磁気・電磁力15【電験3種 理論】磁界及び磁束の記述で誤りはどれ?平行導体の力は距離に反比例!令和5年上期 A問題4 完全解説

電験3種 理論科目 電磁気(磁気・電磁力) 令和5年度上期 A問題4 平行導体の力は距離に反比例!磁界の記述で誤りは?

今回は令和5年度上期 理論科目 A問題4を解説します。磁界及び磁束に関する記述(1)〜(5)のうち、誤っているものを1つ選ぶ問題です。ソレノイド・平行導体・フレミングの法則・磁気回路の対応を確認します。

平行導体間に働く単位長さ当たりの力はF/ℓ=μ0I1I2/(2πd)です。距離dの1乗に反比例するため、「2乗に反比例」とする(3)が誤りです。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【理論】平成25年度A問題3 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

令和5年度上期 理論科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、令和5年度上期に実際に出題された問題文と選択肢を確認しましょう。

電験3種 理論科目 磁気・電磁力 令和5年度上期 A問題4 問題文
令和5年度上期 理論科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題4

電験3種 理論科目 【電磁気(磁気・電磁力)】 令和5年度上期 A問題4

 磁界及び磁束に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 1m当たりの巻数がNの無限に長いソレノイドに電流Iを流すと、内部に磁界H=NIが生じ、その大きさは寸法や内部の物質の種類に影響されない。
(2) 均一磁界中で磁界の方向と直角に置いた直線導体に電流を流すと、電流の大きさに比例した力が働く。
(3) 2本の平行な直線導体に反対向きの電流を流すと、導体間距離の2乗に反比例した反発力が働く。
(4) フレミングの左手の法則では、親指の向きが導体に働く力の向きを示す。
(5) 磁気回路において、透磁率は電気回路の導電率に、磁束は電気回路の電流に対応する。

出題のポイント:「距離の何乗に反比例するか」が唯一の争点

5つの記述のうち、4つは基本どおりです。誤りは平行電流間の力を「距離の2乗に反比例」としている点——正しくは1乗に反比例します。

この問題が良問なのは、「反発力が働く」という部分は正しいところです。逆向きの電流なら確かに反発します。正しい記述と誤った記述が1つの文に混ざっているので、最後まで読まずに正しいと判断すると引っかかります。

平行電流間に働く力
$$\frac{F}{l}=\frac{\mu_0 I_1 I_2}{2\pi d}\;\mathrm{[N/m]}$$

分母は \(2\pi d\)——距離 \(d\) の1乗です。同じ向きなら引力、逆向きなら斥力になります。

反対方向に電流が流れる二本の平行導体が反発し単位長さ当たりの力が距離に反比例する図
F/ℓ=μ₀I₁I₂/(2πd)より、単位長さ当たりの力は距離dの1乗に反比例します。

距離の依存を整理する:点なら2乗、線なら1乗

組合せ距離への依存
点電荷どうしの力\(F=k\dfrac{Q_1Q_2}{r^2}\)2乗に反比例
点磁極どうしの力\(F=k_m\dfrac{m_1m_2}{r^2}\)2乗に反比例
平行電流どうしの力\(\dfrac{F}{l}=\dfrac{\mu_0I_1I_2}{2\pi d}\)1乗に反比例
直線電流がつくる磁界\(H=\dfrac{I}{2\pi r}\)1乗に反比例

「点」が相手なら2乗、「線」が相手なら1乗——この区別が本問の核心です。理由は広がっていく先の形にあります。点から出るものは球面(\(4\pi r^2\))に広がるので2乗、線から出るものは円筒の側面(\(2\pi r\times\)長さ)に広がるので1乗です。

クーロンの法則の感覚をそのまま持ち込むと間違えます。静電気の問題では「距離の2乗に反比例」が当たり前ですが、無限に長い直線が相手のときは1乗です。相手が点か線かを必ず確認してください。

