今回は令和7年度下期 理論科目 A問題6を解説します。内部抵抗r、起電力Eの電池に可変抵抗Rを接続し、R=2.25 ΩでI=3 A、R=3.45 ΩでI=2 Aとなったときの起電力E [V]を求める問題です。同じ電池を2つの負荷条件で測定した結果から、内部抵抗と起電力を同時に決めます。
図の放電電流を正方向にとると、閉回路の電圧則からE−Ir−IR=0、すなわちE=I(R+r)です。Eとrは同じ電池の定数なので、2条件で得られる式を連立できます。端子電圧U=IR=E−Irと起電力Eを区別することも重要です。
令和7年度下期 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
問題図では、理想起電力Eと内部抵抗rを含む電池、外部の可変抵抗Rが1つの閉回路をつくっています。2回の測定で同じなのはEとr、変わるのはRとIです。Rが大きい条件でIが小さくなることも確認してください。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題6
電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和7年度下期 A問題6
図のように、内部抵抗r〔Ω〕、起電力E〔V〕の電池に抵抗値R〔Ω〕の可変抵抗器を接続した回路がある。R=2.25Ωにしたとき、回路を流れる電流はI=3Aであった。次に、R=3.45Ωにしたとき、回路を流れる電流はI=2Aとなった。この電池の起電力E〔V〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)9.30 (2)7.20 (3)7.05 (4)6.90 (5)6.75〔V〕
出題のポイント:起電力と端子電圧は別物
実際の電池は、理想的な起電力Eと内部抵抗rが直列につながったモデルで表します。電流Iを流すと内部抵抗でも \(Ir\) だけ電圧が落ちるので、外に取り出せる電圧(端子電圧U)は起電力より小さくなります。$$U=E-Ir$$電流をたくさん流すほど端子電圧が下がる——スマホの電池が高負荷で電圧降下するのと同じ現象です。この問題で問われているのはE(起電力)であって、U(端子電圧)ではありません。
そしてもう一つの柱が「同じ電池を使っている」という条件です。2回の測定で変わるのは外部抵抗RとIだけで、Eとrは共通の定数。だから2本の式を連立できます。未知数2つに対して式が2本——これで解ける、と見通しを立てられるかが勝負です。

問題の解説:2条件を等置してrを求め、Eへ戻す
STEP1 条件1を式にする
端子電圧6.75 V+内部降下3r
STEP2 条件2を式にする
端子電圧6.90 V+内部降下2r
電流が3 Aから2 Aに減ったことで、端子電圧が6.75 Vから6.90 Vへ上がっている点に注目してください。負荷を軽くすると内部降下が減り、端子電圧が起電力に近づくという電池の性質がそのまま数字に出ています。

STEP3 同じEなので等置して解く
Eは共通なので消える
内部抵抗が確定
起電力が確定
検算:条件2へ戻しても \(E=2(3.45+0.15)=2\times3.60=7.20\;\mathrm{V}\)。どちらの条件からも同じEが出るので確定です。連立方程式を解いたら使わなかった方の式に戻す——これが最も確実な検算になります。

選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢のEについて、条件1から内部抵抗を \(r=E/3-2.25\) と逆算し、その電池が条件2で本当に2 Aを流すかを確かめます。両方を満たすのは1つだけです。
| 選択肢 | E [V] | 条件1から r [Ω] | 条件2の電流 E/(3.45+r) [A] | 判定 |
| (1) | 9.30 | 0.850 | 2.163 | × |
| (2) | 7.20 | 0.150 | 2.000 | ○ |
| (3) | 7.05 | 0.100 | 1.986 | × |
| (4) | 6.90 | 0.050 | 1.971 | × |
| (5) | 6.75 | 0.000 | 1.957 | × |
この表は選択肢の作られ方も教えてくれます。(5) 6.75 Vはr=0、つまり内部抵抗を無視した(理想電池と考えた)ときの値で、条件1の端子電圧そのものです。(4) 6.90 Vは条件2の端子電圧。どちらも「端子電圧を答えてしまう」典型的な誤りに対応しています。起電力は必ず端子電圧より大きい、と覚えておけばこの2つは即座に消せます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電池の問題はE=IR+Ir(端子電圧+内部降下)の1本だけ覚えておけばよい
② 「同じ電池」「同じ電源」と書かれていたら連立の合図。共通の定数を等置する
③ 選択肢にIRの値そのもの(本問なら6.75と6.90)が混ざっていたら、それは端子電圧の罠
④ 解いたあとは使わなかった方の条件に代入して検算する
電池・内部抵抗の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和7年度下期 A問題6 | 本問(直流回路2) | 2条件から起電力Eを求める |
| 平成18年度 A問題5 | 直流回路67 | 内部抵抗を含む電池の起電力 |
| 平成28年度 A問題5 | 直流回路39 | 電池4個並列の電源で負荷の消費電力 |
| 令和3年度 A問題7 | 直流回路28 | 電池n個と可変抵抗で消費電力が最大になる電流 |
💡 覚え方
E=I(R+r)。同じ電池の2条件なら等置してrを先に求め、あとでEに戻す。端子電圧U=IRは起電力より必ず小さい。
⚠️ よくある間違い
6.75 Vと6.90 Vは各条件の端子電圧であって起電力ではありません。内部降下Irを足した7.20 Vが答えです。またE=R+rのように電流Iを落とすと単位が合わなくなる(Ωのままになる)ので、単位で気づけます。
まとめ
| 放電時の式 | E=Ir+IR=I(r+R) |
| 条件1 | R=2.25 Ω、I=3 A、U1=6.75 V、E=6.75+3r |
| 条件2 | R=3.45 Ω、I=2 A、U2=6.90 V、E=6.90+2r |
| 内部抵抗 | r=0.15 Ω |
| 答え | E=7.20 V …(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・内部抵抗と起電力の関連問題:【理論】平成18年度A問題5

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