今回は令和7年度上期 理論科目 A問題7を解説します。スイッチSを閉じたときに2 Ωを流れる全電流Iが、Sを開いたときの3倍になる条件から、抵抗R [Ω]を求めます。
S開ではR枝が切り離され、全回路は2 Ωと10 Ωの直列です。S閉ではR枝が加わり、2 Ωと(10 Ω∥R)の直列になります。同じ電源電圧Eで比較するため、全電流が3倍なら回路全体の合成抵抗は1/3です。
令和7年度上期 理論科目 A問題7:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式図では、Iの矢印は電源から2 Ωへ向かい、分岐点より手前にあります。したがってIは10 Ω枝やR枝だけの電流ではなく、両枝へ分かれる前の全電流です。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和7年度上期 A問題7
図のような直流回路において、スイッチSを閉じているとき、2Ωの抵抗を流れる電流Iは、スイッチSを開いたときの電流の3倍であった。Rの値〔Ω〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)2.5 (2)3.5 (3)0.5 (4)1.5 (5)4.5〔Ω〕
出題のポイント:Iはどこの電流か/同じ電源なら電流比=抵抗比の逆数
まずIの位置を確認します。問題図の矢印は電源から2 Ωへ向かう部分に描かれており、分岐点より手前です。したがってIは10 Ω枝でもR枝でもなく、両方に分かれる前の全電流。ここを取り違えると以降の式が全部ずれます。
次に「3倍」という条件の扱いです。スイッチの開閉で変わるのは回路の合成抵抗だけで、電源電圧Eは変わりません。オームの法則 \(I=E/R_{\mathrm{eq}}\) でEが共通なら、電流と合成抵抗は反比例します。$$\frac{I_{\text{閉}}}{I_{\text{開}}}=\frac{R_{\mathrm{eq,開}}}{R_{\mathrm{eq,閉}}}=3$$つまり電流が3倍=合成抵抗が1/3。Eを一度も使わずに解けるので、Eが与えられていなくても答えが出ます。

問題の解説:合成抵抗を1/3にする
STEP1 スイッチを開いたときの合成抵抗
Sを開くとR枝は切り離され、電流は2 Ωと10 Ωを順に通るだけ——単純な直列です。
R枝には電流が流れない
STEP2 3倍条件を合成抵抗の条件に翻訳する
電流3倍=抵抗1/3
並列部分だけを取り出す

STEP3 並列の式からRを求める
1次方程式にする
検算:\(10\parallel2.5=\dfrac{10\times2.5}{12.5}=2\;\Omega\)、全体は \(2+2=4\;\Omega\)。開のときの12 Ωと比べて \(12/4=3\) 倍——条件どおりです。

選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢のRについて閉時の合成抵抗を計算し、電流が何倍になるかを求めました。ちょうど3倍になるのは1つだけです。
| 選択肢 | R [Ω] | 10∥R [Ω] | 閉時の合成抵抗 [Ω] | 電流の倍率 12/Req | 判定 |
| (1) | 2.5 | 2.000 | 4.000 | 3.00 | ○ |
| (2) | 3.5 | 2.593 | 4.593 | 2.61 | × |
| (3) | 0.5 | 0.476 | 2.476 | 4.85 | × |
| (4) | 1.5 | 1.304 | 3.304 | 3.63 | × |
| (5) | 4.5 | 3.103 | 5.103 | 2.35 | × |
Rが小さいほど並列部分の抵抗が下がり、電流の倍率は上がります。倍率はRについて単調なので、3倍より大きければRを増やす、小さければ減らす、と当たりをつけて2〜3回で追い込むこともできます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電流の矢印が分岐の前か後かを最初に確認する(全電流か枝電流か)
② 「同じ電源で○倍」と来たら合成抵抗の比に翻訳する。Eは使わない
③ スイッチ開=その枝は無いものとして、閉=並列が増える、と図を2枚描き分ける
④ 求めたRは必ず並列合成に戻して倍率を確認する(30秒で済む)
スイッチ開閉・合成抵抗の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和7年度上期 A問題7 | 本問(直流回路7) | スイッチで電流が3倍になる抵抗R |
| 令和7年度下期 A問題7 | 直流回路3 | 2条件で枝電流が等しくなる抵抗Rx |
| 令和5年度下期 A問題7 | 直流回路16 | スイッチ切換の電流計指示から抵抗r |
| 平成20年度 A問題6 | 直流回路62 | スイッチ切換の電流計指示から抵抗r |
| 平成27年度 A問題6 | 直流回路43 | スイッチ開閉で電流が不変=平衡ブリッジ |
💡 覚え方
同じ電源で電流がn倍なら合成抵抗は1/n倍。あとは直列分を引いて並列の式を解くだけ。電流の矢印が分岐前なら全電流。
⚠️ よくある間違い
E/4は閉時の電流であって合成抵抗ではありません(合成抵抗は4 Ω)。またIをR枝の電流と取り違えないこと。スイッチを開いたときにR枝を「0 Ω」と考えるのも誤りで、電流が流れない=無いのと同じです。
まとめ
| Iの位置 | 2 Ωを流れる分岐前の全電流 |
| S開 | Req=12 Ω、Iopen=E/12 |
| S閉 | Req=2+10R/(10+R) |
| 3倍条件 | Req,closed=4 Ω、並列部=2 Ω |
| 検算 | 10×2.5/(10+2.5)=2 Ω、12/4=3 |
| 答え | R=2.5 Ω …(1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・スイッチ・合成抵抗の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題7

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