直流回路34【電験3種 理論】抵抗器の許容電力から許容電流と最大電圧を求める!平成30年度 A問題5 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(直流回路) 平成30年度 A問題5 抵抗器が焼けない限界!流せる電流と電圧は?

今回は平成30年度 理論科目 A問題5を解説します。許容電力1/4 W・100 Ωの抵抗器Aと、許容電力1/8 W・200 Ωの抵抗器Bについて、直列接続で安全に流せる許容電流(ア)と、直列時と並列時の最大印加電圧の比(イ)を求めます。許容電力だけを比べるのではなく、抵抗値と組み合わせて各上限を計算することが要点です。

抵抗器の消費電力は$$P=I^2R=\frac{V^2}{R}$$です。したがって、許容電力を超えない電流は$$I_{\max}=\sqrt{\frac{P}{R}}$$、電圧は$$V_{\max}=\sqrt{PR}$$で求められます。直列は電流が共通、並列は電圧が共通という違いを先に整理すると、上限を決める抵抗器を取り違えません。

目次

平成30年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢

電気技術者試験センター公表の公式問題PDF(理論 問5)と公式解答PDFを確認しながら進めます。下の問題画像と選択肢は保持しています。

電験3種 理論科目 直流回路 平成30年度 A問題5 問題文
平成30年度 理論科目 A問題5 問題文

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 平成30年度 A問題5

 次の文章は、抵抗器の許容電力に関する記述である。許容電力¼W、抵抗値100Ωの抵抗器A、及び許容電力⅛W、抵抗値200Ωの抵抗器Bがある。抵抗器Aと抵抗器Bとを直列に接続したとき、この直列抵抗に流すことのできる許容電流の値は(ア)mAである。また、直列抵抗全体に加えることのできる電圧の最大値は、抵抗器Aと抵抗器Bとを並列に接続したときに加えることのできる電圧の最大値の(イ)倍である。

上記の記述中の空白箇所(ア)及び(イ)に当てはまる数値の組合せとして、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)〔mA〕(イ)〔倍〕
(1)25.01.5
(2)25.02.0
(3)37.51.5
(4)50.00.5
(5)50.02.0

出題のポイント:許容電力は「電流の上限」にも「電圧の上限」にも翻訳できる

抵抗器のカタログに書かれているのは許容電力(定格電力)です。これは「この電力を超えると発熱で壊れる」という上限。ところが回路で直接扱うのは電流や電圧なので、許容電力を電流の上限・電圧の上限に翻訳する必要があります。

翻訳は \(P=I^2R=V^2/R\) を解くだけです。$$I_{\max}=\sqrt{\frac{P}{R}},\qquad V_{\max}=\sqrt{PR}$$注目したいのは、抵抗値Rが分母に来るか分子に来るかで逆になること。抵抗が大きいほど流せる電流は小さくかけられる電圧は大きくなります。

そして直列は電流が共通・並列は電圧が共通。だから直列では許容電流の小さいほう、並列では許容電圧の小さいほうが全体の上限を決めます。どちらを見るかを間違えないことが本問の核心です。

抵抗器Aは100Ω・1/4W、Bは200Ω・1/8Wで、許容電流と許容電圧、直列と並列の上限判定を示す出題のポイント図
許容電力から Imax=√(P/R) と Vmax=√(PR) を求め、直列は電流、並列は電圧の小さい上限に合わせます。

問題の解説:2つの上限を別々に計算してから比べる

使う公式:許容電力から上限を求める
$$I_{\max}=\sqrt{\frac{P}{R}}\quad(\text{直列で効く}),\qquad V_{\max}=\sqrt{PR}\quad(\text{並列で効く})$$

直列は電流共通→許容電流の小さい方/並列は電圧共通→許容電圧の小さい方が全体を縛ります。

STEP1 A・Bそれぞれの上限を計算する

抵抗器許容電力 [W]抵抗 [Ω]許容電流 √(P/R)許容電圧 √(PR)
A1/4 = 0.2510050 mA5 V
B1/8 = 0.12520025 mA5 V

許容電圧はどちらも5 Vで同じ、許容電流はBがAの半分——この非対称が問題の仕掛けです。Bは許容電力が半分なのに抵抗が2倍なので、電流上限は \(\sqrt{(1/2)/2}=1/2\) 倍になります。

STEP2 直列接続の上限を求める(ア)

直列では同じ電流が両方を流れるので、先に限界に達するBの25 mAが全体の上限です。

$$I_{\text{直列}}=\min(50,\;25)=25.0\;[\mathrm{mA}]$$
❶ 小さい方に合わせる
(ア)の答え
$$V_{\text{直列}}=0.025\times(100+200)=7.5\;[\mathrm{V}]$$
❷ 全体の電圧
合成抵抗300 Ωに25 mA

このときAの消費電力は \(0.025^2\times100=1/16\;\mathrm{W}\) で許容の1/4 Wに余裕があり、Bは \(0.025^2\times200=1/8\;\mathrm{W}\) でちょうど限界。Bだけが限界、Aは余力を残している状態です。

