直流回路41【電験3種 理論】コンデンサ回路で各素子が耐圧を超えない最大電圧を求める!平成28年度 A問題7 完全解説

電験3種 理論科目 静電容量・コンデンサ回路 平成28年度 A問題7 コンデンサが壊れない限界!加えられる最大電圧は?

今回は平成28年度 理論科目 A問題7を解説します。静電容量1 μFのコンデンサ3個を接続した回路で、すべてのコンデンサの電圧を500 V以下に保てるa-b間の最大電圧Vmを求めます。左の単独コンデンサと右の並列合成部に分けることが出発点です。

左の1個をC1、右上をC2、右下をC3とします。C2とC3の並列合成部は2 μFで、C1=1 μFと直列です。直列2部分の総電荷の大きさは同じですが、並列部ではその電荷がC2とC3に分かれる点まで区別します。

目次

平成28年度 理論科目 A問題7:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問7)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・選択肢・回路図は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 直流回路 平成28年度 A問題7 問題文
平成28年度 理論科目 A問題7 問題文

電験3種 理論科目 【静電容量・コンデンサ回路】 平成28年度 A問題7

 静電容量が1μFのコンデンサ3個を図のように接続した回路を考える。全てのコンデンサの電圧を500V以下にするために、a-b間に加えることができる最大の電圧Vmの値〔V〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、各コンデンサの初期電荷は零とする。

(1)500 (2)625 (3)750 (4)875 (5)1000〔V〕

図 1μFのコンデンサ3個(C₁直列+C₂・C₃並列)の回路(問題図)
図 1μFのコンデンサ3個(C₁直列+C₂・C₃並列)の回路(問題図)

出題のポイント:コンデンサの直列は「電荷が共通」、電圧は容量の逆比

抵抗の直列では電流が共通でしたが、コンデンサの直列では電荷が共通になります。理由は簡単で、直列につながれた2つのコンデンサの間にある導体は外界から孤立しており、そこに現れる正負の電荷は必ず同じ大きさになるからです。

電荷Qが共通なら \(V=Q/C\) なので、電圧は静電容量に反比例します。つまり容量が小さいコンデンサほど大きな電圧を負担する——ここが耐圧問題の急所です。本問ではC₁が1 μF、右側の並列部が2 μFなので、電圧比は \(V_1:V_p=2:1\)。C₁が先に耐圧500 Vに達します

なお共通なのは「C₁の電荷」と「並列部全体の電荷」であって、C₂とC₃それぞれの電荷ではありません。並列部の中では電荷が2つに分かれます。ここを混同しないことが2つ目のポイントです。

1マイクロファラドのC1と、各1マイクロファラドのC2・C3の並列合成部が直列で、両直列部分の総電荷Qが同じことを示す出題のポイント図
C₁=1 μFとC₂∥C₃=2 μFが直列です。共通なのはC₁と並列合成部の総電荷Qであり、C₂・C₃個別の電荷ではありません。

問題の解説:一番きついコンデンサを基準に逆算する

使う公式:コンデンサの並列合成・直列の分圧
$$C_{\text{並列}}=C_2+C_3\qquad\text{(容量は足し算)}$$$$V_1:V_2=\frac{1}{C_1}:\frac{1}{C_2}=C_2:C_1\qquad\text{(直列は容量の逆比で分圧)}$$

※抵抗とは逆で、並列で足し算・直列で逆数和。耐圧問題では「容量が小さいほうが高電圧を負担する」と覚えておくと、どれが先に壊れるか即断できます。

STEP1 右側の2個を1つにまとめる

C₂とC₃は同じ2節点の間にあるので並列。容量はそのまま足せます。

$$C_p=C_2+C_3=1+1=2\;[\mu\mathrm{F}]$$
❶ 並列合成
コンデンサの並列は足し算
$$V_1:V_p=C_p:C_1=2:1$$
❷ 直列の分圧
容量の逆比。C₁が2倍の電圧を負担

STEP2 先に限界に達するC₁を500 Vに固定する

C₁の電圧は並列部の2倍なので、a-b間の電圧を上げていくとC₁が最初に500 Vへ到達します。そこが限界です。

$$Q=C_1V_1=1\;\mu\mathrm{F}\times500\;\mathrm{V}=500\;\mu\mathrm{C}$$
❸ 共通電荷
直列なので並列部の総電荷も500 μC
$$V_p=\frac{Q}{C_p}=\frac{500\;\mu\mathrm{C}}{2\;\mu\mathrm{F}}=250\;[\mathrm{V}]$$
❹ 並列部の電圧
C₂もC₃も250 Vで耐圧内
C1が1マイクロファラド、並列合成部が2マイクロファラドの等価直列回路で、電圧比V1対Vpが2対1となることを示すポイント解説図
直列部の電圧は容量の逆比なので、V₁:Vₚ=2:1です。C₂とC₃は並列のため、各電圧はどちらもVₚになります。

