今回は令和4年度上期 理論科目 A問題5を解説します。図1でR2の端子電圧100 Vと電流5 Aから未知抵抗R2と電源電圧Vを求め、図2でR3=5 ΩをR2と並列に追加したときのR3の電流I3 [A]を求めます。
図1の100 VはR2の端子電圧であり、電源電圧そのものではありません。R1にも5 Aが流れて5 Vの電圧降下が生じるため、電源電圧は105 Vです。図2ではR2∥R3を求め、並列部の電圧84 VからI3を計算します。
令和4年度上期 理論科目 A問題5:問題文と選択肢
電気技術者試験センター公表の公式問題では、図1はR1とR2の直列回路、図2はR1と「R2∥R3」の直列回路です。出典:令和4年度上期第三種電気主任技術者試験 理論科目。

電験3種 理論科目 【電気回路(直流回路)】 令和4年度上期 A問題5
図1のように、二つの抵抗R1=1Ω、R2〔Ω〕と電圧V〔V〕の直流電源からなる回路がある。この回路において、抵抗R2〔Ω〕の両端の電圧値が100V、流れる電流I2の値が5Aであった。この回路に図2のように抵抗R3=5Ωを接続したとき、抵抗R3〔Ω〕に流れる電流I3の値〔A〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)4.2 (2)16.8 (3)20 (4)21 (5)26.3〔A〕

出題のポイント:与えられた100 Vは「R₂の端子電圧」であって電源電圧ではない
2つの図を比べる問題では、何が変わって何が変わらないかを最初に仕分けます。図1から図2へ移るとき、変わらないのは電源電圧VとR₁・R₂の値。変わるのは回路の合成抵抗、全電流、そして並列部にかかる電圧です。
最大の落とし穴は、図1に書かれた100 Vをそのまま図2でも使ってしまうことです。100 VはあくまでR₂の端子電圧で、R₁でも \(5\times1=5\;\mathrm{V}\) 降下しているので電源電圧は105 V。しかも図2ではR₃が並列に加わって合成抵抗が下がるため、全電流が増え、R₁での電圧降下も増え、その結果並列部の電圧は100 Vから84 Vへ下がります。「抵抗を並列に足したら、そこにかかる電圧が下がる」という当たり前の現象を見落とさないことが鍵です。

問題の解説:図1で電源電圧を確定してから図2へ
STEP1 図1からR₂と電源電圧を確定する
図1は単純な直列回路なので、R₁にもR₂と同じ5 Aが流れます。
R₂の端子電圧÷電流
R₁の降下5 Vを足す=電源電圧
STEP2 図2の全電流を求める
R₃を並列に足すと、その部分の抵抗は下がります(並列合成は各枝より小さい)。
20 Ωが4 Ωまで下がる
電源電圧÷全抵抗

STEP3 並列部の電圧からI₃を求める
電源電圧からR₁の降下を引く
R₃にも同じ84 Vが加わる
検算:R₂の新しい電流は \(84/20=4.2\;\mathrm{A}\)。\(4.2+16.8=21\;\mathrm{A}\) で全電流と一致します。分流則を使っても \(I_3=21\times20/(20+5)=16.8\;\mathrm{A}\) と同じ値です。

選択肢を回路に戻して検算する
各選択肢のI₃から並列部の電圧を \(U=5I_3\) と逆算し、R₂の電流・全電流をたどって必要な電源電圧が105 Vになるかを確かめます。
| 選択肢 | I₃ [A] | 並列部の電圧 5I₃ [V] | R₂の電流 [A] | 全電流 [A] | 必要な電源電圧 [V] | 判定 |
| (1) | 4.2 | 21.0 | 1.05 | 5.25 | 26.3 | × |
| (2) | 16.8 | 84.0 | 4.20 | 21.00 | 105.0 | ○ |
| (3) | 20.0 | 100.0 | 5.00 | 25.00 | 125.0 | × |
| (4) | 21.0 | 105.0 | 5.25 | 26.25 | 131.3 | × |
| (5) | 26.3 | 131.5 | 6.58 | 32.88 | 164.4 | × |
誤答の正体もはっきりします。(3) 20 Aは「並列部に100 Vがかかったまま」と考えた場合(\(100/5\))、(4) 21 Aは「電源電圧105 VがそのままR₃にかかる」と考えた場合(\(105/5\))、(1) 4.2 Aは答えるべきI₃とR₂の電流を取り違えた場合です。いずれも「並列部の電圧は84 V」という一点を押さえていれば防げます。
なぜ並列に足すと電圧が下がるのか
R₃を追加した瞬間、R₂とR₃の並列部は20 Ωから4 Ωへ大きく下がります。回路全体では \(1+20=21\;\Omega\) だったものが \(1+4=5\;\Omega\) になるので、全電流は5 Aから21 Aへ4倍以上に増えます。
電流が増えれば、直列に入っているR₁での電圧降下も増えます(5 V → 21 V)。電源電圧105 Vは変わらないので、その分だけ並列部に残る電圧が減る——これが100 V → 84 Vの正体です。直列の抵抗は「電圧を食う」存在で、電流が増えるほど多く食う。この感覚を持っておくと、抵抗を足し引きする問題全般で見通しが良くなります。
本番で使える時間短縮テクニック
⏱️ 本番での進め方
① 図が2つある問題は「変わらない量」を先に特定する(本問は電源電圧105 V)
② 与えられた電圧がどの素子の端子電圧かを図で指差し確認する
③ 並列を足すと合成抵抗は下がる→全電流は増える→直列部の降下が増える→並列部の電圧は下がるという連鎖を覚える
④ 検算は2つの枝電流の和=全電流。10秒で確信が持てる
回路変更・分流の出題履歴
同じ考え方を使う直流回路の問題です。あわせて解くと解法が定着します。
| 年度 | 記事 | 問われ方 |
| 令和4年度上期 A問題5 | 本問(直流回路24) | 抵抗を並列追加したときのR₃の電流 |
| 令和5年度下期 A問題5 | 直流回路14 | 電流計の指示からRの消費電力 |
| 令和7年度上期 A問題7 | 直流回路7 | スイッチで全電流が3倍になる抵抗R |
| 平成26年度 A問題6 | 直流回路46 | 電流比の条件から並列抵抗R₂ |
| 平成24年度 A問題6 | 直流回路53 | 直並列回路でI₁からI₄を求める |
💡 覚え方
2図問題は共通の量(電源電圧)を橋渡しに使う。並列追加 → 合成抵抗↓ → 全電流↑ → 直列部の降下↑ → 並列部の電圧↓という連鎖で84 Vを導く。
⚠️ よくある間違い
100 Vは図1のR₂の端子電圧であって、電源電圧でも図2の並列部電圧でもありません。\(100/5=20\;\mathrm{A}\) や \(105/5=21\;\mathrm{A}\) としないこと。答えるのはI₃であってR₂の電流4.2 Aではありません。
まとめ
| 図1:R2 | 100÷5=20 Ω |
| 図1:電源電圧 | 100+5×1=105 V |
| 図2:並列合成 | R2∥R3=20∥5=4 Ω |
| 図2:全電流 | 105÷(1+4)=21 A |
| 並列部電圧 | 105-21×1=84 V |
| R3電流 | I3=84÷5=16.8 A |
| 検算 | 84÷20+84÷5=4.2+16.8=21 A |
| 正答 | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・分流・並列回路の関連問題:【理論】令和5年度下期A問題5

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