直流回路56【電験3種 理論】2条件で電流が等しくなる抵抗Rxを求める!平成23年度 A問題7 完全解説

電験3種 理論科目 直並列回路・分流則 平成23年度 A問題7 条件を変えても電流は同じ!抵抗Rxを求める

今回は平成23年度 理論科目 A問題7を解説します。可変抵抗R1・R2、固定抵抗Rx、電源Eからなる直並列回路で、二つの抵抗設定におけるRx枝の電流Iが等しいときのRx [Ω]を求めます。回路構成、分流則、電源Eを消去できる条件、代入検算まで順に確認します。

回路はR1+(R2∥Rx)です。R1を流れる全電流I0と、分流後にRxだけを流れるIを混同しないことが第一のポイントです。合成抵抗と分流則を順に使い、二条件の枝電流を等置します。

目次

平成23年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の平成23年度公式問題PDF(理論・問7、PDF 9ページ、冊子表示-6-、管理記号T1-R009)と公式解答PDFを照合して進めます。下の問題画像はサイト独自の科目見出しを加え、公式のページ番号と管理記号を省いていますが、回路、電源極性、可変抵抗記号、電流矢印、二条件、五つの選択肢は公式内容と一致するため保持しています。

電験3種 理論科目 直流回路 平成23年度 A問題7 問題文
平成23年度 理論科目 A問題7 問題文

電験3種 理論科目 【直並列回路・分流則】 平成23年度 A問題7

 図のように、可変抵抗R1〔Ω〕、R2〔Ω〕、抵抗Rx〔Ω〕、電源E〔V〕からなる直流回路がある。次に示す条件1のときのRx〔Ω〕に流れる電流Iの値と条件2のときの電流Iの値は等しくなった。このとき、Rx〔Ω〕の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。 条件1:R1=90Ω、R2=6Ω 条件2:R1=70Ω、R2=4Ω

(1)1 (2)2 (3)4 (4)8 (5)12〔Ω〕

図 可変抵抗R₁と、R₂・R_xの並列部からなる直流回路(問題図)
図 可変抵抗R₁と、R₂・R_xの並列部からなる直流回路(問題図)

出題のポイント:「同じ電流になった」という条件の使い方

この問題は一見すると情報が足りません。電源電圧Eの値が与えられていないのです。それでもR_xが確定するのは、条件の書かれ方に秘密があります。

「条件1のときのIと条件2のときのIが等しくなった」——つまり2つの式を等号で結べます。両方の式に同じEが掛かっているので、等号で結んだ瞬間にEが消える。だからEの値を知らなくても解けるのです。

条件1条件2共通しているもの
R₁90 Ω70 Ω—(変わる)
R₂6 Ω4 Ω—(変わる)
R_x未知未知同じ値
E未知未知同じ値(かつ0でない)
I等しい(問題の条件)

「Eが0でない」という点が重要です。もしE=0なら、R_xがいくつでも両方の電流が0 Aになって等しくなり、答えが決まりません。割り算でEを消せるのは、Eが0でないと保証されているからです。

電源Eと直列の可変抵抗R1の後で可変抵抗R2と固定抵抗Rxが並列に分岐し、全電流I0とRx枝電流Iを区別して二つの抵抗設定を示す出題のポイント回路図
R₁は分岐前の直列抵抗、R₂とRₓは並列です。求めるIはRₓ枝電流であり、全電流I₀とは異なります。

回路の形を正しく読む:R₁は直列、R₂とR_xは並列

もうひとつの分岐点は、求めるIがどの電流かです。

電流どこを流れるかこの問題では
I₀(全電流)電源からR₁を通って分岐点まで問題が聞いている電流ではない
I分岐後、R_xだけを流れるこれを求める
I₀−I分岐後、R₂を流れる

回路はR₁と(R₂∥R_x)の直列です。R₁には全電流が流れ、そこから先で2つに分かれます。分流則を使うとき、R_x枝の分子には反対側のR₂が入る——ここが分流則の最も間違えやすい点です。

問題の解説:Iの一般式を作ってから2条件を代入する

使う公式:合成抵抗と分流則
$$R_p=\frac{R_2R_x}{R_2+R_x},\qquad I_0=\frac{E}{R_1+R_p},\qquad I=I_0\cdot\frac{R_2}{R_2+R_x}$$

※分流則は「求める枝の分子は、相手の抵抗」。抵抗が小さいほうに電流が多く流れる、と覚えると符合します。

STEP1 R_x枝の電流を1本の式にまとめる

$$I=\frac{E}{R_1+\dfrac{R_2R_x}{R_2+R_x}}\cdot\frac{R_2}{R_2+R_x}$$
❶ そのまま代入
このままでは扱いにくい
$$I=\frac{ER_2}{R_1R_2+R_1R_x+R_2R_x}$$
❷ 分母分子に \((R_2+R_x)\) を掛けて整理
分母は3項の対称式になる

この形は覚えておく価値があります。分母の \(R_1R_2+R_1R_x+R_2R_x\) は3つの抵抗から2つずつ選んだ積の和——きれいな対称形です。単位はΩ²、分子はV・Ωなので、割ればA。次元も合っています

