磁気・電磁力39【電験3種 理論】直交する2直線電流がつくる磁界が零になる点の条件!平成26年 A問題4 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 平成26年度 A問題4 直交する2電流!磁界が零になる点はどこにある?

今回は平成26年度 理論科目 A問題4を解説します。x軸に沿う導体A(電流Ix)とy軸に沿う導体B(電流Iy)が置かれたとき、xy平面上で両者のつくる磁界が零となる点(x,y)の条件を求める問題です。

十分に長い直線電流が距離rにつくる磁界の大きさはH=I/(2πr)です。ただし本問はxy平面全体が対象なので、向きを含むz成分で扱います。導体AとBからの距離はそれぞれ|y|、|x|、符号付き成分はHA,z=Ix/(2πy)、HB,z=−Iy/(2πx)です。合成を零とするとy=(Ix/Iy)xが得られ、Ix, Iy>0より零磁界点は第1・第3象限にあります。

目次

平成26年度 理論科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、平成26年度に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 平成26年度 A問題4 問題文
平成26年度 理論科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 平成26年度 A問題4

 図のように、十分に長い直線状導体A、Bがあり、AとBはそれぞれ直角座標系のx軸とy軸に沿って置かれている。Aには+x方向の電流Ix〔A〕が、Bには+y方向の電流Iy〔A〕が、それぞれ流れている。Ix>0、Iy>0とする。このとき、xy平面上でIxとIyのつくる磁界が零となる点(x〔m〕,y〔m〕)の満たす条件として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、x≠0、y≠0とする。

IxとIyのつくる磁界が零となる点(x,y)の満たす条件として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ(x≠0、y≠0)。

(1)y=(Ix/Iy)x (2)y=(Iy/Ix)x (3)y=−(Ix/Iy)x (4)y=−(Iy/Ix)x (5)y=±x

図 x軸に沿う導体A(電流Iₓ)とy軸に沿う導体B(電流Iy)(問題図)
図 x軸に沿う導体A(電流Iₓ)とy軸に沿う導体B(電流Iy)(問題図)

出題のポイント:xy平面上では、どちらの磁界も z 方向を向く

導体Aは x 軸、導体Bは y 軸に沿っていますxy平面上の点では、どちらの導体がつくる磁界も z 方向(紙面に垂直)——だから符号をつけて足すだけで済みます。ベクトルの合成を考える必要はありません。

この単純化に気づけば、あとは大きさを等しく置くだけです。2つの磁界が逆符号になる領域を探す——それが零磁界点の条件になります。

直線電流がつくる磁界(符号つき)
$$H=\frac{I}{2\pi r}\qquad\text{向きは右ねじの法則で決める}$$

大きさは距離に反比例点\((x,y)\)から導体A(x軸)までの距離は \(|y|\)、導体B(y軸)までは \(|x|\) です。

x軸とy軸に沿う二つの直線電流が作る磁界のz方向を四つの象限で比較し零磁界点の直線を示す図
第1象限では導体Aの磁界が+z、導体Bが−z、第3象限では逆になります。第2・第4象限では同方向のため相殺できません。

2つの磁界の z 成分を書き出す

右ねじの法則で向きを決めます導体Aの電流は +x 方向——右ねじを +x 方向へ進めるとき、y 軸の正の側では磁界が +z 方向を向きます。

$$H_{Az}=+\frac{I_x}{2\pi y}$$
❶ 導体A(+x 方向の電流)
\(y\) の符号がそのまま磁界の符号になる
$$H_{Bz}=-\frac{I_y}{2\pi x}$$
❷ 導体B(+y 方向の電流)
A とは逆符号(\(\hat y\times\hat x=-\hat z\))

符号が逆になるのは、電流の向きが90°回っているからです。右ねじを +x に進めるのと +y に進めるのでは、同じ側の点での磁界の向きが反対になります。この符号の違いが、零点が存在する理由です。

合成をゼロにする

$$\frac{I_x}{2\pi y}-\frac{I_y}{2\pi x}=0$$
❸ 和をゼロと置く
\(2\pi\) は約分される
$$\frac{I_x}{y}=\frac{I_y}{x}\;\Longrightarrow\;I_x\,x=I_y\,y$$
❹ 整理
$$y=\frac{I_x}{I_y}\,x$$
❺ \(y\) について解く
原点を通る直線

\(I_x>0\)、\(I_y>0\) なので、傾き \(I_x/I_y\) は正です。したがって零磁界点は第1象限と第3象限を通る直線上に並びます。

数値で確かめてみます。\(I_x=2\)、\(I_y=1\) とすると \(y=2x\)。点\((1,2)\)で \(H_{Az}=2/(2\pi\times2)=1/(2\pi)\)\(H_{Bz}=-1/(2\pi\times1)=-1/(2\pi)\)——確かに打ち消し合います

直交する二つの直線電流から点Pまでの距離と符号付き磁界成分を示し零条件を導く解説図
距離は導体Aから|y|、導体Bから|x|です。方向を含めるとH_A,z=I_x/(2πy)、H_B,z=−I_y/(2πx)となります。
答え\(y=\dfrac{I_x}{I_y}x\) → 選択肢(1)
平成26年度理論科目A問題4の五つの選択肢を符号付き磁界の零条件で判定し正答1を示す表
合成磁界を零とするとy=(I_x/I_y)xです。傾きは正で、第1・第3象限に解があり、公式正答は(1)です。

誤答の正体:比を逆にすると(2)に着地する

選択肢判定理由
(1)\(y=(I_x/I_y)x\)正解
(2)\(y=(I_y/I_x)x\)×比が逆。最も引っかかりやすい
(3)\(y=-(I_x/I_y)x\)×符号が逆(第2・第4象限になる)
(4)\(y=-(I_y/I_x)x\)×比も符号も逆
(5)\(y=\pm x\)×\(I_x=I_y\) のときだけの特別な場合

(2)との区別が本問の急所です。意味で考えると迷いません——電流が大きい導体ほど強い磁界を作るので、その導体からは遠くないと釣り合いません

\(I_x\) が大きいなら、導体A(x 軸)から遠い点でなければならない——x 軸から遠いとは \(|y|\) が大きいということです。したがって \(y\) は \(I_x\) に比例する——\(y=(I_x/I_y)x\) で正しいと確認できます。

⚠️ よくある間違い
「距離は電流に比例する」を「電流に反比例する」と取り違えるのが(2)の正体です。磁界が距離に反比例するので、電流が大きいぶんは距離を大きくして薄める——「大きい電流からは遠く」と覚えてください。

💡 覚え方
「\(I/r\) が等しくなる点」と考えると一発です。\(I_x/|y|=I_y/|x|\)——分母の \(|y|\) が \(I_x\) とセットになっているので、\(y\propto I_x\) です。

⏱️ 本番での進め方
❶ どちらの磁界も z 方向と気づく。ベクトル合成は不要。
❷ 右ねじで符号を決める。A と B で符号が逆になる。
❸ \(I/r\) を等しく置く。距離は A なら \(|y|\)、B なら \(|x|\)。
❹ 「大きい電流からは遠く」で比の向きを確認する。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

Aの符号付きz成分HA,z=Ix/(2πy)
Bの符号付きz成分HB,z=−Iy/(2πx)
零条件Ix/y−Iy/x=0
解の範囲第1・第3象限(x≠0、y≠0)
答えy=(Ix/Iy)x …(1)

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