今回は平成21年度 理論科目 A問題6を解説します。値の異なる二つの抵抗R1・R2を直列にして30 Vで6 A、同じ二抵抗を並列にして30 Vで25 Aが流れたときの、R1・R2のうち小さい方の抵抗 [Ω]を求めます。
直列時の合成抵抗は30/6=5 Ωで、これはR1+R2です。並列時の合成抵抗は30/25=1.2 Ωで、R1R2/(R1+R2)に等しくなります。和5 Ωと積6 Ω2から二次方程式を作り、求めた抵抗を両回路へ戻して検算します。
平成21年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の平成21年度公式問題PDF(理論・問6、PDF 10ページ、冊子表示-7-、管理記号T1-R010)と公式解答PDFを照合して進めます。下の画像はサイト独自の科目見出しを加え、公式のページ番号と管理記号を省いた再構成ですが、問題文、電源極性、直列・並列接続、電流矢印、数値、五つの選択肢は公式内容と一致するため保持しています。

電験3種 理論科目 【直列・並列合成抵抗】 平成21年度 A問題6
抵抗値が異なる抵抗R1〔Ω〕とR2〔Ω〕を図1のように直列に接続し、30〔V〕の直流電圧を加えたところ、回路に流れる電流は6〔A〕であった。次に、この抵抗R1〔Ω〕とR2〔Ω〕を図2のように並列に接続し、30〔V〕の直流電圧を加えたところ、回路に流れる電流は25〔A〕であった。このとき、抵抗R1〔Ω〕、R2〔Ω〕のうち小さい方の抵抗〔Ω〕の値として、正しいのは次のうちどれか。
(1)1 (2)1.2 (3)1.5 (4)2 (5)3〔Ω〕

出題のポイント:直列から「和」、並列から「積」が手に入る
同じ2つの抵抗を直列と並列に組み替えて測る——この設定を見たら、和と積が求まると考えてください。$$\text{直列}:R_1+R_2=\frac{V}{I_{\text{直列}}},\qquad \text{並列}:\frac{R_1R_2}{R_1+R_2}=\frac{V}{I_{\text{並列}}}$$並列の式に和を代入すれば積が出ます。和と積が分かれば、2つの値は二次方程式の解として求まります。
注意点は並列時の25 Aは分岐前の全電流だということ。片方の枝の電流ではありません。また、\(30/25=1.2\;\Omega\) は並列合成抵抗であって、どちらか一方の抵抗値ではありません——これがそのまま誤答(2)として用意されています。

問題の解説:和と積から二次方程式を作る
STEP1 2つの測定値から合成抵抗を求める
そのまま和になる
合成抵抗であって片方の値ではない
STEP2 積を求める
並列合成の式に和を代入します。
単位はΩ²

STEP3 二次方程式を解く
和5・積6
どちらがR₁かは決まらない
検算:直列なら \(2+3=5\;\Omega\) で \(30/5=6\;\mathrm{A}\) ✓ 並列なら枝電流が \(30/2=15\;\mathrm{A}\) と \(30/3=10\;\mathrm{A}\) で合計25 A ✓ 電力も直列180 W、並列750 Wと問題条件に完全に整合します。


選択肢を回路に戻して検算する
和が5 Ωと分かっているので、各選択肢を「小さい方」としてもう一方を \(5-x\) で求め、積が6 Ω²になるかを確かめます。
| 選択肢 | 小さい方 [Ω] | もう一方 5−x [Ω] | 積 [Ω²] | 判定 |
| (1) | 1 | 4 | 4.00 | × |
| (2) | 1.2 | 3.8 | 4.56 | ×(1.2は並列合成抵抗) |
| (3) | 1.5 | 3.5 | 5.25 | × |
| (4) | 2 | 3 | 6.00 | ○ |
| (5) | 3 | 2 | 6.00 | ×(積は合うが小さい方ではない) |
この表は2つの罠を同時に見せてくれます。(2) 1.2 Ωは並列合成抵抗をそのまま答えたもの。(5) 3 Ωは積の条件は満たしますが「大きい方」——問題文が「小さい方」と聞いていることを見落とすと引っかかります。計算が合っていても最後の一文で失点する典型例なので、答案を出す前に必ず設問文を読み返してください。
和と積から2数を求める考え方
和と積が分かれば2つの数が決まる——これは解と係数の関係そのものです。2解が \(\alpha,\beta\) の二次方程式は$$x^2-(\alpha+\beta)x+\alpha\beta=0$$と書けるので、和をxの係数(符号反転)に、積を定数項に置けばよいわけです。
電験では「直列と並列の測定値から2抵抗を求める」という形で繰り返し登場します。直列が和、並列が「積÷和」——だから並列合成に和を掛ければ積が出る、という流れを覚えておけば応用が利きます。
なお本問ではどちらがR₁でどちらがR₂かは決まりません。問題文も「R₁とR₂のうち小さい方」と聞いており、割り当てを問うていません。対称な条件からは対称な答えしか出ない——数学的にも自然な結果です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 直列と並列の2つの測定値 → 和と積が手に入る → 二次方程式
② 並列合成抵抗は片方の抵抗値ではない(本問の1.2 Ωが誤答(2))
③ 積の単位はΩ²。和はΩ。単位が違うことを意識すると混同しない
④ 設問が「小さい方」か「大きい方」かを最後に必ず確認する(誤答(5)の罠)
直列・並列の組み替えの出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成21年度 A問題6 | 本問(直流回路60) | 直列・並列の電流から2抵抗の小さい方 |
| 令和4年度下期 A問題6 | 直流回路22 | コンデンサの直列・並列回路の比較 |
| 令和6年度下期 A問題7 | 直流回路9 | 合成抵抗が1.8Rになる Rx |
| 平成25年度 A問題5 | 直流回路49 | 並列回路から未知抵抗Rxの式 |
| 平成22年度 A問題5 | 直流回路57 | 消費電力から並列の未知抵抗R |
💡 覚え方
直列=和、並列合成×和=積。和5・積6 から \(x^2-5x+6=0\) → 2 Ωと3 Ω。「小さい方」を聞かれていることを最後に確認。
⚠️ よくある間違い
1.2 Ωは並列合成抵抗で、どちらかの抵抗値ではありません(誤答(2))。25 Aは分岐前の全電流です。積の条件は3 Ωでも満たすので、「小さい方」の指定を見落とさないこと(誤答(5))。
まとめ
| 直列合成 | R1+R2=5 Ω |
| 並列合成 | Rp=1.2 Ω、R1R2=6 Ω2 |
| 2次式 | x2-5x+6=0 |
| 抵抗値の組 | {R1, R2}={2 Ω, 3 Ω} |
| 並列枝電流 | 15 A+10 A=25 A |
| 正答 | 小さい方2 Ω、(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・直列・並列合成の関連問題:【理論】令和6年度下期A問題7

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