今回は令和6年度上期 理論科目 B問題17を解説します。図1のコンデンサ回路からb−c−d間の対称Δ結線を抜き出してY結線へ変換し、端子a−d間の合成静電容量C0を求めます。問17と問18は選択問題で、試験ではどちらか一方だけを解答します。
コンデンサはインピーダンスZ=1/(jωC)としてΔ−Y変換を適用します。各辺が等しい対称Δでは、各Y枝のインピーダンスがΔ枝の1/3になるため、容量は逆に3倍です。本問では3 μFの各Δ枝が9 μFの各Y枝へ変わります。
令和6年度上期 理論科目 B問題17:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の問題文・図・選択肢を確認します。図1ではa−b間が9 μF、a−c間が18 μF、b−c・b−d・c−d間が各3 μFです。問題画像と図1〜3はそのまま保持しています。

電験3種 理論科目 【静電容量回路】 令和6年度上期 B問題17
図1の端子a-d間の合成静電容量について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a)端子b-c-d間は図2のようにΔ結線で接続されている。これを図3のようにY結線に変換したとき、電気的に等価となるコンデンサCの値〔μF〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)1.0 (2)2.0 (3)4.5 (4)6.0 (5)9.0〔μF〕
(b)図3を用いて、図1の端子b-c-d間をY結線回路に変換したとき、図1の端子a-d間の合成静電容量C0の値〔μF〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)3.0 (2)4.5 (3)4.8 (4)6.0 (5)9.0〔μF〕


出題のポイント:コンデンサのΔ-Y変換は「容量が3倍」になる
抵抗のΔ-Y変換では、対称なΔ(3辺が等しい)をYに直すと抵抗が1/3になります。コンデンサでも同じ変換が使えますが、容量は逆に3倍になる点に注意が必要です。
理由はインピーダンスで考えれば明快です。コンデンサのインピーダンスは \(Z=1/(j\omega C)\)——容量の逆数に比例します。Δ-Y変換の「インピーダンスが1/3になる」という関係をそのまま当てはめると$$Z_Y=\frac{Z_\Delta}{3}=\frac{1}{j\omega(3C_\Delta)}\quad\Longrightarrow\quad C_Y=3C_\Delta$$インピーダンスが1/3=容量は3倍。抵抗の感覚のまま「1/3」としてしまうのが最頻出のミスです。
変換の対象範囲も要注意です。本問でΔを組んでいるのはb-c、b-d、c-dを結ぶ3 μFの3個だけ。a-b間の9 μFとa-c間の18 μFはΔの外側なので、変換せずそのまま残します。

(a)の解説:対称ΔをYに変換する
STEP1 変換対象を切り分ける
b・c・dの3節点を結ぶ3本(各3 μF)が対称Δです。a-b間とa-c間は外側なので触りません。
中心点oからb・c・dへ各9 μF

(b)の解説:変換後の回路を直並列で畳む
STEP2 変換後の接続を整理する
Y変換で新しい中心点oができました。回路をたどると、aから2つの経路でoに至り、そこからdへ抜ける形になります。
| 経路 | 構成 | 直列合成 |
| a → b → o | 9 μF(a-b)と 9 μF(b-o)の直列 | 9×9/(9+9) = 4.5 μF |
| a → c → o | 18 μF(a-c)と 9 μF(c-o)の直列 | 18×9/(18+9) = 6.0 μF |
| o → d | 9 μF(o-d) | 9.0 μF |
STEP3 並列にしてから最後に直列合成する
2つの経路はどちらもaとoを結んでいるので並列。それをo-d間の9 μFと直列にすれば完成です。
容量は足し算
最後にo-d間と直列

選択肢を吟味する
(a)については、抵抗の感覚で「1/3」としてしまうと1.0 μF——これがまさに選択肢(1)として用意されています。混同を狙った典型的な誤答です。
| (a)の選択肢 | 値 [μF] | その値が出る考え方 | 判定 |
| (1) | 1.0 | 抵抗と同じ「1/3」にしてしまった(3÷3) | × |
| (2) | 2.0 | — | × |
| (3) | 4.5 | 3 μFの1.5倍。変換式の誤り | × |
| (4) | 6.0 | 3 μFの2倍。変換式の誤り | × |
| (5) | 9.0 | 正解:CY=3CΔ=3×3 | ○ |
(b)の \(63/13=4.846\ldots\) は割り切れない値です。選択肢は4.5と4.8が隣接しているので、途中で丸めると誤答に落ちる危険があります。\(94.5/19.5\) を約分して \(63/13\) の形で持ち、最後に小数にするのが安全です。
なぜΔ-Y変換が必要なのか
この回路はブリッジ形で、単純な直列・並列の組み合わせでは畳めません。もし b-c 間のコンデンサが無ければ、a-b-d と a-c-d の2経路が並列なだけで簡単に解けます。しかしb-c間に橋が架かっているため、bとcが電気的につながってしまい、直並列の分解が効かなくなります。
そこで3端子の網(Δ)を、電気的に等価な別の3端子の網(Y)に置き換えるのがΔ-Y変換です。Yに変換すると新しい中心点oが生まれ、a→o→d という一直線の流れに整理されるので、直並列で畳めるようになります。
なお本問は3辺が等しい対称Δなので \(C_Y=3C_\Delta\) という簡単な式で済みました。一般の(非対称な)Δでは各枝で式が異なり、かなり煩雑になります。電験3種では対称の場合だけ覚えておけば十分です。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① ブリッジ形で直並列に畳めないと気づいたらΔ-Y変換を疑う
② コンデンサは容量が3倍(抵抗は1/3)。インピーダンスで考えれば逆になる理由が分かる
③ 変換するのは3節点を結ぶ3本だけ。外側の素子は触らない
④ コンデンサの合成は並列で足す・直列は積/和(抵抗と逆)。割り切れない値は分数で持つ
Δ-Y変換・コンデンサ合成の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和6年度上期 B問題17 | 本問(直流回路13) | コンデンサのΔ-Y変換で合成静電容量 |
| 平成27年度 B問題16 | 直流回路44 | コンデンサのΔ-Y変換で合成静電容量(同型) |
| 平成28年度 A問題7 | 直流回路41 | 各素子が耐圧を超えない最大電圧 |
| 令和4年度上期 A問題6 | 直流回路25 | 直列充電したコンデンサを並列に繋ぎ直す |
| 平成26年度 A問題5 | 直流回路45 | 定常状態の浮遊節点の電位 |
💡 覚え方
コンデンサの対称Δ→Yは容量3倍(\(Z_Y=Z_\Delta/3\) だから \(C_Y=3C_\Delta\))。変換後はa→o の2経路を並列 → o-d と直列。本問は 4.5+6.0=10.5 と 9 の直列で 63/13≈4.8 μF。
⚠️ よくある間違い
抵抗の感覚で1/3にしないこと(それが誤答(1) 1.0 μF)。変換するのはb-c-d の3本だけで、a-b間の9 μFとa-c間の18 μFは残します。コンデンサの合成は並列で足す・直列で積/和と抵抗の逆です。
まとめ
| 変換対象 | b−c、b−d、c−dの各3 μF |
| (a)Δ→Y | 各Y枝C=9 μF、正答(5) |
| a−b−o枝 | 9と9の直列=4.5 μF |
| a−c−o枝 | 18と9の直列=6 μF |
| a−o間 | 4.5+6=10.5 μF |
| 端子a−d間 | 10.5と9の直列=63/13≒4.8 μF |
| (b)正答 | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・コンデンサの合成・Δ-Y変換の関連問題:【理論】令和5年度下期B問題17

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