今回は平成22年度 理論科目 A問題6を解説します。100 V電源に接続したR1・R2の回路について、図1のb-c間電圧20 Vと、図2で150 Ωを並列追加したときのb-c間電圧15 Vから二つの抵抗値を求め、図3でb-c間を短絡したときの電流I [A]を計算します。
図1のようにR1とR2だけが直列なら、電圧比は抵抗比に等しくなります。図2では下側をR2と150 Ωの並列合成抵抗として分圧を立てます。図3では理想短絡によりVbc=0 Vとなり、R2はバイパスされます。
平成22年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の平成22年度公式問題PDF(理論・問6、PDF 9ページ、冊子表示-6-、管理記号T1-R009)と公式解答PDFを照合して進めます。下の再構成画像はサイト独自の科目見出しを加え、公式のページ番号・管理記号と図3直下の「図3」表記を省いていますが、問題文、三つの回路、電源極性、端子、電圧、電流矢印、五つの選択肢は公式内容と一致するため保持しています。

電験3種 理論科目 【分圧回路・並列合成・短絡】 平成22年度 A問題6
図1の直流回路において、端子a-c間に直流電圧100〔V〕を加えたところ、端子b-c間の電圧は20〔V〕であった。また、図2のように端子b-c間に150〔Ω〕の抵抗を並列に追加したとき、端子b-c間の端子電圧は15〔V〕であった。いま、図3のように端子b-c間を短絡したとき、電流I〔A〕の値として、正しいのは次のうちどれか。
(1)0 (2)0.10 (3)0.32 (4)0.40 (5)0.67〔A〕

出題のポイント:3つの図はすべて同じR₁・R₂でできている
図が3つも並ぶと身構えますが、回路の中身は最初から最後まで同じR₁とR₂です。変わるのはb-c間に何をつなぐかだけ。
| b-c間の状態 | 分かること/聞かれること | |
| 図1 | 何もつながない(開放) | V_bc=20 V → R₁とR₂の比 |
| 図2 | 150 Ωを並列につなぐ | V_bc=15 V → R₁とR₂の実際の値 |
| 図3 | 短絡(0 Ωでつなぐ) | 流れる電流Iを求める |
つまり図1と図2は「R₁とR₂を測定するための2つの実験」であり、図3が本題です。未知数2つ(R₁・R₂)に対して条件2つ(20 V・15 V)——ちょうど決まります。
この構造は、実務での「未知の回路の内部抵抗を、負荷を変えて2回測ることで特定する」手法そのものです。

問題の解説:比 → 実値 → 短絡電流の3段構え
STEP1 図1から R₁=4R₂ を導く
図1ではR₁とR₂だけが直列。b-c間が20 Vなら、残りの80 VはR₁にかかっているはずです。
直列なので和が電源電圧
同じ電流が流れる直列部だから成り立つ
「電圧比=抵抗比」が使えるのは直列部分だけです。並列部分では電圧が共通なので、この関係は成り立ちません。図2でこの式をそのまま使わないよう注意してください。
STEP2 図2から R₁・R₂ の実際の値を求める
150 Ωを並列につないだので、下側の抵抗は \(R_2\parallel150\) に置き換わります。
150 Ωをつないだぶん小さくなる
R₁=4R₂を代入済み
下側は元の約0.71倍に落ちた
R₂≠0 なので割れる
両辺をR₂で割れるのがポイントです。R₂は実在する抵抗なので0ではありません。ここで2次方程式にせずに済みます。
検算:図1は \(100\times62.5/(250+62.5)=20\;\mathrm{V}\) ✓ 図2は \(R_L=150\times62.5/212.5=44.12\;\Omega\)、\(100\times44.12/(250+44.12)=15\;\mathrm{V}\) ✓ 両方の実験条件を再現できました。

STEP3 図3の短絡電流を求める
b-c間を短絡すると、R₂の両端が0 Vに固定されます。「R₂が消える」のではなく、電圧が0 Vなので電流が流れない——これが正しい理解です。
抵抗0の導線でつないだ
0 Vだから0 A(バイパスされた)
電源電流がすべて短絡線へ