STEP2 2つの条件を代入して等置する

$$I_1=\frac{6E}{90\cdot6+90R_x+6R_x}=\frac{6E}{540+96R_x}=\frac{E}{90+16R_x}$$
❸ 条件1(90 Ω・6 Ω)
分子分母を6で約分すると軽くなる
$$I_2=\frac{4E}{70\cdot4+70R_x+4R_x}=\frac{4E}{280+74R_x}=\frac{2E}{140+37R_x}$$
❹ 条件2(70 Ω・4 Ω)
2で約分
$$\frac{E}{90+16R_x}=\frac{2E}{140+37R_x}$$
❺ 条件「I₁=I₂」
E≠0 なので両辺をEで割れる

先に約分しておくのが本番でのコツです。540や280のまま進めても答えは同じですが、たすき掛けで4桁の掛け算が発生します。約分後なら3桁で済みます。

STEP3 1次方程式を解く

$$140+37R_x=2(90+16R_x)$$
❻ たすき掛け
$$140+37R_x=180+32R_x$$
❼ 展開
$$5R_x=40\;\Rightarrow\;R_x=8\;[\Omega]$$
❽ 解
R_x²の項は現れず、1次で解ける
R2とRxの並列合成抵抗、全電流I0、分流則を順に使ってRx枝電流の一般式を導き、平成23年度の二条件の電流式を示すポイント解説図
R₂∥Rₓを合成し、全電流I₀を求めてから分流します。Rₓ枝の分流係数には反対側のR₂が入ります。
答え\(R_x=8\;[\Omega]\) → 選択肢(4)

代入検算:条件1では \(I_1=E/(90+128)=E/218\)、条件2では \(I_2=2E/(140+296)=2E/436=E/218\)。ぴったり一致します ✓ 仮にE=218 Vと置けば、どちらの条件でもR_x枝に1 Aが流れ、R_xの端子電圧は8 Vで同じです。

条件1のRx枝電流E割る90足す16Rxと条件2の2E割る140足す37Rxを等置し、共通の非零Eを消去してRxイコール8オームと正答4を求め代入検算する問題の解説図
I₁=E/(90+16Rₓ)とI₂=2E/(140+37Rₓ)を等置します。Rₓ=8 Ωなら両条件ともI=E/218となり、正答は(4)です。

誤答の正体:他の選択肢では2条件が一致しない

5つの選択肢すべてについて、条件1と条件2の \(I/E\)(電源1 Vあたりの枝電流)を計算しました。一致するのは1つだけです。

選択肢R_x [Ω]条件1の I/E [mS]条件2の I/E [mS]判定
(1)19.43411.299条件2のほうが大きい ×
(2)28.1979.346条件2のほうが大きい ×
(3)46.4946.944条件2のほうが大きい ×
(4)84.587(=1/218)4.587(=1/218)一致 ○
(5)123.5463.425条件1のほうが大きい ×

この表には解が1つしかないことの証明が含まれています。R_xが小さいうちは「条件2>条件1」、R_x=8で一致し、R_x=12では「条件1>条件2」と大小関係が逆転しています。大小が入れ替わる点はただ1点——それがR_x=8です。

本番でこの表を全部作る必要はありませんが、答えに自信がないときは選択肢を1つ代入して大小を見るだけでも方向が分かります。小さすぎれば条件2が大きく、大きすぎれば条件1が大きい、と当たりをつけられます。

類題との違い:令和7年度下期にほぼ同じ問題が出ている

令和7年度下期の理論科目A問題7は、この問題と同じ回路・同じ条件の与え方です。ただし数値が違います。

本問(平成23年度)令和7年度下期
条件1R₁=90 Ω、R₂=6 ΩR₁=90 Ω、R₂=6 Ω
条件2R₁=70 Ω、R₂=4 ΩR₁=70 Ω、R₂=3 Ω

条件2のR₂だけが違います。過去問を回していると「見たことがある」と感じて数値を確認せずに答えを書いてしまいがちですが、それこそが最大の罠です。覚えるべきは答えの数値ではなく \(I=ER_2/(R_1R_2+R_1R_x+R_2R_x)\) という式の作り方——式さえ手が覚えていれば、数値が変わっても2分で解けます。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 電源電圧が与えられていない問題は、「等しい」という条件でEが消える設計だと見抜く
② 分流則は「求める枝の分子は相手の抵抗」。R_xを求めるならR₂が分子
③ 一般式 \(I=ER_2/(R_1R_2+R_1R_x+R_2R_x)\) を作ってから代入する。2回同じ計算を書かずに済む
④ 代入した直後に約分する(6や2でくくる)。たすき掛けの桁が1つ減る
⑤ 迷ったら選択肢を1つ代入し、条件1と条件2の大小を見て探索方向を決める

💡 覚え方
分流則は「電流はアマノジャク」。R_xの電流を求めるのに、分子に来るのは相手のR₂。抵抗が小さい枝ほど電流が多い、という事実と符合します(相手が大きいほど自分に多く流れる)。

⚠️ よくある間違い
問題のIをR₁の全電流I₀と取り違えるのが最頻出です。図の電流矢印がどの枝に描かれているかを必ず確認してください。もう一つはEを消す根拠の曖昧さ——「両条件で同じEだから」であって、「Eは関係ないから」ではありません。

まとめ

回路構成R1+(R2∥Rx
Rx枝電流I=ER2/(R1R2+R1Rx+R2Rx)
条件1I1=E/(90+16Rx)
条件2I2=2E/(140+37Rx)
検算Rx=8 ΩでI1=I2=E/218
正答Rx=8 Ω、(4)

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