今回は平成29年度 理論科目 A問題5を解説します。25 V電源と4個の抵抗(20 Ω、10 Ω×2、5 Ω)からなる回路で、20 Ωを流れる電流I〔A〕を求めます。複雑に見える配線をノード単位で整理し、電流が流れない5 Ωを見抜くことが要点です。
上側5 Ωの左右端は、外周の理想導線によって電源の負極側を含む同じノードNへ直結されています。よって5 Ωの両端電圧は0 V、電流も0 Aです。残る二つの10 Ωは中央ノードCと外周ノードNの同じ2点間に接続されるため並列となり、回路を単純化できます。
平成29年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問5)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・選択肢・回路図は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成29年度 A問題5
図のように直流電源と4個の抵抗からなる回路がある。この回路において20Ωの抵抗に流れる電流Iの値〔A〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.5 (2)0.8 (3)1.0 (4)1.2 (5)1.5〔A〕

出題のポイント:5 Ωは「同じノード間」なので電流が流れない
この問題の勝負どころは、計算を始める前の回路の読み替えです。外周の導線(左辺・下辺・右辺)は途中に素子を挟まない一続きの理想導線なので、全体がひとつのノードNです。すると上側の5 Ωは「NとNの間」に接続されていることになり、両端の電位差が0 V、つまり電流0 Aと判定できます。下の図で変形の流れを確認してください。

問題の解説:3ステップで I を求める
STEP1 ノード整理 — なぜ5 Ωに電流が流れないのか
理想導線の抵抗は0 Ωなので、どれだけ電流が流れても電圧降下は \(V=RI=0\;\mathrm{V}\)。つまり一続きの導線上はどこでも同じ電位です。左辺・下辺・右辺の導線は素子を挟まずつながっているので、まとめてひとつのノードNとみなせます。
上側5 Ωの左端も右端も、導線をたどればこのNに直結しています。両端が同じ電位なら$$V_5=0\;[\mathrm{V}],\qquad I_5=\frac{V_5}{5}=0\;[\mathrm{A}]$$となり、5 Ωは「つながってはいるが電流0の枝」として合成抵抗の計算から除外できます。電流が流れないのは抵抗が大きいからではなく、両端の電位差が0だから——ここを理屈で押さえておくと、初見の回路でも応用が利きます。
STEP2 並列合成 — 10 Ω2本をまとめる
5 Ωを除くと、二つの10 Ωはどちらも中央ノードCと外周ノードNの間に接続されているので並列です。
二つの10 Ωを1本にまとめる
共通枝の20 Ωと足す(0 Aの5 Ωは含めない)
STEP3 オームの法則と二重の検算
電源電圧25 Vを合成抵抗25 Ωで割る
求めた \(I=1.0\;\mathrm{A}\) が正しいか、2通りで検算します。電圧:20 Ωの電圧降下は20 V、並列部(5 Ω相当)は5 Vで、\(20+5=25\;\mathrm{V}\) と電源電圧に一致。電力:\(20+2.5+2.5=25\;\mathrm{W}\) が電源の供給 \(25\;\mathrm{V}\times1.0\;\mathrm{A}=25\;\mathrm{W}\) と一致。どちらも合うので確定です。
誤答はこう作られる — 選択肢の値を逆算する
この問題の誤答選択肢は、いずれも「ありがちな読み間違い」をした人がたどり着く値になっています。自分がどの間違いをしやすいかを知る手がかりになります。
| 選択肢 | 値 | その値が出てしまう計算 |
| (1) | 0.5 A | 各10 Ω枝に分かれた後の電流0.50 Aを、分岐前の I と混同 |
| (2) | 0.8 A | 0 Aの5 Ωを直列に加算:25/(20+5+5)≒0.83 A |
| (3) | 1.0 A | 正解:25/(20+10∥10)=1.0 A |
| (4) | 1.2 A | 5 Ωを10∥10とさらに並列合成:5∥5=2.5 Ω → 25/22.5≒1.11 A |
| (5) | 1.5 A | 単純な計算ミスからは出にくいダミー値(検算で確実に排除できる) |
別解:左右対称性から0 Aを見抜く
この回路は、電源と20 Ωを通る中央の縦軸に対して左右対称です。対称な回路では、対称軸を挟んで対応し合う2点の電位は等しくなります。5 Ωの左端と右端はちょうど対称の位置にあるため等電位で、電流は流れません。
ただし対称性の議論は「電源も含めて完全に対称」のときにしか使えません。本問は電源が対称軸上にあるので成立します。導線をたどるノード整理はどんな回路でも使える確実な方法、対称性は速いが条件付きの方法——本番では両方を知っておき、対称性で見抜いてノード整理で裏取りするのが理想です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 目標解答時間:2分
① 図を見た瞬間に「素子のない導線」を眺め、同じノードを1色で塗る(頭の中でOK)
② 0 Aの枝を消した簡易図を余白に描き直す——ここまでで勝負は決まり、計算は 10∥10=5、20+5=25、25÷25=1.0 の暗算3手
③ 選択肢が0.2〜0.3刻みで並ぶ問題は概算では絞りきれないので、検算(一周の電圧和=電源電圧)を30秒だけ入れて確定させる
「電流0の枝を見抜く」問題の出題履歴
同じノード・等電位・平衡ブリッジを根拠に「電流が流れない枝」を見抜かせる問題は、直流回路の定番です。本問とあわせて解くと確実に定着します。
| 年度 | 記事 | 見抜くもの |
| 平成29年度 A問題5 | 本問(直流回路36) | 外周導線=同一ノード → 5 Ωが0 A |
| 平成25年度 A問題8 | 直流回路51 | 対称性と短絡の見抜き |
| 平成19年度 A問題6 | 直流回路65 | スイッチ開閉で電流不変=平衡ブリッジ |
| 令和4年度下期 A問題5 | 直流回路21 | 平衡ブリッジ(検流計0 A) |
| 令和4年度上期 A問題7 | 直流回路26 | 6抵抗ブリッジの合成 |
💡 解法の順序
導線をたどってノードをまとめる → 同一ノード間の5 Ωを0 Aと判定 → 10 Ω∥10 Ω=5 Ω → 20 Ωを直列加算 → オームの法則の順に進めます。見た目の左右対称だけでなく、素子を挟まず直結されているかを確認するのが確実です。
⚠️ よくある間違い
上側5 Ωを20 Ωや10 Ωと直列・並列合成してはいけません。5 Ωの両端は同じノードNなので0 Aです。また、二つの10 Ωを直列20 Ωと考えず、同じC-N間の並列と判断します。20 Ωの1.0 Aと、各10 Ω枝の0.50 Aも混同しないよう注意します。
まとめ
| 確認項目 | 結果 |
| 外周導線 | 左・下・右は同じノードN |
| 上側5 Ω | 0 V、0 A、0 W |
| 10 Ω×2 | 並列で5 Ω |
| 全抵抗 | 20+5=25 Ω |
| 20 Ωの電流 | I=25/25=1.0 A |
| 各10 Ωの電流 | 0.50 Aずつ |
| 電圧検算 | 20 V+5 V=25 V |
| 電力検算 | 20+2.5+2.5=25 W |
| 正答 | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・対称回路・合成抵抗の関連問題:【理論】令和4年度上期A問題7

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