直流回路14【電験3種 理論】電流計の指示から抵抗Rの消費電力を求める!令和5年度下期 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 令和5年度下期 A問題5 電流計の読みがヒント!抵抗Rの消費電力は?

今回は令和5年度下期 理論科目 A問題5を解説します。100 Vの直流電圧源、内部抵抗を無視できる電流計、10 Ωの直列抵抗、その先に並列接続されたRと50 Ωがある回路です。電流計が5 Aを示すときの抵抗Rだけで消費される電力〔W〕を求めます。

解法は、①全電流5 Aから10 Ωの電圧降下を求める、②電源電圧100 Vから差し引いて並列部の電圧を求める、③50 Ω枝の電流を求めて全電流から引く、④P=VIでRの消費電力を求める、という4段階です。

目次

令和5年度下期 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の問題文・選択肢・回路図を確認します。掲載済みの問題画像と問題図は原資料としてそのまま保持しています。

電験3種 理論科目 直流回路 令和5年度下期 A問題5 問題文
令和5年度下期 理論科目 A問題5 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和5年度下期 A問題5

 図に示す直流回路は、100Vの直流電圧源に直流電流計を介して10Ωの抵抗が接続され、50Ωの抵抗と抵抗R〔Ω〕が接続されている。電流計は5Aを示している。抵抗R〔Ω〕で消費される電力の値〔W〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。なお、電流計の内部抵抗は無視できるものとする。

(1)2 (2)10 (3)20 (4)100 (5)200〔W〕

図 100V電源・電流計・10Ω・R・50Ωからなる直流回路(問題図)
図 100V電源・電流計・10Ω・R・50Ωからなる直流回路(問題図)

出題のポイント:電流計の位置が「全電流」を示している

この問題の分かれ目は、電流計の指示5 Aをどこの電流と読むかです。電流計は10 Ωより手前の本線に直列に入っています。つまり5 Aは分岐するの全電流であって、Rだけを流れる電流ではありません。ここを取り違えて \(P=50\times5=250\;\mathrm{W}\) と計算してしまうのが最頻出のミスです。

電流計の内部抵抗が「無視できる」と断ってあるのも重要です。内部抵抗0ということは電流計での電圧降下が0——ただの導線として扱ってよいという意味です。回路図から電流計を消して考えれば、100 V電源+10 Ωの直列+(Rと50 Ωの並列)という素直な構成が見えてきます。

100V直流電源、理想電流計、10Ω直列抵抗、Rと50Ωの並列回路で、5Aが分岐前の全電流であることを示すGPT Image 2の出題ポイント図
出典:電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種 理論 問5」の回路図をもとに、当サイトが学習用に再構成・改変したGPT Image 2解説図。5 Aは分岐前の全電流です。

問題の解説:直列部の電圧降下 → 並列部の電圧 → 枝電流 → 電力

使う公式:オームの法則・電圧則・電力
$$V=RI,\qquad E=V_{\text{直列}}+V_{\text{並列}},\qquad P=VI=I^2R=\frac{V^2}{R}$$

※電力の式は3通り。手元にある2つの量(電圧と電流/電流と抵抗/電圧と抵抗)に合わせて選ぶと、余計な計算を挟まずに済みます。

STEP1 10 Ωの電圧降下から並列部の電圧を出す

10 Ωは分岐前の本線にあるので、全電流5 Aがそのまま流れます。

$$V_{10}=RI=10\times5=50\;[\mathrm{V}]$$
❶ オームの法則
直列部の電圧降下
$$V_p=100-50=50\;[\mathrm{V}]$$
❷ 電圧則
電源電圧から直列分を引く=並列部の電圧

STEP2 既知の50 Ω枝から、Rの枝電流を引き算で出す

並列部には同じ50 Vが加わります。抵抗値が分かっている50 Ω枝を先に処理するのがコツです。

$$I_{50}=\frac{50}{50}=1\;[\mathrm{A}]$$
❸ 既知枝の電流
電圧50 V ÷ 抵抗50 Ω
$$I_R=5-1=4\;[\mathrm{A}]$$
❹ 電流則
全電流から既知枝を引く
10Ωの電圧降下50Vを100Vから引き、Rと50Ωの並列部に50Vが加わることを示すGPT Image 2のポイント解説図
10 Ωには全電流5 Aが流れるため電圧降下は50 Vです。したがって、Rと50 Ωの並列部に加わる電圧は100−50=50 Vです。

