直流回路61【電験3種 理論】直列充電したコンデンサを並列に繋ぎ直すと電圧は?平成20年度 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 コンデンサの電荷保存 平成20年度 A問題5 つなぎ替えで電圧が変わる!コンデンサの再接続

今回は平成20年度 理論科目 A問題5を解説します。C1=4 μFとC2=2 μFを直列に接続して6 Vで充電し、電源から切り離した後、同じ極性の端子同士を並列接続したときの共通端子電圧V [V]を求めます。この問題は令和4年度上期 理論科目 A問題6として同じ文章・回路・数値・選択肢で再出題されています。

直列充電では両コンデンサの電荷の大きさは等しく、それぞれ8 μCです。同極性で並列接続すると、共通正極ノードの電荷+16 μCと共通負極ノードの電荷-16 μCが保存されます。接続後は個々の電荷が再分配されるため、各コンデンサが8 μCのままではありません。

目次

平成20年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

平成20年度の公式問題PDFは現在の公式公開範囲外ですが、保存された公式標準解答PDFで理論問5の正答が(3)であることを確認しました。また、同一再出題である令和4年度上期の公式問題PDF(理論・問6、PDF 9ページ、冊子表示-6-、管理記号T1-R 009)と公式解答PDFを照合しています。下の問題画像は科目見出しを加え、公式のページ番号と管理記号を省いた再構成ですが、問題文、回路、極性、数値、五つの選択肢は公式再出題と一致するため保持します。

電験3種 理論科目 直流回路 平成20年度 A問題5 問題文
平成20年度 理論科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題5

電験3種 理論科目 【コンデンサの電荷保存】 平成20年度 A問題5

 図1に示すように、静電容量C1=4μFとC2=2μFの二つのコンデンサが直列に接続され、直流電圧6Vで充電されている。次に電荷が蓄積されたこの二つのコンデンサを直流電源から切り離し、電荷を保持したまま同じ極性の端子同士を図2に示すように並列に接続する。並列に接続後のコンデンサの端子間電圧の大きさV〔V〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)2/3 (2)4/3 (3)8/3 (4)16/3 (5)32/3

図1 C₁・C₂の直列充電/図2 同極性で並列接続(問題図)
図1 C₁・C₂の直列充電/図2 同極性で並列接続(問題図)

出題のポイント:電源を外した後に保存されるのは「電圧」ではなく「電荷」

この問題の核心は一行で言えます。電源から切り離した瞬間、行き場を失った電荷はその場に閉じ込められる——だから電荷が保存量になります。

電源につながっている間は、電圧が電源に固定され、電荷はいくらでも出入りできます。切り離すと立場が逆転し、電荷が固定され、電圧のほうが変化するのです。

状態固定されるもの変化するもの理由
電源に接続中電圧(6 V)電荷電源が電荷を供給・吸収できる
電源から切り離し後電荷電圧孤立したノードから電荷が出ていけない

では、どの範囲の電荷が保存されるのか。答えは「外部とつながっていない孤立した導体のかたまり(ノード)ごと」です。並列につなぎ直した後、C₁とC₂の正極同士は1本の線でつながって1つの孤立ノードになります。その中で電荷は再分配されますが、合計は変わりません。

4マイクロファラドと2マイクロファラドのコンデンサを6ボルトで直列充電し、電源を切り離して左を共通正極、右を共通負極として並列接続する出題のポイント図
直列充電、電源の切り離し、正極同士・負極同士の並列接続という三つの状態を、極性と回路構成に注目して整理します。

問題の解説:直列充電 → ノードの電荷を集計 → 並列で割る

使う公式:直列・並列の合成と電荷保存
$$C_s=\frac{C_1C_2}{C_1+C_2},\qquad C_p=C_1+C_2,\qquad Q=CV,\qquad \sum Q_{\text{ノード}}=\text{一定}$$

直列では各コンデンサの電荷が等しく並列では各コンデンサの電圧が等しくなります。

STEP1 直列充電での電荷と電圧を求める

直列接続では、中間の導体は外部から絶縁されています。そこに現れる電荷は+Qと−Qで打ち消し合う分だけ——つまり両方のコンデンサの電荷は必ず同じ大きさになります。容量が違っても同じです。

$$C_s=\frac{4\times2}{4+2}=\frac{8}{6}=\frac{4}{3}\;[\mu\mathrm{F}]$$
❶ 直列合成容量
小さいほうの2 μFよりさらに小さい
$$Q=C_sE=\frac{4}{3}\times6=8\;[\mu\mathrm{C}]$$
❷ 共通の電荷
C₁もC₂も8 μC
$$V_1=\frac{8}{4}=2\;[\mathrm{V}],\quad V_2=\frac{8}{2}=4\;[\mathrm{V}]$$
❸ 各端子電圧
和は6 V ✓ 容量が小さいほど電圧が高い