誤答の正体:4つの誤答はすべて「実在する計算」の結果
残り4つの選択肢を逆算したところ、すべてがこの問題の中で実際に計算できてしまう値でした。だからこそ引っかかります。
| 選択肢 | I [A] | その値が出る計算 | 何を間違えたか | 判定 |
| (1) | 0 | \(I_{R2}=0/62.5=0\) | R₂の電流を答えと取り違えた | × |
| (2) | 0.10 | \(15/150=0.10\) | 図2の150 Ω枝の電流を答えた(図を取り違え) | × |
| (3) | 0.32 | \(100/(250+62.5)=0.32\) | 短絡してもR₂が直列に残ると誤解 | × |
| (4) | 0.40 | \(100/250=0.40\) | 正解:R₂はバイパスされ、R₁だけが残る | ○ |
| (5) | 0.67 | \(100/150=0.67\) | 150 Ωだけで計算(図2と図3を混同) | × |
最も紛らわしいのは(1)の0 Aです。「R₂に流れる電流は?」と聞かれていたら0 Aが正解——実際にR₂の電流は0 Aなのです。しかし図3の矢印は短絡線に描かれています。どの導線の電流を聞かれているかを、図で必ず確認してください。
次に危険なのが(3)の0.32 Aです。「短絡してもR₂は回路から消えていない」までは正しく、そこから「だから直列に残る」と進めると0.32 Aになります。残ってはいるが、両端が同電位なので電流が流れない——ここが分岐点です。
別解:テブナンの定理で見ると一直線
b-c端子から左を見た回路を等価電源に置き換えると、図3の計算は1行で終わります。
図1の測定値そのもの
電源を短絡して見た抵抗
同じ0.40 A ✓
さらに面白いことに、図2の測定値もテブナン等価回路で説明できます。\(150\;\Omega\) をつないだときの端子電圧は \(20\times150/(50+150)=15\;\mathrm{V}\) ——問題文の15 Vとぴったり一致します。
この見方をすると、問題全体が「開放電圧20 Vと、150 Ω負荷時の15 Vから内部抵抗50 Ωを特定し、短絡電流を求める」という1つのストーリーに整理されます。実際、\(R_{\text{th}}\) は図2の1式だけで求まります:\(15=20\times150/(R_{\text{th}}+150)\) より \(R_{\text{th}}=50\;\Omega\)。R₁・R₂を個別に求めなくても答えが出るのです。
時間がない本番では、こちらのほうが速い場合があります。ただし「Iが短絡線の電流である」ことの確認は、どちらの解法でも必須です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 図が複数ある問題は、「変わらないもの(R₁・R₂)」と「変わるもの(b-c間)」を最初に仕分ける
② 直列部の電圧比=抵抗比で、まず比だけ確定させる(図1)
③ 短絡は「抵抗が消える」ではなく「両端が同電位になる」。だから電流0
④ テブナン等価(開放電圧=図1、負荷時=図2)に持ち込めば、R₁・R₂を求めずに済む
⑤ 答える前に図の電流矢印がどの線に描かれているかを必ず見る
💡 覚え方
「短絡は消しゴムではなく、近道」。抵抗を消すのではなく、電流に0 Ωの近道を与えるだけ。近道があるので誰もR₂を通らない——結果としてR₂の電流は0 Aになります。
⚠️ よくある間違い
最頻出は「Iを R₂ の電流だと思って0 Aを選ぶ」(選択肢(1))と、「短絡してもR₂が直列に残ると考えて0.32 Aを選ぶ」(選択肢(3))です。また図2の150 Ωを図3にも残してしまうと0.67 Aになります。図3に150 Ωは存在しません。
まとめ
| 図1 | R1=4R2、電源電流0.32 A、Vbc=20 V |
| 図2 | R2=62.5 Ω、R1=250 Ω、電源電流0.34 A |
| 図3 | Vbc=0 V、R2電流0 A、短絡線電流0.40 A |
| 電流方向 | b → c |
| 正答 | I=100/250=0.40 A、(4) |
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