今回は令和7年度上期 理論科目 A問題6を解説します。100 V電源とR1・R2の分圧回路について、図1のb-c間電圧10 V、図2の15 Ω接続時4 Vから、図3でb-c間を短絡したときの電流I [A]を求めます。
テブナン等価を使うと、R1・R2を個別に求めず、図1の無負荷電圧と図2の負荷時電圧から短絡電流を直接計算できます。本文後半では、同じ電流が流れる直列部分の電圧比=抵抗比を使う従来法でも検算します。
令和7年度上期 理論科目 A問題6:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式図で、図2の15 ΩはR2と並列、図3の短絡線もR2と並列です。図3のIの矢印は短絡線をbからcへ流れる向きに描かれています。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和7年度上期 A問題6
図1の直流回路において、端子a-c間に直流電圧100Vを加えたところ、端子b-c間の電圧は10Vであった。また、図2のように端子b-c間に15Ωの抵抗を並列に追加したとき、端子b-c間の電圧は4Vであった。今、図3のように端子b-c間を短絡したとき、電流Iの値〔A〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)0.0 (2)0.44 (3)0.32 (4)0.40 (5)0.10〔A〕
出題のポイント:同じ端子を3つの状態で観察している
図1・図2・図3は別々の回路ではありません。同じb-c端子を、負荷なし・15 Ω・短絡という3つの状態で見ているだけです。この見方ができると、テブナンの定理がそのまま使えます。
テブナンの定理とは、複雑な回路を1つの電圧源 \(V_{\mathrm{th}}\) と1つの内部抵抗 \(R_{\mathrm{th}}\) の直列に置き換えてよい、というものです。しかも本問では、R₁とR₂を個別に求める必要すらありません。図1の「負荷なしの電圧=\(V_{\mathrm{th}}\)」と図2の「負荷をつけたときの電圧低下」から \(R_{\mathrm{th}}\) が決まり、図3の短絡電流は \(V_{\mathrm{th}}/R_{\mathrm{th}}\) で一撃です。
もう一つ、「短絡=電流0」ではありません。短絡は電圧が0になることで、電流はむしろ最大になります。ここを取り違えると選択肢(1) 0.0 Aを選んでしまいます。

問題の解説:テブナン等価に置き換えて一撃で解く
STEP1 図1から開放電圧を読む
図1はb-c間に何もつながっていない状態なので、その10 Vがそのままテブナン電圧です。
負荷なしの端子電圧
STEP2 図2の電圧低下から内部抵抗を求める
15 Ωをつないだら10 Vが4 Vまで下がりました。この下がり方が内部抵抗の大きさを教えてくれます。
負荷15 Ωと内部抵抗で分圧
内部抵抗が確定

STEP3 短絡電流を求める
負荷0 Ωだから内部抵抗だけで決まる

別解:R₁とR₂を実際に求めて確かめる
テブナンを使わず、素直に抵抗値を求める道も確認しておきます。図1は分圧回路なので、同じ電流が流れる直列部分では電圧比=抵抗比が成り立ちます。
R₂に10 V、R₁に90 V
R₁とR₂が並列に見える
b-c間が0 VなのでR₂には流れず、全部R₁を通る
条件の再確認:\(R_1=225\)、\(R_2=25\) で図1の分圧は \(100\times25/250=10\;\mathrm{V}\) ✓。図2では \(R_2\parallel15=25\times15/40=9.375\;\Omega\) なので \(100\times9.375/(225+9.375)=4.00\;\mathrm{V}\) ✓。両方の条件を満たしています。テブナン法と個別抵抗法で同じ4/9 Aに着いたので確実です。
選択肢を回路に戻して検算する
短絡時はb-c間が0 Vになり、R₂には電流が流れません。したがって電流はR₁だけで制限されるので \(I=100/R_1\)。各選択肢が要求するR₁の値を逆算すると、条件(図1で10 V・図2で4 V)を満たすのは1つだけです。
| 選択肢 | I [A] | 必要な R₁ = 100/I [Ω] | 判定 |
| (1) | 0.0 | ∞(電流が流れない) | ×(短絡は電圧0であって電流0ではない) |
| (2) | 0.44 | 227(≒225) | ○ |
| (3) | 0.32 | 312.5 | × |
| (4) | 0.40 | 250.0 | × |
| (5) | 0.10 | 1000.0 | × |
(1) 0.0 A は「短絡=何も流れない」という誤解、(5) 0.10 A は「\(10/100\)」のように与えられた数値を短絡して計算した場合に出ます。短絡した枝は抵抗0の道なので、電流はむしろそちらへ集中する——この直感を持っておきましょう。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 同じ端子を複数の状態で観察している問題はテブナンの定理。個別の抵抗値を求めなくてよい
② 開放電圧=Vth、負荷時の電圧低下からRth、短絡電流=Vth/Rth の3点セット
③ 短絡=電圧0・電流最大、開放=電流0・電圧最大。逆に覚えない
④ 直列部分では電圧比=抵抗比が使える(同じ電流が流れているとき限定)
テブナンの定理・分圧の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和7年度上期 A問題6 | 本問(直流回路6) | 3状態から短絡電流を求める |
| 平成22年度 A問題6 | 直流回路58 | 分圧と並列条件から抵抗を求め短絡電流(同型) |
| 令和2年度 A問題7 | 直流回路31 | ブリッジ回路にテブナンの定理 |
| 令和6年度上期 A問題7 | 直流回路12 | 最大電力の条件(テブナン抵抗) |
| 平成27年度 A問題4 | 直流回路42 | 各抵抗の電圧からR₁・R₂・R₃を逆算 |
💡 覚え方
開放電圧=Vth/負荷時の電圧からRth/短絡電流=Vth/Rth。本問は10 Vと22.5 Ωで 10/22.5=4/9 A。R₁・R₂を求めなくてよい。
⚠️ よくある間違い
短絡は「電流0」ではなく「電圧0」です(電流は最大になります)。図3に図2の15 Ωを持ち越さないこと。電圧比=抵抗比は同じ電流が流れる直列部分にだけ使えます。
まとめ
| 図1 | Vth=10 V、R1=9R2 |
| 図2 | 15 Ω接続で4 V → Rth=22.5 Ω |
| 個別抵抗 | R2=25 Ω、R1=225 Ω |
| 図3 | Vbc=0 V、R2電流=0 A |
| 短絡電流 | 10/22.5=100/225=4/9 A≒0.44 A …(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・分圧・短絡電流の関連問題:【理論】令和7年度下期A問題6

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