STEP2 同極性で並列につなぎ、ノードの電荷を集計する

正極同士を結ぶと、そこは1つの孤立ノードになります。もともと正極には+8 μCと+8 μCがあったので、

$$Q_{+}=(+8)+(+8)=+16\;[\mu\mathrm{C}]$$
❹ 共通正極ノード
同じ符号どうしなので足し算
$$Q_{-}=(-8)+(-8)=-16\;[\mu\mathrm{C}]$$
❺ 共通負極ノード
回路全体の正味は0(当然)
$$C_p=C_1+C_2=4+2=6\;[\mu\mathrm{F}]$$
❻ 並列合成容量
並列は単純な和

「同極性」という指定が効いています。もし逆極性(+と−)を結べば \(8-8=0\;\mu\mathrm{C}\) となり、電圧は0 Vになります。問題文が図2でわざわざ極性を指定しているのは、そのためです。

STEP3 共通電圧を求め、電荷の再分配を確認する

$$V=\frac{Q_{+}}{C_p}=\frac{16}{6}=\frac{8}{3}\approx2.67\;[\mathrm{V}]$$
❼ 共通電圧
並列なので両方に同じ電圧
$$Q_1’=C_1V=4\times\tfrac83=\tfrac{32}{3}\approx10.7\;[\mu\mathrm{C}]$$
❽ C₁の新しい電荷
8 μCから増えた
$$Q_2’=C_2V=2\times\tfrac83=\tfrac{16}{3}\approx5.3\;[\mu\mathrm{C}]$$
❾ C₂の新しい電荷
8 μCから減った

和は \(32/3+16/3=48/3=16\;\mu\mathrm{C}\) で、接続前の合計と一致します ✓ 個々の電荷は8 μCのままではなく、C₂からC₂へ約2.7 μCが移動して落ち着きます。

直列合成容量4割る3マイクロファラド、各コンデンサの初期電荷8マイクロクーロン、初期電圧2ボルトと4ボルトを求めるポイント解説図
直列合成容量から各8 μCを求めると、初期電圧はC₁が2 V、C₂が4 Vとなり、合計6 Vを確認できます。
答え\(V=\dfrac{8}{3}\approx2.67\;[\mathrm{V}]\) → 選択肢(3)
同極性接続で正極側16マイクロクーロンと負極側マイナス16マイクロクーロンを保存し、並列容量6マイクロファラドから8割る3ボルトと正答3を導く問題の解説図
同極性接続では同じ側の電荷を足します。共通正極ノードの16 μCを並列合成容量6 μFで割ると、V=8/3 V、正答は(3)です。
並列接続後の共通電圧8割る3ボルトから、C1の最終電荷32割る3マイクロクーロンとC2の最終電荷16割る3マイクロクーロンを求め、合計16マイクロクーロンを検算する詳細解説図
接続後の個々の電荷は再分配されます。C₁は32/3 μC、C₂は16/3 μCとなり、共通正極ノードの合計16 μCは保存されます。
容量加重平均、2ボルトと4ボルトの間という電圧範囲、接続前後の静電エネルギーを用いて8割る3ボルトを三通りに検算する詳細解説図
容量加重平均、電圧範囲、静電エネルギーの三方向から検算します。電荷は保存されますが、静電エネルギーは接続時に一部が損失や放射へ移ります。

誤答の正体:選択肢は2倍ずつの階段になっている

5つの選択肢を並べると \(2/3,\;4/3,\;8/3,\;16/3,\;32/3\) ——きれいに2倍ずつです。つまり電荷を2倍・半分と数え間違えると、必ず隣の選択肢に着地する設計になっています。

各選択肢が「保存電荷をいくらだと思ったか」に翻訳すると(\(Q=V\times C_p=V\times6\))、意図が浮かび上がります。

選択肢V [V]暗に仮定した保存電荷 Qその誤解の中身判定
(1)2/3 ≒ 0.674 μC電荷を半分に数えた×
(2)4/3 ≒ 1.338 μC片方のコンデンサ分だけ(8 μCを足し忘れ)×
(3)8/3 ≒ 2.6716 μC正解:正極ノードの8+8=16 μC
(4)16/3 ≒ 5.3332 μC正極と負極を両方足した(16+16)×
(5)32/3 ≒ 10.764 μCさらに倍。再分配後の \(Q_1’=32/3\) を電圧と取り違えた場合にも一致×