STEP3 Rの消費電力を求める

$$P_R=V_RI_R=50\times4=200\;[\mathrm{W}]$$
❺ P=VI
Rの端子電圧×Rの電流

検算:R自体の値は \(R=50/4=12.5\;\Omega\)。別の式で計算しても \(P=I^2R=4^2\times12.5=200\;\mathrm{W}\)、\(P=V^2/R=50^2/12.5=200\;\mathrm{W}\) と一致します。さらに回路全体では \(100\times5=500\;\mathrm{W}\) 供給され、内訳は 10 Ωが \(5^2\times10=250\;\mathrm{W}\)、50 Ωが \(1^2\times50=50\;\mathrm{W}\)、Rが200 W。合計500 Wでぴったり合います。

答え\(P_R=200\;[\mathrm{W}]\) → 選択肢(5) (電力収支:250+50+200=500 W=100 V×5 A ✓)
50Ω枝の電流1Aを全電流5Aから引いてR枝4Aを求め、Rの消費電力200Wと正答5を示すGPT Image 2の問題解説図
50 Ω枝は1 A、R枝は5−1=4 Aです。Rの消費電力は50 V×4 A=200 Wとなり、公式正答は(5)です。

選択肢を回路に戻して検算する

各選択肢の電力からR枝の電流を逆算し、50 Ω枝の1 Aと足して電流計の指示5 Aに戻るかを確かめます。並列部の電圧は50 Vで固定なので \(I_R=P/50\) です。

選択肢PR [W]R枝の電流 P/50 [A]全電流 IR+1 [A]判定
(1)20.041.04×
(2)100.201.20×
(3)200.401.40×
(4)1002.003.00×
(5)2004.005.00

この表から選択肢の作られ方も読めます。(4) 100 Wは並列部を50 Ωだけと考えた場合の値(\(50^2/50\cdot2\) 相当)に近く、(2) 10 Wは電圧を10 Vと取り違えた場合に出やすい値です。いずれも全電流が5 Aに届かないので、検算1回で落とせます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 電流計・電圧計は内部抵抗の断り書きを必ず読む。「無視できる」なら電流計はただの導線、電圧計は開放
② 電流計が分岐前か分岐後かを図で確認する(本問は分岐前=全電流)
③ 並列部は抵抗値が分かっている枝から電流を出し、引き算で未知枝へ
④ 最後に電力収支(各素子の電力の和=電源の供給電力)で検算。30秒で確信が持てる

分流・消費電力の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
令和5年度下期 A問題5本問(直流回路14)電流計の指示からRの消費電力
令和元年度 A問題6直流回路33電流計の指示から抵抗Rの消費電力
平成26年度 A問題7直流回路47R₁とR₃の消費電力の比
令和2年度 A問題6直流回路30直列抵抗と並列抵抗の消費電力の大小
平成22年度 A問題5直流回路57消費電力から並列の未知抵抗R

💡 覚え方
直列の電圧降下を引く → 並列部の電圧 → 既知枝の電流 → 引き算で未知枝 → P=VI。電力は \(VI=I^2R=V^2/R\) の3通りから、持っている量で選ぶ。

⚠️ よくある間違い
5 AをR枝の電流としないこと(分岐前の全電流です)。求めるのは回路全体でも50 ΩでもなくRだけの消費電力。並列部の電圧は電源の100 Vではなく、直列分を引いた50 Vです。

まとめ

分岐前の全電流5 A
10 Ωの電圧降下5×10=50 V
並列部の電圧100−50=50 V
50 Ω枝の電流50/50=1 A
R枝の電流5−1=4 A
Rの消費電力50×4=200 W
公式正答(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・分流・消費電力の関連問題:【理論】令和6年度上期A問題5

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