そこを流れる電流を測る | 電源Eは残す |
| GN(コンダクタンス) | 端子から見た抵抗RNを求めて逆数を取る | 電源Eを短絡して消す |
この2つの操作を混ぜてはいけません。INを求めるときは電源を生かしたまま端子を短絡、GNを求めるときは端子を開いたまま電源を短絡——短絡する場所が正反対です。ここを取り違えるのが最頻出のミスになります。
なお共通分母 \(D=R_1R_2+R_2R_3+R_3R_1\) の単位はΩ²。これを覚えておくと、\(R_2E/D\) が \(\Omega\cdot\mathrm{V}/\Omega^2=\mathrm{A}\)、\((R_1+R_2)/D\) が \(\Omega/\Omega^2=\mathrm{S}\) と単位だけで組合せを検証できます。

問題の解説:短絡電流と端子抵抗を別々に求める
STEP1 端子を短絡して IN を求める
a-bを短絡すると、R₂とR₃が並列になります。電源から流れ出た電流がこの並列部で分かれ、R₃側が短絡線へ続くので、その分だけがINです。
短絡でR₂とR₃が並列になる
分母を通分するとDが現れる
相手のR₂が分子
STEP2 電源を短絡して GN を求める
今度は端子を開いたまま、理想電圧源Eを短絡(導線に置換)します。するとR₁とR₂が並列になり、それにR₃が直列でつながって見えます。
通分するとDが分子に来る
コンダクタンスは抵抗の逆数

STEP3 開放電圧で検算する
端子を開放するとR₃には電流が流れないので、電圧はR₁とR₂の単純な分圧になります。
R₃は無関係
Dが約分されて同じ式に

選択肢に数値を入れて検算する
\(E=12\;\mathrm{V}\)、\(R_1=3\;\Omega\)、\(R_2=6\;\Omega\)、\(R_3=2\;\Omega\) として実際に計算すると、\(D=36\;\Omega^2\)、\(I_N=2.00\;\mathrm{A}\)、\(R_N=4\;\Omega\) なので \(G_N=0.25\;\mathrm{S}\) です。開放電圧は \(12\times6/9=8\;\mathrm{V}\) で、\(I_N/G_N=2/0.25=8\;\mathrm{V}\) ——一致します ✓
| 選択肢 | I [A] | G [S] | 判定 |
| (1) | R₁E/D = 1.00 | (R₂+R₃)/D = 0.222 | ×(両方とも違う) |
| (2) | R₂E/D = 2.00 | (R₁+R₂)/D = 0.250 | ○ |
| (3) | R₂E/D = 2.00 | (R₂+R₃)/D = 0.222 | ×(Gが誤り) |
| (4) | R₁E/D = 1.00 | (R₁+R₂)/D = 0.250 | ×(Iが誤り) |
| (5) | R₃E/D = 0.67 | (R₁+R₂)/D = 0.250 | ×(Iが誤り) |
選択肢の構造がよくできています。Iは3通り(R₁E/D、R₂E/D、R₃E/D)、Gは2通りの組み合わせで、片方だけ正しい選択肢が2つずつ用意されています。IとGを別々に確定してから組合せを選ぶ——これが確実な手順です。
Gの誤答 \((R_2+R_3)/D\) は、電源を短絡したあとの構成を「R₂とR₃が並列でR₁が直列」と読み違えた場合に出ます。端子a-bはR₃の先にあるので、端子から見るとまずR₃を通り、その先でR₁とR₂が並列——順序を図で確認してください。
ノートンとテブナンは同じものの裏表
テブナン等価は「電圧源+直列抵抗」、ノートン等価は「電流源+並列コンダクタンス」。同じ回路を電圧側から見るか電流側から見るかの違いで、次の関係で行き来できます。$$V_{\mathrm{th}}=\frac{I_N}{G_N}=I_NR_N,\qquad R_{\mathrm{th}}=R_N=\frac{1}{G_N}$$内部抵抗はどちらも同じで、電源だけが電圧源⇔電流源に入れ替わります。
使い分けの目安は負荷のつなぎ方です。負荷が直列に入る計算ならテブナン、並列に入る計算(コンダクタンスを足していく形)ならノートンが楽になります。本問のように「電流源とコンダクタンスの組」を問われたらノートン、「電圧源と抵抗の組」ならテブナン——問題文が指定してくれるので迷う必要はありません。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① INとGNの操作を混ぜない(Iは端子短絡・電源残す/Gは端子開放・電源短絡)
② 共通分母Dの単位はΩ²。単位を追えばIとGの形が正しいか即座に分かる
③ 検算は\(I_N/G_N=V_{\text{開放}}\)。開放電圧は単純な分圧なので暗算できる
④ 組合せ問題はIとGを別々に確定してから選ぶ。片方だけ合う選択肢が用意されている
等価回路変換の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成24年度 A問題5 | 本問(直流回路52) | 電圧源をノートン等価に変換 |
| 令和2年度 A問題7 | 直流回路31 | 非平衡ブリッジをテブナンの定理で解く |
| 令和7年度上期 A問題6 | 直流回路6 | 3状態から短絡電流を求める |
| 令和6年度上期 A問題7 | 直流回路12 | 最大電力の条件(テブナン抵抗) |
| 令和5年度上期 A問題6 | 直流回路19 | 電圧源と電流源を含む回路 |
💡 覚え方
IN=端子を短絡した電流(電源は残す)、GN=電源を短絡した端子抵抗の逆数。検算は \(I_N/G_N=\) 開放電圧。Dの単位はΩ²。
⚠️ よくある間違い
2つの操作を混ぜないこと(短絡する場所が正反対)。GNを求めるとき、端子から見るとR₃が直列でその先にR₁∥R₂です(R₂∥R₃ではありません)。組合せ問題は片方だけ合う誤答が仕込まれています。
まとめ
| 短絡電流IN | R2E/D、短絡線ではa→b |
| 端子抵抗RN | R3+(R1∥R2)=D/(R1+R2) |
| コンダクタンスGN | (R1+R2)/D |
| 開放電圧検算 | IN/GN=R2E/(R1+R2) |
| 正答 | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・等価電源・テブナンの関連問題:【理論】令和2年度A問題7

コメント