各記述の判定

記述判定根拠
(1)無限長ソレノイド内部の \(H=NI\) は寸法や物質によらない◎ 正しい\(H\) の式に \(\mu\) が現れない
(2)磁界と直角な導体に働く力は電流に比例◎ 正しい\(F=BIL\sin\theta\)
(3)逆向き平行電流には距離の2乗に反比例した反発力× 誤り1乗に反比例
(4)フレミング左手:親指が力の向き◎ 正しい親指=力、人差し指=磁界、中指=電流
(5)透磁率↔導電率、磁束↔電流◎ 正しい\(R_m=l/(\mu A)\) と \(R=l/(\sigma A)\)

(1)は引っかかりやすい記述です。「物質の種類に影響されない」と書かれると誤りに見えますが、\(H=nI\) という式に透磁率 \(\mu\) は現れません。鉄心を入れても磁界の強さ \(H\) は変わらず、変わるのは磁束密度 \(B=\mu H\) のほうです。

「磁界の強さ」と「磁束密度」の区別がここでも問われています。\(H\) はコイルと電流だけで決まり、\(B\) は材質で変わる——この対比を押さえていれば(1)は正しいと判断できます。

直線導体の磁束密度から平行導体の単位長さ当たりの力を導出する流れ図
B₁=μ₀I₁/(2πd)をF=B₁I₂ℓに代入すると、F/ℓ∝1/dが得られます。
答え誤っているのは 選択肢(3) (距離の1乗に反比例)
ソレノイド導体の力フレミング左手磁気回路の5記述を基本式で判定する一覧図
選択肢(3)だけが1/dを1/d²としているため誤りで、正答は(3)です。

フレミングの2つの法則を確実に区別する

(4)で問われているフレミングの法則は、左手と右手で用途がまったく違います。混同したまま覚えていると、向きを問う問題で必ず落とします。

左手の法則右手の法則
用途電動機(力を得る)発電機(起電力を得る)
親指力 \(F\)運動 \(v\)
人差し指磁界 \(B\)磁界 \(B\)
中指電流 \(I\)起電力 \(e\)

どちらも人差し指は磁界です。変わるのは親指と中指の中身だけ——「左手は電流を与えて力を得る、右手は運動を与えて起電力を得る」と、入力と出力の関係で覚えると混同しません。

💡 覚え方
「電・磁・力」の順で 中指・人差し指・親指——左手はこの順です。「FBI」(親指Force・人差し指B・中指I)という覚え方もよく使われます。どちらか一方を確実に覚え、もう一方は「発電機のほう」と対比で引き出すのが実戦的です。

★この問題は過去問とまったく同じ内容で再出題されています

本問は【理論】平成25年度A問題3完全に同一の問題です。5つの記述の文言も、選択肢の並びもすべて同じで、答えもどちらも(3)です。

電験3種では、基本法則を確認する記述問題がそのまま再出題されることがよくあります問い方を変えようがないうえ、受験者に必ず知っておいてほしい内容だからです。この手の問題は確実に得点すべき問題と位置づけてください。

ただし選択肢の番号で覚えるのは危険です。同じ内容でも並び順が変わる例を、当サイトでは複数確認しています。「平行電流の力は距離の1乗に反比例」という中身で覚えてください

あわせて解いておきたい記事:【理論】平成25年度A問題3

⏱️ 本番での進め方
❶ 「距離の何乗か」を真っ先に確認する。点なら2乗、線なら1乗。
❷ 文の後半まで読む。「反発力」は正しく「2乗」が誤り、という混合型。
❸ \(H\) と \(B\) の区別。\(H\) は物質によらず、\(B=\mu H\) は変わる。
❹ 左手と右手。人差し指はどちらも磁界。親指と中指が入れ替わる。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(1)H=NI:正しい
(2)F=BIℓでIに比例:正しい
(3)正しくはF/ℓ∝1/d:誤り
(4)左手の親指=力:正しい
(5)透磁率↔導電率、磁束↔電流:正しい
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・平行導体・磁界の関連問題:【理論】令和6年度上期A問題4

📚 次に解くべき関連問題
【理論】令和5年度下期A問題4(磁気・電磁力12)
【理論】令和4年度下期A問題4(磁気・電磁力18)
【理論】令和5年度下期A問題14(磁気・電磁力13)
◀ 磁気・電磁力14:【理論】令和5年度上期A問題3磁気・電磁力16:【理論】令和5年度上期A問題10
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次