直流回路45【電験3種 理論】コンデンサ回路の定常状態でa-b間電圧を求める!平成26年度 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 静電容量回路 平成26年度 A問題5 充電が終わった回路!a-b間の電圧は何Vになる?

今回は平成26年度 理論科目 A問題5を解説します。初期電荷0の3個のコンデンサに対してS₁・S₂を同時に閉じ、十分時間が経過した後のa点からみたb点の電圧V=Vb−Vaを求める問題です。

閉じた直後は充電の過渡電流が流れ、十分後にはコンデンサ電流が0になります。ただし、電流0だけではbの電位は決まりません。bが外部へ導通しない浮遊導体で、初期電荷が0であるため、b側極板の総電荷が0に保存されることを使います。

目次

平成26年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問5)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文・選択肢・回路図は公式内容を再構成した既存画像で、元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 直流回路 平成26年度 A問題5 問題文
平成26年度 理論科目 A問題5 問題文

電験3種 理論科目 【静電容量回路】 平成26年度 A問題5

 図のように、コンデンサ3個を充電する回路がある。スイッチS₁及びS₂を同時に閉じてから十分に時間が経過し、定常状態となったとき、a点からみたb点の電圧の値〔V〕として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、各コンデンサの初期電荷は零とする。

(1)−10/3 (2)−2.5 (3)2.5 (4)10/3 (5)20/3

図 20V・10Vの電源とスイッチS₁・S₂、3個のコンデンサ(10μF・20μF・10μF)の回路(問題図)
図 20V・10Vの電源とスイッチS₁・S₂、3個のコンデンサ(10μF・20μF・10μF)の回路(問題図)

出題のポイント:どこにもつながっていない節点は「電荷の合計」で決まる

定常状態のコンデンサ回路では「電流が0」までは誰でも分かります。しかしこの問題は、電流0だけでは点bの電位が決まりません。bは3つのコンデンサの極板が集まっているだけで、電源にも大地にもつながっていない浮遊した導体だからです。

そこで登場するのが電荷保存則です。b側の3枚の極板とそれをつなぐ導線は、外界から電気的に切り離された1つの島。島の外へ電荷は出入りできないので、初期電荷が0なら、いつまで経っても合計は0のままです。$$q_1+q_2+q_3=0$$この1本の式が、点bの電位を決める唯一の手がかりになります。

aを0Vとして上10μFの左側をプラス20V、中央20μFの左側を0V、下10μFの左側をマイナス10Vとし、3枚の右極板が浮遊節点bで共通接続され総電荷0となることを示す出題のポイント図
上・中央・下の左側電位は+20 V、0 V、−10 Vです。b側の各電荷は0とは限りませんが、浮遊導体bの総電荷は0に保存されます。

問題の解説:b側の電荷を符号つきで足して0とおく

使う公式:コンデンサの電荷と電荷保存則
$$q=C\,\Delta V\qquad\text{(極板間の電位差×静電容量)}$$$$\sum q_{\text{孤立部}}=\text{一定(初期電荷が0なら常に0)}$$

※電荷は必ず「注目する側の極板の電位 − 反対側の極板の電位」で計算し、3枝とも同じ向きにそろえること。ここを混ぜると符号が崩れます。

STEP1 基準を決めて、3枚の「向こう側」の電位を読む

点aを0 Vとします。電池記号は長い線が正極。上から順に、左板の電位と容量は次のようになります。

コンデンサ静電容量b と反対側の極板の電位
10 μF+20 V
中央20 μF0 V(点a と同電位)
10 μF−10 V

STEP2 b側の3つの電荷を足して0とおく

すべて \(q=C(V_b-V_{\text{反対側}})\) の形にそろえます。下側は \(V_b-(-10)=V_b+10\) となる点に注意してください。

$$10(V_b-20)+20(V_b-0)+10\{V_b-(-10)\}=0$$
❶ 電荷保存則
b側の極板電荷の合計=0
$$10V_b-200+20V_b+10V_b+100=0$$
❷ 展開
符号ミスが出やすいので丁寧に
$$40V_b=100\;\Rightarrow\;V_b=2.5\;[\mathrm{V}]$$
❸ 解く
点aから見て+2.5 V
プラス20Vから10μF、0Vから20μF、マイナス10Vから10μFを共通節点bへ接続し、b側電荷保存式からVbイコール2.5Vを求めるポイント解説図
b側極板の電荷q=C(Vb−V左)を3枝分足して0と置きます。容量を重みとする平均式になり、Vb=2.5 Vです。

