今回は平成23年度 理論科目 A問題7を解説します。可変抵抗R1・R2、固定抵抗Rx、電源Eからなる直並列回路で、二つの抵抗設定におけるRx枝の電流Iが等しいときのRx [Ω]を求めます。回路構成、分流則、電源Eを消去できる条件、代入検算まで順に確認します。
回路はR1+(R2∥Rx)です。R1を流れる全電流I0と、分流後にRxだけを流れるIを混同しないことが第一のポイントです。合成抵抗と分流則を順に使い、二条件の枝電流を等置します。
平成23年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の平成23年度公式問題PDF(理論・問7、PDF 9ページ、冊子表示-6-、管理記号T1-R009)と公式解答PDFを照合して進めます。下の問題画像はサイト独自の科目見出しを加え、公式のページ番号と管理記号を省いていますが、回路、電源極性、可変抵抗記号、電流矢印、二条件、五つの選択肢は公式内容と一致するため保持しています。

電験3種 理論科目 【直並列回路・分流則】 平成23年度 A問題7
図のように、可変抵抗R1〔Ω〕、R2〔Ω〕、抵抗Rx〔Ω〕、電源E〔V〕からなる直流回路がある。次に示す条件1のときのRx〔Ω〕に流れる電流Iの値と条件2のときの電流Iの値は等しくなった。このとき、Rx〔Ω〕の値として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。 条件1:R1=90Ω、R2=6Ω 条件2:R1=70Ω、R2=4Ω
(1)1 (2)2 (3)4 (4)8 (5)12〔Ω〕

出題のポイント:「同じ電流になった」という条件の使い方
この問題は一見すると情報が足りません。電源電圧Eの値が与えられていないのです。それでもR_xが確定するのは、条件の書かれ方に秘密があります。
「条件1のときのIと条件2のときのIが等しくなった」——つまり2つの式を等号で結べます。両方の式に同じEが掛かっているので、等号で結んだ瞬間にEが消える。だからEの値を知らなくても解けるのです。
| 条件1 | 条件2 | 共通しているもの | |
| R₁ | 90 Ω | 70 Ω | —(変わる) |
| R₂ | 6 Ω | 4 Ω | —(変わる) |
| R_x | 未知 | 未知 | 同じ値 |
| E | 未知 | 未知 | 同じ値(かつ0でない) |
| I | — | — | 等しい(問題の条件) |
「Eが0でない」という点が重要です。もしE=0なら、R_xがいくつでも両方の電流が0 Aになって等しくなり、答えが決まりません。割り算でEを消せるのは、Eが0でないと保証されているからです。

回路の形を正しく読む:R₁は直列、R₂とR_xは並列
もうひとつの分岐点は、求めるIがどの電流かです。
| 電流 | どこを流れるか | この問題では |
| I₀(全電流) | 電源からR₁を通って分岐点まで | 問題が聞いている電流ではない |
| I | 分岐後、R_xだけを流れる | これを求める |
| I₀−I | 分岐後、R₂を流れる | — |
回路はR₁と(R₂∥R_x)の直列です。R₁には全電流が流れ、そこから先で2つに分かれます。分流則を使うとき、R_x枝の分子には反対側のR₂が入る——ここが分流則の最も間違えやすい点です。
問題の解説:Iの一般式を作ってから2条件を代入する
STEP1 R_x枝の電流を1本の式にまとめる
このままでは扱いにくい
分母は3項の対称式になる
この形は覚えておく価値があります。分母の \(R_1R_2+R_1R_x+R_2R_x\) は3つの抵抗から2つずつ選んだ積の和——きれいな対称形です。単位はΩ²、分子はV・Ωなので、割ればA。次元も合っています。
STEP2 2つの条件を代入して等置する
分子分母を6で約分すると軽くなる
2で約分
E≠0 なので両辺をEで割れる
先に約分しておくのが本番でのコツです。540や280のまま進めても答えは同じですが、たすき掛けで4桁の掛け算が発生します。約分後なら3桁で済みます。
STEP3 1次方程式を解く
R_x²の項は現れず、1次で解ける

