今回は平成28年度 理論科目 A問題6を解説します。直流電圧E=5 Vを加えた抵抗ラダー回路で、入口電流I1に対する右端枝電流I2の比I2/I1を求めます。右端合成と2段の分流を分けて追うことがポイントです。
まず右端から合成し、第1節点から右へ進む枝を227.78 Ω、第2節点から右へ進む枝を350 Ωと見通せる形にします。次に電流分配則でI1→I′、I′→I2の割合を求め、その積を取ります。最後に実電流でも検算します。
平成28年度 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問6)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題文画像・選択肢・回路図は元のまま保持しています。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成28年度 A問題6
図のような抵抗の直並列回路に直流電圧E=5Vを加えたとき、電流比I2/I1の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.1 (2)0.2 (3)0.3 (4)0.4 (5)0.5

出題のポイント:ラダー回路は「右端から合成」して「分流を2回」
はしご状の回路で電流比を求める問題は、手順が完全に決まっています。
①右端から合成して、各節点から右を見た抵抗を求める → ②各節点で分流の割合を計算する → ③割合を掛け合わせる。本問は節点が2つなので、分流も2回です。
分流則で最も間違えやすいのがどちらの抵抗が分子に来るか。2本の並列枝のうち片方に流れる割合は$$\frac{I_{\text{注目する枝}}}{I_{\text{全}}}=\frac{R_{\text{相手の枝}}}{R_{\text{注目}}+R_{\text{相手}}}$$相手の抵抗が分子です。抵抗が小さい枝ほど電流が多く流れる——この物理を式にすると自然に「相手が分子」になります。

問題の解説:右端から畳んで分流を2回
STEP1 右端から合成する
最も右の枝から順に、直列→並列→直列とまとめていきます。
上側150 Ωと右端縦200 Ωの直列
縦100 Ωと並列
上側150 Ωを直列に加える
STEP2 第1節点での分流を求める
第1節点で \(I_1\) は縦の200 Ω枝と右へ進む227.78 Ω枝に分かれます。右へ進む電流を \(I’\) とすると、相手(200 Ω)が分子です。
分母分子を9倍して整理

STEP3 第2節点での分流を求めて掛け合わせる
第2節点では \(I’\) が縦の100 Ω枝と右端の350 Ω枝に分かれ、\(I_2\) は350 Ω側です。相手(100 Ω)が分子になります。
最も近いのは0.1
実電流での検算:\(E=5\;\mathrm{V}\) として回路全体を計算すると、\(I_1\approx46.95\;\mathrm{mA}\)、\(I_2\approx4.878\;\mathrm{mA}\)。比は \(4.878/46.95=0.1039\) で一致します ✓

選択肢との距離を確かめる
厳密値は \(8/77=0.1039\)。選択肢は0.1刻みなので判定は明確です。
| 選択肢 | 比 | 厳密値 0.1039 との差 | 判定 |
| (1) | 0.1 | 0.004 | ○ |
| (2) | 0.2 | 0.096 | × |
| (3) | 0.3 | 0.196 | × |
| (4) | 0.4 | 0.296 | × |
| (5) | 0.5 | 0.396 | × |
(2) 0.2 は2回目の分流(2/9≒0.22)だけを答えた場合に近い値です。「2段の分流を掛け合わせる」ことを忘れると、片方だけの割合を答えてしまいます。ラダー回路では節点の数だけ分流が起きる、と意識してください。
桁の見積もりで検算する
計算する前におおよその値を予想しておくと、間違いに気づきやすくなります。
第1節点では、右へ進む枝(約228 Ω)のほうが縦枝(200 Ω)よりやや大きいので、電流は半分よりやや少なめ——実際0.47です。第2節点では、右端枝(350 Ω)が縦枝(100 Ω)の3.5倍なので、右へ行く電流はかなり少ない——実際0.22です。
したがって全体では \(0.47\times0.22\approx0.1\)。「半分の半分より少し少ない」という感覚だけで、選択肢(1)にたどり着けます。厳密計算の前にこの見積もりをしておけば、計算結果が0.3や0.4になったときにすぐ誤りだと気づけます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① ラダーは右端から合成。各節点から右を見た抵抗を順に求める
② 分流則は相手の抵抗が分子。抵抗の小さい枝に多く流れる
③ 節点が2つなら分流も2回。割合を掛け合わせるのを忘れない
④ 計算前におおよその割合を見積もっておく(本問なら0.5×0.2程度)
ラダー回路・分流の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 平成28年度 A問題6 | 本問(直流回路40) | ラダー回路の電流比 I₂/I₁ |
| 平成27年度 A問題4 | 直流回路42 | 各抵抗の電圧からR₁・R₂・R₃を逆算 |
| 令和元年度 A問題5 | 直流回路32 | ラダー回路の各点の電位差 |
| 平成29年度 A問題7 | 直流回路38 | ラダー回路+電子の向き+電力量比 |
| 平成24年度 A問題6 | 直流回路53 | 直並列回路でI₁からI₄を求める |
💡 覚え方
ラダーは右端から合成(350 → 700/9 → 2050/9)。分流は相手が分子で2回(36/77 と 2/9)、掛け合わせて 8/77≈0.104。
⚠️ よくある間違い
2段の分流を掛け合わせるのを忘れないこと(片方だけだと0.2や0.47になります)。分流則の分子は相手の抵抗です。合成は必ず右端=電源から遠い側から始めます。
まとめ
| 確認項目 | 計算結果 |
| 右端直列 | 150+200=350 Ω |
| 第2節点の等価抵抗 | 100∥350=700/9=77.78 Ω |
| 第1節点の右向き枝 | 150+700/9=2050/9=227.78 Ω |
| 第1分流 | I′/I1=36/77 |
| 第2分流 | I2/I′=2/9 |
| 実電流 | I1=46.951 mA、I2=4.878 mA |
| 電流比・正答 | I2/I1=8/77=0.1039、(1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・ラダー・分流の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題7

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