今回は令和6年度下期 理論科目 A問題7を解説します。端子a-b間の合成抵抗Rabが1.8R〔Ω〕であるとき、回路の直列・並列構造から抵抗Rxの値〔Ω〕を求める問題です。
解法の要点は、端子a側のRを直列、その先のRとRxを並列と見抜くことです。さらにx=Rx/Rと置いて合成抵抗の式をRで割ると、比だけの方程式になり、計算と単位の見通しが良くなります。
令和6年度下期 理論科目 A問題7:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の問題図で、端子aからRを通った後に上下2枝へ分岐し、上側がR、下側がRx、右側で再び合流して端子bへつながることを確認します。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和6年度下期 A問題7
図の抵抗回路において、端子a,b間の合成抵抗Rabの値〔Ω〕は1.8R〔Ω〕であった。このとき、抵抗Rxの値〔Ω〕として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)R (2)2R (3)3R (4)4R (5)5R
出題のポイント:どこが直列で、どこが並列かを先に決める
合成抵抗の問題は、計算力よりも回路の読み分けで差がつきます。端子aから入った電流は、最初のRを必ず通ります——ここが直列。その先で上側のRと下側のRxに分かれ、端子bの手前で再び合流します。同じ2つの節点の間に橋渡しされている素子どうしは並列——これが並列の定義です。「上下に並んで描いてあるから並列」ではなく、両端がどこにつながっているかで判断してください。
もうひとつの武器が無次元化です。この問題には具体的な数値が一切なく、すべてRとの比で書かれています。そこで \(x=R_x/R\) と置いてしまえば、式からΩが消えてただの分数方程式になります。単位を引きずらない分だけ計算ミスが減り、見通しも良くなります。

問題の解説:直列部分を引いてから、比で解く
STEP1 接続どおりに式を立てる
直列のRに、RとRxの並列部分を足したものが端子a-b間の合成抵抗です。
最初のRは直列/その先の2枝は並列
STEP2 直列部分を引いて、並列部分だけを取り出す
両辺から直列のRを引くと、並列部分の値がすぐ分かります。
並列部分=0.8R
単位が消えて比だけの式になる
ここで0.8R は R より小さいことを確認してください。並列合成抵抗は各枝より小さくなるという性質と矛盾しないので、ここまでの立式は正しいと判断できます。

STEP3 比の方程式を解く
1次方程式に直す
R_x は R の4倍
x=R_x/R だったので R を掛ける

選択肢を回路に戻して検算する
この問題は5つの選択肢を順に代入するだけでも解けます。実際に合成抵抗を計算すると、1.8Rになるのは1つだけです。時間があるときの確認用としても、式に自信がないときの力技としても使えます。
| 選択肢 | Rx | 並列部 R·Rx/(R+Rx) | 合成抵抗 Rab | 判定 |
| (1) | R | R/2 = 0.500R | 1.500R | × |
| (2) | 2R | 2R/3 ≒ 0.667R | 1.667R | × |
| (3) | 3R | 3R/4 = 0.750R | 1.750R | × |
| (4) | 4R | 4R/5 = 0.800R | 1.800R | ○ |
| (5) | 5R | 5R/6 ≒ 0.833R | 1.833R | × |
表を縦に見ると、Rxを大きくするほど合成抵抗は増えますが、2Rには決して届かないことが分かります。Rxを無限大にする(=下側の枝を切る)と並列部分はRそのものになり、合計は2Rが上限だからです。1.8Rはその上限に近い値なので、RxがRよりかなり大きいと予想でき、(1)(2)はすぐ捨てられます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① まず直列か並列かだけを決める。ペンで「直列R」「並列R∥Rx」と図に書き込む
② 全体から直列分を引いて並列部分だけの式にする(この1手で式が半分になる)
③ 文字だけの問題は比で置く。x=Rx/R とすれば単位も文字も消える
④ 迷ったら選択肢を代入。5通り計算しても1分かからない
合成抵抗の逆算問題の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和6年度下期 A問題7 | 本問(直流回路9) | 合成抵抗が1.8Rになる Rx |
| 平成25年度 A問題5 | 直流回路49 | 並列抵抗回路から未知抵抗Rxの式 |
| 平成18年度 A問題6 | 直流回路68 | 分流の法則から未知抵抗R₁の式 |
| 平成22年度 A問題5 | 直流回路57 | 消費電力から並列の未知抵抗R |
| 平成26年度 A問題6 | 直流回路46 | 電流比の条件から並列抵抗R₂ |
💡 覚え方
「直列を引く → 比で解く → 元の式へ戻して検算」の3手。文字だけの問題は \(x=R_x/R\) と置くと、\(x/(1+x)=0.8\) というだけの式になります。
⚠️ よくある間違い
全体の1.8Rを並列部分の値と取り違えないでください(並列合成はRより小さいので1.8Rにはなり得ません)。また、上下に描かれたRとRxは同じ2節点間にあるので並列であり、単純な和R+Rxではありません。
まとめ
| 回路構成 | 直列R+(RとRxの並列) |
| 並列部分 | 1.8R−R=0.8R |
| 比の設定 | x=Rx/R、x/(1+x)=0.8 |
| 解 | x=4、Rx=4R〔Ω〕 |
| 検算 | R+(R×4R)/(R+4R)=R+0.8R=1.8R |
| 正答 | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・合成抵抗の逆算の関連問題:【理論】平成18年度A問題6

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