STEP3 直列2部分の電圧を足す

$$V_m=V_1+V_p=500+250=750\;[\mathrm{V}]$$
❺ 電圧則
a-b間の最大電圧

電荷保存での検算:C₂とC₃にはそれぞれ \(1\;\mu\mathrm{F}\times250\;\mathrm{V}=250\;\mu\mathrm{C}\) が蓄えられ、合計500 μC。C₁の500 μCと一致します(中間の導体は初期電荷0の孤立節点なので、正負が打ち消し合って合計0になります)。

答え\(V_m=750\;[\mathrm{V}]\) → 選択肢(3) (C₁=500 V・C₂=C₃=250 V、電荷 500=250+250 μC ✓)
並列合成2マイクロファラド、電圧配分2対1、C1が500ボルト・並列部が250ボルトから最大電圧750ボルトと正答3を求め、各電荷を検算する図
最大時はC₁=500 V、C₂=C₃=250 Vで、Vₘ=750 Vです。電荷はQ₁=500 μC、Q₂=Q₃=250 μCとなり、Q₁=Q₂+Q₃も満たします。

選択肢を回路に戻して検算する

各選択肢のVmを容量の逆比 \(2:1\) で分けて、3個すべてが500 V以下に収まるかを確かめます。収まる中で最大のものが答えです。

選択肢Vm [V]C₁の電圧 (2/3)Vm [V]C₂・C₃の電圧 (1/3)Vm [V]判定
(1)500333.3166.7○だが最大ではない
(2)625416.7208.3○だが最大ではない
(3)750500.0250.0○(C₁がちょうど限界)
(4)875583.3291.7×(C₁が耐圧超過)
(5)1000666.7333.3×(C₁が耐圧超過)

この表が示すとおり、(1)と(2)も「500 V以下」という条件自体は満たしています。しかし問題は最大のVmを聞いているので、条件を満たす中で一番大きい(3)が答えです。「条件を満たす/最大である」の2段階を意識しないと、つい(1)の500 Vを選んでしまいます。

なぜ容量が小さいほうが高電圧を負担するのか

直列につながれたコンデンサには、必ず同じ大きさの電荷が蓄えられます。同じ電荷Qを溜めるのに必要な電圧は \(V=Q/C\)——容量が小さい(=電荷を溜めにくい)コンデンサほど、同じQを溜めるために高い電圧が必要になります。

実務でもこれは重要で、高圧回路でコンデンサを直列に使うとき、容量のばらつきがあると容量の小さい個体に電圧が集中して先に絶縁破壊することがあります。だから実際の機器では、各コンデンサに並列抵抗(分圧抵抗)を入れて電圧を強制的に均等化する対策が取られます。試験問題の「耐圧を超えない最大電圧」は、この現実の設計課題をそのまま出題したものです。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① コンデンサは並列で足し算・直列で逆数和(抵抗と逆)。まず並列部をまとめる
② 直列の分圧は容量の逆比容量が小さいほうが高電圧=先に限界に達する
③ 耐圧問題は一番きつい素子を耐圧ちょうどに固定して、そこから全体を逆算する
④ 「最大の○○」と問われたら、条件を満たす中で最大を選ぶ(小さい値も条件は満たす)

コンデンサ回路の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
平成28年度 A問題7本問(直流回路41)耐圧を超えない最大電圧
平成26年度 A問題5直流回路45定常状態の浮遊節点の電位(電荷保存)
令和4年度上期 A問題6直流回路25直列充電したコンデンサを並列に繋ぎ直すと電圧は
平成20年度 A問題5直流回路61コンデンサの繋ぎ替えと電圧
令和4年度下期 A問題6直流回路22コンデンサの直列・並列回路の比較

💡 覚え方
コンデンサは並列で足す・直列は容量の逆比で分圧小さい容量ほど高電圧なので、そこを耐圧ちょうどに固定して逆算。本問は C₁=500 V → Q=500 μC → Vp=250 V → 合計750 V。

⚠️ よくある間違い
3個すべての電荷が同じではありません(C₁の500 μCが並列部で250 μCずつに分かれます)。また「500 V以下にする最大電圧」なので、条件を満たすだけの(1) 500 Vを選ばないこと。

まとめ

回路C1直列+(C2∥C3=2μF)
限界C1が500V→Q=500μC
並列部電圧250V
答えVm=500+250=750V …(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・コンデンサの直列・耐圧の関連問題:【理論】令和4年度上期A問題6

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