直流回路58【電験3種 理論】分圧と並列条件から抵抗を求め短絡電流を計算!平成22年度 A問題6 完全解説

電験3種 理論科目 分圧回路・並列合成・短絡 平成22年度 A問題6 分圧比から抵抗を特定!短絡したら何A流れる?

今回は平成22年度 理論科目 A問題6を解説します。100 V電源に接続したR1・R2の回路について、図1のb-c間電圧20 Vと、図2で150 Ωを並列追加したときのb-c間電圧15 Vから二つの抵抗値を求め、図3でb-c間を短絡したときの電流I [A]を計算します。

図1のようにR1とR2だけが直列なら、電圧比は抵抗比に等しくなります。図2では下側をR2と150 Ωの並列合成抵抗として分圧を立てます。図3では理想短絡によりVbc=0 Vとなり、R2はバイパスされます。

目次

平成22年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の平成22年度公式問題PDF(理論・問6、PDF 9ページ、冊子表示-6-、管理記号T1-R009)と公式解答PDFを照合して進めます。下の再構成画像はサイト独自の科目見出しを加え、公式のページ番号・管理記号と図3直下の「図3」表記を省いていますが、問題文、三つの回路、電源極性、端子、電圧、電流矢印、五つの選択肢は公式内容と一致するため保持しています。

電験3種 理論科目 直流回路 平成22年度 A問題6 問題文
平成22年度 理論科目 A問題6 問題文

電験3種 理論科目 【分圧回路・並列合成・短絡】 平成22年度 A問題6

 図1の直流回路において、端子a-c間に直流電圧100〔V〕を加えたところ、端子b-c間の電圧は20〔V〕であった。また、図2のように端子b-c間に150〔Ω〕の抵抗を並列に追加したとき、端子b-c間の端子電圧は15〔V〕であった。いま、図3のように端子b-c間を短絡したとき、電流I〔A〕の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1)0 (2)0.10 (3)0.32 (4)0.40 (5)0.67〔A〕

図1〜図3 R₁・R₂の分圧回路(150Ω並列追加・b-c間短絡)(問題図)
図1〜図3 R₁・R₂の分圧回路(150Ω並列追加・b-c間短絡)(問題図)

出題のポイント:3つの図はすべて同じR₁・R₂でできている

図が3つも並ぶと身構えますが、回路の中身は最初から最後まで同じR₁とR₂です。変わるのはb-c間に何をつなぐかだけ。

b-c間の状態分かること/聞かれること
図1何もつながない(開放)V_bc=20 V → R₁とR₂の比
図2150 Ωを並列につなぐV_bc=15 V → R₁とR₂の実際の値
図3短絡(0 Ωでつなぐ)流れる電流Iを求める

つまり図1と図2は「R₁とR₂を測定するための2つの実験」であり、図3が本題です。未知数2つ(R₁・R₂)に対して条件2つ(20 V・15 V)——ちょうど決まります。

この構造は、実務での「未知の回路の内部抵抗を、負荷を変えて2回測ることで特定する」手法そのものです。

100ボルト電源とR1・R2の分圧回路について、図1のbc間20ボルト、図2の150オーム並列追加とbc間15ボルト、図3のbc間短絡と下向き電流Iを示す出題のポイント図
図1の直列分圧、図2の150 Ω並列追加、図3のb-c間短絡を順に追います。図3でもR₂は残りますが、理想短絡によって両端電圧は0 Vです。

問題の解説:比 → 実値 → 短絡電流の3段構え

使う公式:分圧則と並列合成
$$V_{\text{下}}=E\cdot\frac{R_{\text{下}}}{R_{\text{上}}+R_{\text{下}}},\qquad R_2\parallel R_3=\frac{R_2R_3}{R_2+R_3}$$

