今回は平成20年度 理論科目 A問題6を解説します。切換スイッチSの状態(開・①側・②側)で電流計の指示が2.0 A・2.5 A・5.0 Aと変わるとき、抵抗r [Ω]を求めます。令和5年度下期 理論科目 A問題7では、同じ回路・数値・選択肢に「測定誤差はない」という条件を加えて再出題されています。
S開ではR1+R2、S②側ではR2だけを短絡してR1のみ、S①側ではR2とrが並列です。各状態で100 Vを電流計の全電流で割り、R1、R2、rの順に確定します。
平成20年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
平成20年度の公式問題PDFは現在の公式公開範囲外ですが、保存された公式標準解答PDFで理論問6の正答が(5)であることを確認しました。また、同一回路・数値・選択肢で再出題された令和5年度下期の公式問題PDF(理論・問7、PDF 12ページ、冊子表示-9-、管理記号T2-R 012)と公式解答PDFも照合しています。下の問題画像は科目見出しを加えた再構成ですが、平成20年度の問題文、回路、数値、五つの選択肢を保持しているため差し替えません。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題6
電験3種 理論科目 【切換スイッチと直並列回路】 平成20年度 A問題6
図のように、抵抗、切換スイッチS及び電流計を接続した回路がある。この回路に直流電圧100〔V〕を加えた状態で、スイッチSを開いたとき電流計の指示値は2.0A、①側に閉じたとき2.5A、②側に閉じたとき5.0Aであった。このとき、抵抗rの値〔Ω〕として、正しいのは次のうちどれか。ただし、電流計の内部抵抗は無視できるものとする。
(1)20 (2)30 (3)40 (4)50 (5)60〔Ω〕

出題のポイント:スイッチの3状態を「3つの別々の回路」として描き直す
切換スイッチの問題は、状態ごとに回路図を描き直すのが最短ルートです。頭の中で処理しようとすると必ずどこかで取り違えます。本問なら3枚——S開、S①側、S②側。それぞれで「どの抵抗が生きていて、どれが短絡され、どれが切り離されているか」を確定させます。
特に注意したいのがS②側で短絡されるのはR₂だけという点です。rは回路から切り離されたまま(開放)で、R₁は短絡されません。だからS②側の合成抵抗はR₁のみ——3状態のうちいちばん抵抗が小さく、電流が最大の5.0 Aになるのはこのためです。
そして電流計は常に分岐前にあるので、どの状態でも指示値は全電流です。2.5 Aをr枝の電流と読み違えないようにしてください。

問題の解説:抵抗が確定する順に処理する
STEP1 S開とS②側からR₁とR₂を確定する
未知数が少ない状態から片付けるのが定石です。S②側はR₁だけなので、いきなり値が決まります。
R₁とR₂の直列
R₂が短絡されR₁だけ
R₂が確定
STEP2 S①側から並列部分の値を取り出す
R₁と並列部の直列
並列部分だけを分離

STEP3 並列の式を解いてrを求める
R₂=30 Ωを代入
枝電流での検算:S①側の全電流2.5 AがR₁=20 Ωを通るので降下は50 V。並列部にも50 Vが加わり、R₂枝は \(50/30=5/3\;\mathrm{A}\)、r枝は \(50/60=5/6\;\mathrm{A}\)。合計 \(5/3+5/6=2.5\;\mathrm{A}\) で全電流に一致します ✓
電力収支での検算:電源は \(100\times2.5=250\;\mathrm{W}\)。R₁が \(2.5^2\times20=125\;\mathrm{W}\)、R₂が \(50^2/30=2500/30\;\mathrm{W}\)、rが \(50^2/60=2500/60\;\mathrm{W}\)。合計すると \(125+83.3+41.7=250\;\mathrm{W}\) ✓


選択肢を回路に戻して検算する
R₁=20 Ω、R₂=30 Ωは確定しているので、各選択肢のrでS①側の全電流が2.5 Aになるかを確かめます。
| 選択肢 | r [Ω] | 30 ∥ r [Ω] | 全体 20+並列 [Ω] | 全電流 100/全体 [A] | 判定 |
| (1) | 20 | 12.00 | 32.00 | 3.13 | × |
| (2) | 30 | 15.00 | 35.00 | 2.86 | × |
| (3) | 40 | 17.14 | 37.14 | 2.69 | × |
| (4) | 50 | 18.75 | 38.75 | 2.58 | × |
| (5) | 60 | 20.00 | 40.00 | 2.50 | ○ |
rを大きくするほど並列部の抵抗が増え、電流は単調に減ります。2.5 Aは選択肢の中で最小の電流なので、rは最大の(5)だろうと当たりをつけられます。3.13 Aから2.50 Aまで滑らかに変化しているので、1つ計算すれば方向が読めます。
この問題は令和5年度下期にも再出題されています
本問(平成20年度 A問題6)と同じ回路・同じ数値・同じ選択肢の問題が、令和5年度下期 A問題7として出題されています(直流回路16)。約15年ぶりの再登場です。
違いは、再出題版に「測定誤差はないものとする」という一文が加わっていることだけ。これは電流計の指示値をそのまま真値として扱ってよい、という念押しで、解法は一切変わりません。古い年度の問題がほぼそのまま出ることがある——過去問を古い年度まで遡って解く価値がここにあります。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 切換スイッチは状態ごとに回路図を描き直す。頭の中で処理しない
② 電源電圧÷全電流=その状態の合成抵抗。状態の数だけ方程式が手に入る
③ 未知数が少ない状態から解く(本問はS②側でR₁がいきなり決まる)
④ 「短絡される素子」と「切り離される素子」を混同しない。②側でrは開放のまま
スイッチ切換・合成抵抗の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成20年度 A問題6 | 本問(直流回路62) | スイッチ3状態の電流計指示から抵抗r |
| 令和5年度下期 A問題7 | 直流回路16 | 同一問題(「測定誤差はない」の一文が追加) |
| 令和7年度上期 A問題7 | 直流回路7 | スイッチで全電流が3倍になる抵抗R |
| 平成27年度 A問題6 | 直流回路43 | スイッチ開閉で電流が不変=平衡ブリッジ |
| 令和3年度 A問題6 | 直流回路27 | 安定化電源のCC/CV切換と電流波形 |
💡 覚え方
切換スイッチは状態ごとに描き直す。100 V÷全電流=合成抵抗で3つの式を作り、未知数の少ない順(S②→S開→S①)に解く。
⚠️ よくある間違い
S②側で短絡されるのはR₂だけ(rは開放のまま、R₁は短絡されません)。S①側の2.5 Aはr枝の電流ではなく全電流です。電流計は常に分岐前にあります。
まとめ
| S開・2.0 A | R1+R2=100/2.0=50 Ω |
| S②側・5.0 A | R1=100/5.0=20 Ω、R2=30 Ω |
| S①側・2.5 A | R1+(R2∥r)=40 Ω |
| 並列部分 | 30∥r=20 Ω |
| 枝電流 | 5/3 A+5/6 A=2.5 A |
| 正答 | r=60 Ω、(5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(令和5年度下期)の解説:【理論】令和5年度下期A問題7

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