STEP3 電荷を計算して保存則を確かめる

求めた \(V_b=2.5\;\mathrm{V}\) を戻して、3枚の電荷を実際に計算します。

コンデンサ計算b側の電荷 [μC]
上(10 μF)10 × (2.5 − 20)−175
中央(20 μF)20 × (2.5 − 0)+50
下(10 μF)10 × (2.5 + 10)+125
合計−175 + 50 + 1250 ✓
答え\(V=V_b-V_a=+2.5\;[\mathrm{V}]\) → 選択肢(3) (b側の電荷合計 −175+50+125=0 ✓)
上10μF、中央20μF、下10μFのb側電荷をマイナス175、プラス50、プラス125マイクロクーロンと求め、代数和0とVbマイナスVaイコール2.5V、正答3を示す解説図
b側電荷は上−175 μC、中央+50 μC、下+125 μCで、合計0です。a点からみたb点の電圧はVb−Va=+2.5 Vとなります。

選択肢を電荷保存則に戻して検算する

各選択肢の \(V_b\) を \(10(V_b-20)+20V_b+10(V_b+10)\) に代入し、電荷の合計が0になるかを確かめます。0にならなければ、どこかから電荷が湧いたことになり物理的にあり得ません。

選択肢Vb [V]b側の電荷の合計 [μC]判定
(1)−10/3 ≒ −3.33−233.3×(電荷が足りない)
(2)−2.5−200.0×
(3)+2.50.0
(4)+10/3 ≒ +3.33+33.3×(電荷が余る)
(5)+20/3 ≒ +6.67+166.7×

表の合計値は \(V_b\) に対して単調に増えるので、0を横切るのは1か所だけ。(2)の −2.5 V は符号を取り違えた場合の値で、「aから見たb」なのか「bから見たa」なのかを読み違えると引っかかります。問題文は「a点からみたb点の電圧」=\(V_b-V_a\) を聞いています。

なぜ「電流が0」だけでは解けないのか

定常状態でコンデンサに電流が流れないのは事実ですが、それは「電荷がもう動かない」と言っているだけで、いくつの電荷がどこに落ち着いたかまでは教えてくれません。抵抗回路なら電流が0ならその素子の電圧も0と決まりますが、コンデンサは電流0でも電圧を保持できます——それが蓄えるという働きだからです。

決め手になるのは「その導体島に、外から電荷が入ってこられたか」です。点bは3枚の極板と導線だけで構成され、電源にも接地にもつながっていません。スイッチを閉じる前後で島の外との電荷のやりとりは一切なく、初期値0がそのまま保存されます。浮遊節点を見たら電荷保存則——この対応を覚えておくと、コンデンサ回路の応用問題で強力な武器になります。

なお、得られた式 \(V_b=\dfrac{\sum C_kV_k}{\sum C_k}\) は容量を重みとした加重平均の形をしています。ミルマンの定理と同じ形ですが、こちらの根拠は電流則ではなく電荷保存則である点が本質的に異なります。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① コンデンサ回路でどこにもつながっていない節点を見つけたら電荷保存則
② 電荷はすべて同じ向き(注目側 − 反対側)で書く。向きを混ぜると符号が崩れる
③ 電池は長い線が正極。負電源の項は \(V_b-(-10)=V_b+10\) と符号に注意
④ 答えが出たら各電荷を計算して合計0を確認。30秒で検算できる

コンデンサ回路の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
平成26年度 A問題5本問(直流回路45)定常状態の浮遊節点の電位(電荷保存)
令和4年度上期 A問題6直流回路25直列充電したコンデンサを並列に繋ぎ直すと電圧は
平成20年度 A問題5直流回路61コンデンサの繋ぎ替えと電圧(同型)
平成28年度 A問題7直流回路41各素子が耐圧を超えない最大電圧
平成29年度 A問題6直流回路37定常状態の蓄積エネルギー総和

💡 覚え方
浮遊節点は電荷保存則。\(q=C\Delta V\) を同じ向きにそろえて合計0とおくだけ。結果は容量を重みとした加重平均 \(V_b=\sum C_kV_k/\sum C_k\) になる。

⚠️ よくある間違い
「電流0」だけでは電位は決まりません(コンデンサは電流0でも電圧を保持します)。負電源の項の符号(\(V_b+10\))に注意。問われているのは \(V_b-V_a\) であって \(V_a-V_b\) ではありません。

まとめ

左板電位・容量b側電荷
+20 V・10 μF−175 μC
中央0 V・20 μF+50 μC
−10 V・10 μF+125 μC
検算−175+50+125=0 μC
電圧・正答V=Vb−Va=+2.5 V、(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・コンデンサ回路・ミルマンの関連問題:【理論】令和4年度上期A問題6

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