※直列部分では電圧の比=抵抗の比。同じ電流が流れることが根拠です。

STEP1 図1から R₁=4R₂ を導く

図1ではR₁とR₂だけが直列。b-c間が20 Vなら、残りの80 VはR₁にかかっているはずです。

$$V_{R1}=100-20=80\;[\mathrm{V}]$$
❶ 残りの電圧
直列なので和が電源電圧
$$R_1:R_2=80:20=4:1\;\Rightarrow\;R_1=4R_2$$
❷ 電圧比=抵抗比
同じ電流が流れる直列部だから成り立つ

「電圧比=抵抗比」が使えるのは直列部分だけです。並列部分では電圧が共通なので、この関係は成り立ちません。図2でこの式をそのまま使わないよう注意してください。

STEP2 図2から R₁・R₂ の実際の値を求める

150 Ωを並列につないだので、下側の抵抗は \(R_2\parallel150\) に置き換わります。

$$R_L=\frac{150R_2}{150+R_2}$$
❸ 下側の合成抵抗
150 Ωをつないだぶん小さくなる
$$100\cdot\frac{R_L}{4R_2+R_L}=15$$
❹ 図2の分圧条件
R₁=4R₂を代入済み
$$100R_L=60R_2+15R_L\;\Rightarrow\;85R_L=60R_2$$
❺ 整理
$$R_L=\frac{12}{17}R_2$$
❻ 約分(5で割る)
下側は元の約0.71倍に落ちた
$$\frac{150R_2}{150+R_2}=\frac{12}{17}R_2\;\Rightarrow\;\frac{150}{150+R_2}=\frac{12}{17}$$
❼ R₂で割る
R₂≠0 なので割れる
$$2550=1800+12R_2\;\Rightarrow\;R_2=62.5\;[\Omega]$$
❽ R₂が確定
$$R_1=4R_2=250\;[\Omega]$$
❾ R₁も確定

両辺をR₂で割れるのがポイントです。R₂は実在する抵抗なので0ではありません。ここで2次方程式にせずに済みます。

検算:図1は \(100\times62.5/(250+62.5)=20\;\mathrm{V}\) ✓ 図2は \(R_L=150\times62.5/212.5=44.12\;\Omega\)、\(100\times44.12/(250+44.12)=15\;\mathrm{V}\) ✓ 両方の実験条件を再現できました

図1の分圧式からR1イコール4R2を導き、図2でR2と150オームの並列合成抵抗と85対15の分圧比からR2イコール62.5オーム、R1イコール250オームを求めるポイント解説図
図1で抵抗比を決め、図2ではR₂と150 Ωの並列合成抵抗を下側抵抗として扱います。

STEP3 図3の短絡電流を求める

b-c間を短絡すると、R₂の両端が0 Vに固定されます。「R₂が消える」のではなく、電圧が0 Vなので電流が流れない——これが正しい理解です。

$$V_{bc}=0\;[\mathrm{V}]$$
❿ 理想短絡
抵抗0の導線でつないだ
$$I_{R2}=\frac{V_{bc}}{R_2}=\frac{0}{62.5}=0\;[\mathrm{A}]$$
⓫ R₂を流れる電流
0 Vだから0 A(バイパスされた)
$$I=\frac{E}{R_1}=\frac{100}{250}=0.40\;[\mathrm{A}]$$
⓬ 短絡線を流れる電流
電源電流がすべて短絡線へ
答え\(I=0.40\;[\mathrm{A}]\)(bからcへ向かう向き) → 選択肢(4)
図3でR1が250オーム、R2が62.5オームの回路のbc間を短絡し、R2電流0アンペア、短絡電流0.40アンペア、正答4を求め、図1から図3を数値検算する問題の解説図
b-c間の理想短絡によりR₂はバイパスされ、短絡線をbからcへ0.40 Aが流れます。正答は(4)です。