代入検算:条件1では \(I_1=E/(90+128)=E/218\)、条件2では \(I_2=2E/(140+296)=2E/436=E/218\)。ぴったり一致します ✓ 仮にE=218 Vと置けば、どちらの条件でもR_x枝に1 Aが流れ、R_xの端子電圧は8 Vで同じです。

誤答の正体:他の選択肢では2条件が一致しない
5つの選択肢すべてについて、条件1と条件2の \(I/E\)(電源1 Vあたりの枝電流)を計算しました。一致するのは1つだけです。
| 選択肢 | R_x [Ω] | 条件1の I/E [mS] | 条件2の I/E [mS] | 判定 |
| (1) | 1 | 9.434 | 11.299 | 条件2のほうが大きい × |
| (2) | 2 | 8.197 | 9.346 | 条件2のほうが大きい × |
| (3) | 4 | 6.494 | 6.944 | 条件2のほうが大きい × |
| (4) | 8 | 4.587(=1/218) | 4.587(=1/218) | 一致 ○ |
| (5) | 12 | 3.546 | 3.425 | 条件1のほうが大きい × |
この表には解が1つしかないことの証明が含まれています。R_xが小さいうちは「条件2>条件1」、R_x=8で一致し、R_x=12では「条件1>条件2」と大小関係が逆転しています。大小が入れ替わる点はただ1点——それがR_x=8です。
本番でこの表を全部作る必要はありませんが、答えに自信がないときは選択肢を1つ代入して大小を見るだけでも方向が分かります。小さすぎれば条件2が大きく、大きすぎれば条件1が大きい、と当たりをつけられます。
類題との違い:令和7年度下期にほぼ同じ問題が出ている
令和7年度下期の理論科目A問題7は、この問題と同じ回路・同じ条件の与え方です。ただし数値が違います。
| 本問(平成23年度) | 令和7年度下期 | |
| 条件1 | R₁=90 Ω、R₂=6 Ω | R₁=90 Ω、R₂=6 Ω |
| 条件2 | R₁=70 Ω、R₂=4 Ω | R₁=70 Ω、R₂=3 Ω |
条件2のR₂だけが違います。過去問を回していると「見たことがある」と感じて数値を確認せずに答えを書いてしまいがちですが、それこそが最大の罠です。覚えるべきは答えの数値ではなく \(I=ER_2/(R_1R_2+R_1R_x+R_2R_x)\) という式の作り方——式さえ手が覚えていれば、数値が変わっても2分で解けます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電源電圧が与えられていない問題は、「等しい」という条件でEが消える設計だと見抜く
② 分流則は「求める枝の分子は相手の抵抗」。R_xを求めるならR₂が分子
③ 一般式 \(I=ER_2/(R_1R_2+R_1R_x+R_2R_x)\) を作ってから代入する。2回同じ計算を書かずに済む
④ 代入した直後に約分する(6や2でくくる)。たすき掛けの桁が1つ減る
⑤ 迷ったら選択肢を1つ代入し、条件1と条件2の大小を見て探索方向を決める
💡 覚え方
分流則は「電流はアマノジャク」。R_xの電流を求めるのに、分子に来るのは相手のR₂。抵抗が小さい枝ほど電流が多い、という事実と符合します(相手が大きいほど自分に多く流れる)。
⚠️ よくある間違い
問題のIをR₁の全電流I₀と取り違えるのが最頻出です。図の電流矢印がどの枝に描かれているかを必ず確認してください。もう一つはEを消す根拠の曖昧さ——「両条件で同じEだから」であって、「Eは関係ないから」ではありません。
まとめ
| 回路構成 | R1+(R2∥Rx) |
| Rx枝電流 | I=ER2/(R1R2+R1Rx+R2Rx) |
| 条件1 | I1=E/(90+16Rx) |
| 条件2 | I2=2E/(140+37Rx) |
| 検算 | Rx=8 ΩでI1=I2=E/218 |
| 正答 | Rx=8 Ω、(4) |
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・分流・直並列回路の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題7

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