直流回路35【電験3種 理論】定電圧源と定電流源を含む回路で抵抗Rを求める!平成30年度 A問題7 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 平成30年度 A問題7 定電圧源と定電流源の回路!抵抗Rは何Ω?

今回は平成30年度 理論科目 A問題7を解説します。定電圧源E=10 V、定電流源I=2 A、抵抗r=1 Ω、未知抵抗Rを含む回路で、スイッチSを閉じると抵抗Rの電流IRが2倍になるときのRを求めます。S開とS閉で電流の経路がどう変わるかを整理し、節点方程式で解きます。

S開では定電圧源側の枝が開放され、定電流源の2 AがすべてRへ流れるためIR=2 Aです。条件よりS閉ではIR=4 Aとなります。S閉時の節点Aへ流れ込む二つの電流と、Rへ流れ出す電流をそろえるのが解法の中心です。

目次

平成30年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問7)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・選択肢・回路図は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 直流回路 平成30年度 A問題7 問題文
平成30年度 理論科目 A問題7 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成30年度 A問題7

 図のように、直流電圧E=10Vの定電圧源、直流電流I=2Aの定電流源、スイッチS、r=1ΩとR〔Ω〕の抵抗からなる直流回路がある。この回路において、スイッチSを閉じたとき、R〔Ω〕の抵抗に流れる電流IRの値〔A〕がSを閉じる前に比べて2倍に増加した。Rの値〔Ω〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)2 (2)3 (3)8 (4)10 (5)11〔Ω〕

図 定電圧源E=10V・スイッチS・r=1Ω・抵抗Rと定電流源I=2Aの回路(問題図)
図 定電圧源E=10V・スイッチS・r=1Ω・抵抗Rと定電流源I=2Aの回路(問題図)

出題のポイント:S開でも定電流源は2 Aを流し続ける

この問題最大の落とし穴が「Sを開いたらIR=0」と考えてしまうことです。スイッチが切れるのは定電圧源側の枝であって、定電流源は健在。定電流源は何があっても決まった電流を流し続ける素子なので、2 Aはどこかへ流れなければなりません。

そして帰り道はRしかない——だからS開のときIR=2 Aです。ここが確定すれば、「2倍」という条件からS閉のときIR=4 Aと決まります。

もう一点、rとRは単純な直列ではありません。両者の間に定電流源の分岐があるので、rを流れる電流とRを流れる電流は別物です。だから「\(E/(r+R)\)」のような式は使えず、節点で電流を足し合わせる必要があります。

S開では定電流源2AがすべてRを流れてIR=2A、S閉ではIR=4Aになる正しい回路を並べた出題のポイント図
S開では左枝が開放され、2 Aの全電流がRへ流れます。S閉では問題の条件からRの電流だけが2倍の4 Aになります。

問題の解説:節点Aで流入と流出をそろえる

使う公式:節点電圧法(定電流源がある場合)
$$\frac{E-V_A}{r}+I_{\text{電流源}}=\frac{V_A}{R}$$

左辺=節点Aへの流入、右辺=流出。定電流源からの流入は電位によらず一定なので、そのまま足すだけです。

STEP1 S開のときの電流を確定する

左枝が開放されても、定電流源の2 Aの帰り道はRだけ。

$$I_{R,\text{開}}=2\;[\mathrm{A}]$$
❶ S開
電流源の全電流がRへ
$$I_{R,\text{閉}}=2\times2=4\;[\mathrm{A}]$$
❷ 2倍条件
問題文の条件から

STEP2 S閉のときの節点方程式を立てる

節点Aの電位を \(V_A\) とすると、左枝からの流入は \((10-V_A)/1\)、電流源からの流入は2 A、Rへの流出は4 Aです。

$$\frac{10-V_A}{1}+2=4$$
❸ 流入=流出
未知数はV_Aだけ
$$10-V_A=2\;\Rightarrow\;V_A=8\;[\mathrm{V}]$$
❹ 解く
rでの電圧降下は2 V
S閉時の節点Aで左枝から(10-VA)/1アンペア、電流源から2アンペアが流入し、Rへ4アンペアが流出する節点方程式図
節点Aへの流入は左枝の(10−VA)/1 Aと定電流源の2 A、流出はRの4 Aです。よってVA=8 Vとなります。

STEP3 Rを求めて検算する

$$R=\frac{V_A}{I_R}=\frac{8}{4}=2\;[\Omega]$$
❺ オームの法則

両状態での検算:R=2 Ωなら、S開では \(V=2\times2=4\;\mathrm{V}\)、\(I_R=2\;\mathrm{A}\)。S閉では \(V_A=8\;\mathrm{V}\)、\(I_R=4\;\mathrm{A}\) ——確かに2倍です ✓