誤答の正体:4つの誤答はすべて「実在する計算」の結果

残り4つの選択肢を逆算したところ、すべてがこの問題の中で実際に計算できてしまう値でした。だからこそ引っかかります。

選択肢I [A]その値が出る計算何を間違えたか判定
(1)0\(I_{R2}=0/62.5=0\)R₂の電流を答えと取り違えた×
(2)0.10\(15/150=0.10\)図2の150 Ω枝の電流を答えた(図を取り違え)×
(3)0.32\(100/(250+62.5)=0.32\)短絡してもR₂が直列に残ると誤解×
(4)0.40\(100/250=0.40\)正解:R₂はバイパスされ、R₁だけが残る
(5)0.67\(100/150=0.67\)150 Ωだけで計算(図2と図3を混同)×

最も紛らわしいのは(1)の0 Aです。「R₂に流れる電流は?」と聞かれていたら0 Aが正解——実際にR₂の電流は0 Aなのです。しかし図3の矢印は短絡線に描かれています。どの導線の電流を聞かれているかを、図で必ず確認してください。

次に危険なのが(3)の0.32 Aです。「短絡してもR₂は回路から消えていない」までは正しく、そこから「だから直列に残る」と進めると0.32 Aになります。残ってはいるが、両端が同電位なので電流が流れない——ここが分岐点です。

別解:テブナンの定理で見ると一直線

b-c端子から左を見た回路を等価電源に置き換えると、図3の計算は1行で終わります。

$$V_{\text{th}}=20\;[\mathrm{V}]$$
⓭ 開放電圧
図1の測定値そのもの
$$R_{\text{th}}=R_1\parallel R_2=\frac{250\times62.5}{312.5}=50\;[\Omega]$$
⓮ 内部抵抗
電源を短絡して見た抵抗
$$I_{\text{sc}}=\frac{V_{\text{th}}}{R_{\text{th}}}=\frac{20}{50}=0.40\;[\mathrm{A}]$$
⓯ 短絡電流
同じ0.40 A

さらに面白いことに、図2の測定値もテブナン等価回路で説明できます。\(150\;\Omega\) をつないだときの端子電圧は \(20\times150/(50+150)=15\;\mathrm{V}\) ——問題文の15 Vとぴったり一致します。

この見方をすると、問題全体が「開放電圧20 Vと、150 Ω負荷時の15 Vから内部抵抗50 Ωを特定し、短絡電流を求める」という1つのストーリーに整理されます。実際、\(R_{\text{th}}\) は図2の1式だけで求まります:\(15=20\times150/(R_{\text{th}}+150)\) より \(R_{\text{th}}=50\;\Omega\)。R₁・R₂を個別に求めなくても答えが出るのです。

時間がない本番では、こちらのほうが速い場合があります。ただし「Iが短絡線の電流である」ことの確認は、どちらの解法でも必須です。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 図が複数ある問題は、「変わらないもの(R₁・R₂)」と「変わるもの(b-c間)」を最初に仕分ける
② 直列部の電圧比=抵抗比で、まず比だけ確定させる(図1)
③ 短絡は「抵抗が消える」ではなく「両端が同電位になる」。だから電流0
テブナン等価(開放電圧=図1、負荷時=図2)に持ち込めば、R₁・R₂を求めずに済む
⑤ 答える前に図の電流矢印がどの線に描かれているかを必ず見る

💡 覚え方
「短絡は消しゴムではなく、近道」。抵抗を消すのではなく、電流に0 Ωの近道を与えるだけ。近道があるので誰もR₂を通らない——結果としてR₂の電流は0 Aになります。

⚠️ よくある間違い
最頻出は「Iを R₂ の電流だと思って0 Aを選ぶ」(選択肢(1))と、「短絡してもR₂が直列に残ると考えて0.32 Aを選ぶ」(選択肢(3))です。また図2の150 Ωを図3にも残してしまうと0.67 Aになります。図3に150 Ωは存在しません

まとめ

図1R1=4R2、電源電流0.32 A、Vbc=20 V
図2R2=62.5 Ω、R1=250 Ω、電源電流0.34 A
図3Vbc=0 V、R2電流0 A、短絡線電流0.40 A
電流方向b → c
正答I=100/250=0.40 A、(4)

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