特に(4)は「正極ノードと負極ノードの電荷を両方足した」ケースです。正味の電荷は0であり、電圧を決めるのは片側だけ——正極から負極への電位差を見ているのですから、二重に数えてはいけません。

(5)は単位の取り違えです。再分配後のC₁の電荷は32/3 μCで、選択肢(5)の32/3 Vと数字が一致します。計算の途中で出た数値をそのまま答えにすると引っかかります。

3方向からの検算

答えが出たら、違う道すじで同じ値にたどり着くかを確認します。3通り紹介します。

検算1 容量で重み付けした平均になっているか

$$V=\frac{C_1V_1+C_2V_2}{C_1+C_2}=\frac{4\times2+2\times4}{4+2}=\frac{16}{6}=\frac{8}{3}$$
❿ 加重平均の形
分子は電荷の和そのもの

この式は「共通電圧は各コンデンサの電圧を容量で重み付けした平均」と読めます。単純平均の \((2+4)/2=3\;\mathrm{V}\) ではないことに注意してください。容量の大きいC₁(4 μF、2 V)に引っ張られて、平均より低い2.67 Vに落ち着きます。

検算2 値が2 Vと4 Vの間に入っているか

結果は必ず元の2つの電圧の間になります。2.67 Vは2 Vと4 Vの間——範囲チェックだけで(1)(4)(5)は即座に消えるので、時間がないときの武器になります。

検算3 静電エネルギーは減っているか

$$W_{\text{前}}=\tfrac12\cdot4\cdot2^2+\tfrac12\cdot2\cdot4^2=8+16=24\;[\mu\mathrm{J}]$$
⓫ 接続前
$$W_{\text{後}}=\tfrac12\cdot6\cdot\left(\tfrac83\right)^2=\frac{64}{3}\approx21.3\;[\mu\mathrm{J}]$$
⓬ 接続後
8/3 μJ だけ減っている

電荷は保存されるのに、エネルギーは減ります。矛盾ではありません。つなぎ替えた瞬間に電位差のある2つのコンデンサが導線で結ばれ、過渡的に大電流が流れて導線の抵抗で熱になる(抵抗が理想的に0でも電磁波として放射される)からです。

もし計算結果のエネルギーが増えていたら、その答えは必ず間違いです。これは強力なチェックになります。試しに選択肢(4)の16/3 Vで計算すると \(\frac12\cdot6\cdot(16/3)^2=85.3\;\mu\mathrm{J}\) となり、接続前の24 μJより増えてしまう——エネルギー保存に反するので、代入せずとも棄却できます。

同一問題として令和4年度上期に再出題されている

この問題は令和4年度上期 理論科目A問題6として、問題文・回路・数値・選択肢までそっくり同じ形で再出題されています。コンデンサの電荷保存は、電験3種で繰り返し問われる定番テーマです。

再出題では選択肢の並び順が変わることもあるため、「答えは(3)」と番号で覚えるのは危険です。「16 μC ÷ 6 μF = 8/3 V」という手順ごと覚えてください。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 「電源から切り離す」と読んだ瞬間に「保存量は電荷」とメモする
② 直列充電なら両方の電荷は必ず等しい。\(Q=C_sE\) で一発
③ 同極性接続なら片側ノードの電荷を足す(正負を二重に数えない)
④ 共通電圧はノード電荷 ÷ 並列合成容量
⑤ 検算は「元の2電圧の間にあるか」——範囲外の選択肢は即座に消せる

💡 覚え方
「つないだら足す、割るのは合計容量」。同極性なら電荷を足し、\(C_1+C_2\) で割る。単純平均ではなく容量で重み付けした平均になる、と一緒に覚えておけば(1)や(4)には手が伸びません。

⚠️ よくある間違い
「電源が6 Vだったから接続後も6 V」——電源は外されているので維持されません。次に多いのが「2 Vと4 Vの平均で3 V」ですが、これは選択肢にありません(あれば大量に引っかかったはずです)。そして「各コンデンサの電荷は8 μCのまま」という思い込み。接続後は32/3 μCと16/3 μCに再分配されます。

まとめ

直列合成容量Cs=4×2÷(4+2)=4/3 μF
初期電荷Q1=Q2=(4/3)×6=8 μC
初期電圧V1=2 V、V2=4 V
保存電荷共通正極ノード:8+8=16 μC
並列合成容量Cp=4+2=6 μF
共通電圧V=16÷6=8/3 V
最終電荷Q1f=32/3 μC、Q2f=16/3 μC
正答(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(令和4年度上期)の解説:【理論】令和4年度上期A問題6

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