電力収支での検算(S閉):定電圧源は \(10\times2=20\;\mathrm{W}\)、定電流源は \(8\times2=16\;\mathrm{W}\) を供給。消費は \(r\) が \(2^2\times1=4\;\mathrm{W}\)、\(R\) が \(4^2\times2=32\;\mathrm{W}\)。合計36 W同士で一致します ✓

答え\(R=2\;[\Omega]\) → 選択肢(1) (S開2 A・S閉4 Aで確かに2倍 ✓)
S開でIR=2A、S閉でIR=4AとVA=8V、R=8/4=2オーム、正答1、数値検算と電力収支を示す解答図
S閉時の節点電圧は8 V。R=VA/IR=8/4=2 Ωで正答は(1)です。S開閉の数値と電力収支でも検算できます。

選択肢を回路に戻して検算する

各選択肢のRについて、S開とS閉のIRを計算し、倍率がちょうど2になるかを確かめます。S閉の節点電位は \(V_A=(E/r+I)/(1/r+1/R)\) で求まります。

選択肢R [Ω]S開の IR [A]S閉の VA [V]S閉の IR [A]倍率判定
(1)22.008.004.002.00
(2)32.009.003.001.50×
(3)82.0010.671.330.67×
(4)102.0010.911.090.55×
(5)112.0011.001.000.50×

興味深いのは、Rが大きいと倍率が1を下回ることです。R=8 Ω以上ではSを閉じるとIRが減ってしまいます。理由は、Rが大きいとS開時の電圧 \(2R\) が電源の10 Vを超えてしまい、Sを閉じると左枝が電流を吸い込む側に回るから。「スイッチを閉じれば必ず電流が増える」わけではない——定電流源を含む回路ならではの現象です。

定電圧源と定電流源の性格の違い

2種類の電源が同居する回路では、それぞれの「譲らないもの」を意識すると混乱しません。

定電圧源定電流源
決まっているもの両端の電圧(本問は10 V)流す電流(本問は2 A)
外部が決めるもの流れる電流両端の電圧
内部抵抗0(理想)無限大(理想)
等価回路を作るとき短絡に置き換える開放に置き換える
この回路での役割節点電位を10 V側へ引っ張る2 Aを押し込み続ける

本問でS閉のとき節点電位が8 Vに落ち着くのは、「10 Vに引っ張る力」と「2 Aを押し込む力」が釣り合う点だからです。節点方程式 \((10-V_A)/1+2=V_A/R\) は、まさにこの綱引きを式にしたものになっています。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
定電流源はスイッチに関係なく電流を流し続ける。S開でIR=0としない
② 定電流源の分岐を挟む抵抗は直列にまとめられない。節点方程式を使う
③ 節点方程式は「流入=流出」。定電流源はそのまま項として足す
④ 検算は両状態のIRを出して倍率を確認+電力収支

定電流源を含む回路の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
平成30年度 A問題7本問(直流回路35)定電圧源と定電流源を含む回路で抵抗R
令和5年度上期 A問題6直流回路19電圧源と電流源を含む回路で3 Ωの電流
平成24年度 A問題5直流回路52電圧源をノートン等価(電流源)に変換
令和6年度上期 A問題5直流回路102電源はしご回路を節点法で解く
令和7年度上期 A問題7直流回路7スイッチで全電流が3倍になる抵抗R

💡 覚え方
定電流源はスイッチに関係なく流し続ける。S開でIR=2 A → 2倍条件でS閉は4 A → 節点方程式 \((10-V_A)/1+2=4\) から \(V_A=8\;\mathrm{V}\) → \(R=8/4=2\;\Omega\)。

⚠️ よくある間違い
S開でIR=0としない(電流源の帰り道はRだけ)。S閉の節点電圧を電源と同じ10 Vにしない(rで2 V降下します)。rとRは直列ではありません(間に電流源の分岐があります)。

まとめ

確認項目結果
S開のR電流IR=2 A
S開のR電圧V=2R=4 V
S閉のR電流IR=4 A
S閉の節点方程式(10−VA)/1+2=4
S閉の節点電圧VA=8 V
抵抗rの電流・電圧降下2 A、2 V
未知抵抗R=8/4=2 Ω
電力収支(S閉)供給36 W=消費36 W
正答(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・定電流源・重ね合わせの関連問題:【理論】令和5年度上期A問題6

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次