今回は令和元年度 理論科目 A問題5を解説します。直流電源E=100 Vと七つの抵抗からなる回路で、A-D間とB-C間の電位差の大きさ〔V〕を求めます。測定点A-DやB-Cを導線で結ぶのではなく、各点の電位を同じ基準で求めて差を取る問題です。
電源の−側を0 V、+側を100 V、三つの経路が合流する右端節点をXとします。+側-X間を30 Ω、X-−側間を20 Ωへ合成すると、X=40 Vが得られます。その後、上側の二枝へ分流する1 Aと、下側を流れる2 Aを使って各点の電位を求めます。
令和元年度 理論科目 A問題5:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の問題図を確認します。中央枝は+側-20 Ω-A-20 Ω-B-20 Ω-X、下枝は−側-4 Ω-D-6 Ω-C-10 Ω-Xの順です。A・BやC・Dの位置を入れ替えないようにします。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和元年度 A問題5
図のように、七つの抵抗及び電圧E=100Vの直流電源からなる回路がある。この回路において、A-D間、B-C間の各電位差を測定した。このとき、A-D間の電位差の大きさ〔V〕及びB-C間の電位差の大きさ〔V〕の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
A-D間の電位差〔V〕 B-C間の電位差〔V〕 (1) 28 60 (2) 40 72 (3) 60 28 (4) 68 80 (5) 72 40

出題のポイント:A-D間は「導線でつなぐ」のではなく「電位を測る」
この問題で最初に押さえたいのは、A-D間・B-C間に何も接続しないということです。電圧計を当てて測るだけなので、そこに電流は流れません。回路の動作は元のまま——各点の電位を同じ基準で求めて、引き算するだけです。
そこで手順はこうなります。①基準点を決める(電源の−側を0 V)②回路を合成して主要な節点電位を出す③各枝をたどって電圧降下を引きながらA・B・C・Dの電位を求める④差を取る。
回路構成の把握も重要です。電源の+側から右端節点Xまでは上枝の60 Ωと中央枝の20 Ω×3=60 Ωが並列。Xから−側までは 10 Ω+6 Ω+4 Ω=20 Ω の直列です。A・Bは中央枝の上、C・Dは下枝の上にあるので、たどる経路を取り違えないでください。

問題の解説:節点Xを確定してから各点をたどる
STEP1 合成して右端節点Xの電位を求める
20+20+20=60 Ωが上枝60 Ωと並列
直列
−側を0 Vとして
STEP2 各枝をたどってA・B・C・Dの電位を求める
+側からXまでの電圧降下は \(100-40=60\;\mathrm{V}\)。上枝と中央枝はどちらも60 Ωなので、電流は1 Aずつに等分されます。下枝にはXから−側へ全電流2 Aが流れます。
+側から20 Ωを1本通過
20 Ωを2本通過
Xから10 Ωを通過
さらに6 Ωを通過
D点の確認:Dから−側までは4 Ωが残っており、\(8-2\times4=0\;\mathrm{V}\)。基準点にきちんと戻ります ✓

STEP3 電位差を計算する
電力収支での検算:上枝60 Ωは \(1^2\times60=60\;\mathrm{W}\)、中央枝の20 Ω×3も \(1^2\times60=60\;\mathrm{W}\)、下枝の20 Ωは \(2^2\times20=80\;\mathrm{W}\)。合計200 Wで、電源の \(100\times2=200\;\mathrm{W}\) と一致します ✓

4点の電位を一覧で確認する
各点の電位を表にすると、位置関係と電位の高さが対応しているのが分かります。
| 点 | たどる経路 | 電位 [V] |
| +側 | 基準から100 V | 100 |
| A | +側 → 20 Ω(1 A) | 80 |
| B | さらに 20 Ω(1 A) | 60 |
| X(右端) | さらに 20 Ω(1 A) | 40 |
| C | X → 10 Ω(2 A) | 20 |
| D | さらに 6 Ω(2 A) | 8 |
| −側 | さらに 4 Ω(2 A) | 0 ✓ |
上から下へ100 → 80 → 60 → 40 → 20 → 8 → 0 と滑らかに下がっています。電位が単調に減っていくかを確認するだけでも、計算ミスの多くは発見できます。
選択肢の構造を使って絞り込む
5つの選択肢を並べると、数字の組み合わせに規則性が見えます。
| 選択肢 | A-D間 [V] | B-C間 [V] | 判定 |
| (1) | 28 | 60 | × |
| (2) | 40 | 72 | ×(正解の値が入れ替わっている) |
| (3) | 60 | 28 | × |
| (4) | 68 | 80 | × |
| (5) | 72 | 40 | ○ |
注目すべきは(2)が正解の72と40を入れ替えたものだという点です。A-D間とB-C間を取り違えると、ちょうど(2)に着地します。どちらがどちらかを最後に必ず見直してください。A・Dは外側の2点(+側に近いAと−側に近いD)なので電位差が大きく、B・Cは内側の2点なので小さい——この直感でも判別できます。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 「電位差を測定した」=その2点間に何も接続しない。回路の動作は変わらない
② 基準点を1つ決めて全部の点を同じ基準で測る。あとは引き算
③ 各点の電位は出発点 − 途中の電圧降下の合計で機械的に出せる
④ 最後に基準点に戻るか(D点からさらに4 Ωで0 Vになるか)を確認する
ラダー回路・電位差の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和元年度 A問題5 | 本問(直流回路32) | ラダー回路の各点の電位差A-D・B-C |
| 平成27年度 A問題4 | 直流回路42 | 各抵抗の電圧からR₁・R₂・R₃を逆算 |
| 平成28年度 A問題6 | 直流回路40 | 直並列(ラダー)回路の電流比 |
| 平成29年度 A問題7 | 直流回路38 | ラダー回路+電子の向き+電力量比 |
| 平成23年度 A問題6 | 直流回路55 | 2つの接続点の電位が等しくなる抵抗 |
💡 覚え方
電位差の測定は回路を変えない。基準を決める → 節点Xを出す → 各枝をたどって電圧降下を引く → 差を取る。本問は 100→80→60→40→20→8→0 と下がる。
⚠️ よくある間違い
A-D間とB-C間を取り違えないこと(誤答(2)は答えを入れ替えたもの)。上枝60 Ωと中央枝60 Ωは等しいので電流は1 Aずつ。A・Bは中央枝、C・Dは下枝にある点です。
まとめ
| 確認項目 | 結果 |
| +側-X間 | 60 Ω∥(20 Ω+20 Ω+20 Ω)=30 Ω |
| X-−側間 | 10 Ω+6 Ω+4 Ω=20 Ω |
| 全電流・Xの電位 | 2 A、VX=40 V |
| 枝電流 | 上側60 Ω枝1 A、中央60 Ω枝1 A、下側20 Ω枝2 A |
| 各点の電位 | VA=80 V、VB=60 V、VC=20 V、VD=8 V |
| A-D間 | |80−8|=72 V |
| B-C間 | |60−20|=40 V |
| 正答 | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・分圧・電位差の関連問題:【理論】令和5年度下期A問題6

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