今回は令和7年度下期 理論科目 A問題5を解説します。R1=5 Ω、R2=4 Ω、R3=8 Ωからなる直流回路で、各抵抗の消費電力P1・P2・P3の大小を比較する問題です。電源電圧Vの値は与えられていませんが、電力比を求めれば大小は判定できます。
回路はR1と(R2∥R3)の直列接続です。R1には全電流Iが流れ、R2とR3には同じ並列部電圧Vpがかかります。P=I2RとP=V2/Rを、比較対象に共通する量に合わせて使い分けます。
令和7年度下期 理論科目 A問題5:問題文と選択肢
問題図を見たら、R1が分岐点より手前にあり、R2とR3の両端が同じ2点につながっていることを確認してください。したがってR1は並列部と直列、R2とR3は互いに並列です。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題5
電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和7年度下期 A問題5
図のように、三つの抵抗R1=5Ω、R2=4Ω、R3=8Ωと電圧V〔V〕の直流電源からなる回路がある。抵抗R1、R2、R3の消費電力をそれぞれP1〔W〕、P2〔W〕、P3〔W〕とするとき、その大きさの大きい順として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)P1>P2>P3 (2)P1>P3>P2 (3)P2>P1>P3
(4)P2>P3>P1 (5)P3>P1>P2
出題のポイント:電力の3公式は「共通する量」で選ぶ
電力の式は \(P=VI\)、\(P=I^2R\)、\(P=V^2/R\) の3つ。どれもオームの法則から導かれる同じ関係ですが、比較したい抵抗どうしで何が共通しているかで選ぶと計算が一気に楽になります。
同じ電流が流れる(直列)なら \(P=I^2R\) → 抵抗が大きいほど大電力。同じ電圧がかかる(並列)なら \(P=V^2/R\) → 抵抗が小さいほど大電力。並列では大小関係が逆転するのがポイントです。
ただし本問のR₁とR₂・R₃は電流も電圧も共通ではありません(R₁は直列、R₂とR₃は並列)。だから「抵抗値だけを見て3つを並べる」ことはできず、いったん全電流Iという共通の物差しにそろえる必要があります。

問題の解説:すべての電力を全電流Iで表す
STEP1 R₁の電力を全電流で表す
R₁は分岐前にあるので全電流Iがそのまま流れます。
R₁には全電流が流れる
STEP2 並列部の電圧を求めて、R₂・R₃の電力を出す
まず並列合成し、そこに加わる電圧をIで表します。
R₂とR₃をまとめる
全電流×並列合成抵抗
R₂は電圧共通なのでこの式
R₃=R₂の2倍なので電力は半分

STEP3 比を取って大小を判定する
9倍して整数比に
検算:分流を確認すると \(I_2=V_p/4=(2/3)I\)、\(I_3=V_p/8=(1/3)I\) で、合計が \(I\) になり電流則を満たします。電力でも \(P_2/P_3=2\)(R₃がR₂の2倍の抵抗なので電力は半分)が確かめられます。

直感が裏切られるポイント
「\(P=I^2R\) だから抵抗が大きいほど電力も大きい。R₃は8 Ωで一番大きいから \(P_3\) が最大では?」——これがこの問題最大の罠です。実際にはR₃の電力は最小でした。
理由は流れる電流が違うからです。R₁には全電流 \(I\) が流れますが、R₃には分流後の \(I/3\) しか流れません。電力は電流の2乗に比例するので、電流が1/3になれば電力は1/9。抵抗が8/5倍になっても取り返せません。$$P_3=\left(\frac{I}{3}\right)^2\times8=\frac{8}{9}I^2\quad\text{対}\quad P_1=I^2\times5=5I^2$$公式を当てはめる前に「その式が使える条件(電流が共通か、電圧が共通か)」を確認する——本問はそれを試しています。
| 抵抗 | 抵抗値 [Ω] | 流れる電流 | かかる電圧 | 電力(I²の係数) |
| R₁ | 5 | I(全電流) | 5I | 5.00 |
| R₂ | 4 | (2/3)I | (8/3)I | 1.78 |
| R₃ | 8 | (1/3)I | (8/3)I | 0.89 |
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 電力の公式は共通量で選ぶ。直列(電流共通)は \(I^2R\)、並列(電圧共通)は \(V^2/R\)
② 並列では抵抗が小さいほうが大電力——直感と逆になるので図で確認する
③ 電源電圧が与えられていなくても、全電流I を文字のまま使えば比は出せる
④ 最後に分流の合計=全電流で検算する
消費電力の比較問題の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和7年度下期 A問題5 | 本問(直流回路1) | 3つの抵抗の消費電力の大小 |
| 令和2年度 A問題6 | 直流回路30 | 直列抵抗と並列抵抗の消費電力の大小 |
| 平成26年度 A問題7 | 直流回路47 | R₁とR₃の消費電力の比 |
| 令和5年度下期 A問題5 | 直流回路14 | 電流計の指示からRの消費電力 |
| 平成30年度 A問題5 | 直流回路34 | 抵抗器の許容電力から許容電流と最大電圧 |
💡 覚え方
直列(電流共通)は \(I^2R\) で R が大きいほど大、並列(電圧共通)は \(V^2/R\) で R が小さいほど大。共通量が無い相手とは、全電流Iにそろえてから比べる。
⚠️ よくある間違い
「抵抗が大きいほど電力が大きい」は直列のときだけの話です。R₃は最大の抵抗ですが電流が1/3しか流れないので電力は最小になります。R₂とR₃は両端が同じ2点につながる並列であることも確認しましょう。
まとめ
| 回路構成 | R1+(R2∥R3) |
| 並列合成抵抗 | Rp=8/3 Ω |
| 並列部電圧 | Vp=(8/3)I |
| 各電力 | P1=5I2、P2=16I2/9、P3=8I2/9 |
| 電力比 | P1:P2:P3=45:16:8 |
| 答え | P1>P2>P3 …(1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・抵抗の消費電力の関連問題:【理論】令和2年度A問題6

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