抵抗器Aの許容電流50mAと許容電圧5V、Bの25mAと5V、直列25mA・並列5Vの上限を示す回路図
Aは50 mA・5 V、Bは25 mA・5 V。直列はBの25 mA、並列は両方が到達する5 Vが上限です。

STEP3 並列接続の上限を求めて比を出す(イ)

並列では同じ電圧が両方に加わります。今回は許容電圧がどちらも5 Vなので、5 Vで2つ同時に限界に達します。

$$V_{\text{並列}}=\min(5,\;5)=5.0\;[\mathrm{V}]$$
❸ 小さい方に合わせる
たまたま同じ値
$$\frac{V_{\text{直列}}}{V_{\text{並列}}}=\frac{7.5}{5.0}=1.5$$
❹ 比を取る
(イ)の答え
答え(ア)25.0 mA (イ)1.5 倍 → 選択肢(1)
直列25mAでAは2.5V・1/16W、Bは5V・1/8W、並列最大5V、電圧比1.5、正答1を示す解答図
直列最大7.5 V、並列最大5 Vなので比は7.5÷5=1.5。(ア)25.0 mA、(イ)1.5倍で正答は(1)です。

選択肢がどの誤りに対応するか

5つの選択肢は、それぞれ典型的な取り違えの着地点になっています。

選択肢(ア)[mA](イ)[倍]その組み合わせが出る考え方判定
(1)25.01.5正解:Bの許容電流25 mA、7.5÷5=1.5
(2)25.02.0(ア)は正しいが、比の計算を誤った×
(3)37.51.5(イ)は正しいが、許容電流を平均などで求めた×
(4)50.00.5Aの許容電流を採用(大きい方を選んでしまった)+比が逆×
(5)50.02.0Aの許容電流を採用+比の誤り×

(4)(5)が「50 mA」を採るのは、大きい方の許容電流を選んでしまった場合です。直列で50 mAを流すとBが \(0.05^2\times200=0.5\;\mathrm{W}\) となり、許容の1/8 Wを4倍も超えて壊れます制限は必ず「厳しいほう」が決める——安全側に寄せる、という設計の基本感覚が問われています。

なぜ直列のほうが高い電圧をかけられるのか

直列で7.5 V、並列で5 V——直列のほうが1.5倍高い電圧に耐えられます。直感的にも、抵抗が2本直列なら電圧が分担されるので当然に思えます。

では電力の観点ではどうでしょうか。直列時の全消費電力は \(0.025\times7.5=0.1875\;\mathrm{W}\)。並列時は \(5^2/100+5^2/200=0.25+0.125=0.375\;\mathrm{W}\)。並列のほうが2倍も多くの電力を扱えます

つまり直列は「高い電圧に耐える」、並列は「大きな電力を扱う」という役割分担です。並列では両方が同時に定格いっぱいまで働けるのに対し、直列ではAが余力を残したままBが先に限界に達する——直列は「一番弱い素子で決まる」ぶん効率が悪いのです。実務で抵抗器を組み合わせるとき、この違いは重要な設計判断になります。

本番で使える時間短縮テクニック

⏱️ 本番での進め方
① 許容電力は\(I_{\max}=\sqrt{P/R}\)、\(V_{\max}=\sqrt{PR}\) の2通りに翻訳できる
直列は許容電流の小さい方、並列は許容電圧の小さい方が全体を縛る
③ 制限は必ず「厳しいほう」。大きい方を採ると素子が壊れる
④ 求めた上限で各素子の電力を計算し直して、許容値以内か確認する

許容電力・消費電力の出題履歴

同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。

年度記事問われ方
平成30年度 A問題5本問(直流回路34)許容電力から許容電流と最大電圧
令和7年度下期 A問題5直流回路13つの抵抗の消費電力の大小
令和2年度 A問題6直流回路30直列抵抗と並列抵抗の消費電力の大小
平成26年度 A問題7直流回路47R₁とR₃の消費電力の比
平成22年度 A問題5直流回路57消費電力から並列の未知抵抗R

💡 覚え方
許容電力→\(I_{\max}=\sqrt{P/R}\)(直列で効く)・\(V_{\max}=\sqrt{PR}\)(並列で効く)直列は電流の小さい方・並列は電圧の小さい方が上限。本問は25 mA・7.5 V/5 V で比1.5。

⚠️ よくある間違い
直列で大きい方の許容電流(50 mA)を採らないこと——Bが定格の4倍で壊れます(誤答(4)(5))。抵抗が大きいほど電流上限は小さく・電圧上限は大きくなる、という逆の関係も押さえましょう。

まとめ

確認項目結果
Aの許容電流・許容電圧50 mA、5 V
Bの許容電流・許容電圧25 mA、5 V
(ア)直列の許容電流25.0 mA(Bが制限)
25 mA時のA2.5 V、1/16 W
25 mA時のB5.0 V、1/8 W(限界)
直列最大電圧2.5+5.0=7.5 V
並列最大電圧5 V(A、Bとも限界)
(イ)直列÷並列7.5÷5=1.5倍
正答(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・許容電力・消費電力の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題5

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